第28話 乱(2)

やばい。そいつを見た感想はその一言に尽きた。一体だけ異様な雰囲気を漂わせている。

……う〜ん…。なんかこう……危険なんだけど……俺に被害は出ない気がする。だってなんかもう、周りの奴らが全員血の気が多いからさ…。


「「「「私(我輩)(ボク)が仕留める!」」」」

「GUOOOOOOOOOOOOO!!!」


なんかヤな予感…。すごくヤな予感……。なんかまた一人出てくる気が

「そいつを殺されるのは流石に怒られるんだ。止めてくれないか。」

変な男が出てきた。

「そんな言い方じゃ舐められちゃうわよ?」

「うるせぇ。テメェは黙ってろ。」

変な女も出てきた。


男も女もマントを着ており、顔が確認できない。それに何でか知らんがケモ耳が付いてるような気がする…。男の方は。女は恐らく人族……だと思う。流石にフードの下は透視とかできないからわかんないけど。

つか、なんだこいつら。怒られる?上司がいるのか…?


よくわからんな。まぁ、俺から言える事はただ一つだ。


「ふん!御主らが我輩の目的の邪魔をしておるのだな!ならばここで叩き潰してくれよう!」

「………こいつらが元凶…?でも恐らく下っ端…。なら仲間の情報を聞き出して一網打尽にしなきゃ…。」

「ここで仕留めれば褒めてもらえますかね〜…?いや、もらえますよね。ご褒美。じゃあ頑張らなきゃ。」

「ギル兄と早くこっちは感動の再開をしたいのに!もう!君ら邪魔だよ!吹っ飛ばす!」


こいつら化け物には気をつけろよ、って。


「はっ、調子に乗るなよ。人間ども。ここでやらなきゃいけねえ事もまだ沢山残ってるんだ。おめえらには消えてもらうぜ。」

「確かに、ここで“アレ”を止めてしまえば私も御叱りを受けてしまうわ…。それはちょっと避けたいしねぇ…。今回は共闘してあげましょうか。」


あの…敵さん方?大丈夫ですか?恐らくそいつら、S級以上ですよ?普通に四人揃えば国なんて簡単に落ちそうな戦力ですよ?大丈夫ですか?


「とりあえず……あのモブっぽい男からやってしまうか。」

「じゃあ私はあのたちを先にやっていこうかな。あの魔族は頼んだわよ〜。」

「チッ、言われるまでもねぇ。」


モブっぽいって……。つか、そんなので勝てるかなぁ…。だって……。

今、こっちの女性達が急に殺気を出し始めましたよ?


「ギル兄は

「 先輩はモブじゃない!」」」

「ギル君は


あぁほら。怒っちゃった。俺知らないよ?止める気ないし、止める事だってできないし。


「へっ!メスが調子に乗ってんじゃ……ッッッ!!」

一瞬にして距離を詰めたミナが、一気に攻めていく。俺も、肉眼で途中から追えなくなった。そんな速さの拳を、男は手を十字にして守った。

「ふんっ、これでも優しくしてあげてるほうだから………ねっ!」

そのガードを突き破るように、強い拳が男の腕に当たった。その瞬間。

「えいっ!」

という可愛らしい声とともに。


「グアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」


壁に叩きつけた。ん?いつの間にか壁が直ってる……。どんな仕組みしてんだろうか?


まぁ、それは置いといて。大丈夫かな?あの魔族。亜人さん流石に死んだかも……。

「………今のが本気か?じゃあ絶対に勝てないな。」

と、強キャラみたいな事言ったけど……いや、言っちゃったけど……頑張れ、あと二種目あるぞ。


「フッ…………シッ!」

あえて峰打みねうちでボコボコにしていく。うわぁ……普通に可哀想に見えてきた…。いくら中身が見えないとはいえど、今多分身体中ボコボコにされているんだろなぁ…。

「こんな事で済ましてあげるの、ありがとう、でも言ったらどう?」

「oh………。なんと残酷な……。」

おっと、声が出てしまった。


あれ?ミーヤはどこいった?

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