第22話 兎人族の少年。君があの例の……。
兎人族の少年が向かっていった方向には、あのダンジョンがあった。
「なぁ……ちょっと……早いって……。待ってくれよ……。」
「……これ……やばいかもしれない。音の近くに行けば行くほど危険な音がする。正直怖くなってきた…。」
「じゃあ………ハァ…ハァ……引き返そうぜ………。もう俺……きついわ……。グヘッ…。」
「じゃあここで待ってて…。僕が……僕が知らせなきゃいけない気がする…。」
「誰に⁉︎」
「分かんない!」
「ハァ⁉︎」
そういった後、小太りの少年は置いていかれてしまった。
「ぐふっ……ゴホッ……ゼェ……ハァ……ゼェ………。もう……無理…。」
そして息を引き取っ
「てないわい!勝手に殺すな!」
…。
兎人族の少年は、かなり例の音の音源の近くに来ていた。
「そろそろ……もう少しで着く……そこに何があるのか……僕は知らせなきゃいけない気がするんだ……。」
少年は走る。何かに憑かれたようなその姿は、町の人たちには少し不気味に見えるだろう。だが、少年はそれを気にしている暇はなかった。
「急げ…急げ…急げ!」
そうして、かなり進んだところで、足が動かなくなった。
「え?」
どうやっても動かない。先に進めない。ここから一歩も先に進める気がしない。その原因は……。
恐怖だった。
その少年の獣人としての本能が、告げていたのだ。ここから先は行ってはならない。死ぬ。逃げろ。そんな本能に、逆らえるような歳ではなかった少年は、正に脱兎のごとくその場から、少年の希望しているギルドまで走った。
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「ぁあ〜。俺のチモ〜…。どこに行ったんだよ〜。ぅうううう…。」
クソぉ…楽しみにしてたのになぁ……。うぅ…。
「あら〜?先輩起きたんですね〜。やっぱり頑丈ですね〜。」
「ぅう〜〜〜。もうやだ…。死にたい…。」
「死ぬ⁉︎じゃあ遺体の処理は私に任せて下さい!」
「ほわっ⁉︎いや、遠慮しとく!つか絶対死なんわ!俺!」
こいつの前で死んだらまぁ悲しんではくれるだろうけど、その後の事が怖すぎる!
「まぁ、起きてくれたのはよかったです〜。正直、あんまり手加減せずにやっちゃったので〜。」
ん?殺す気かな?
「さ、死仕事残ってるんで手伝ってくれませんか〜?」
「はいよ。今行くわ。」
うえ、起こされた時からもう既に仕事かよ…。
「先輩起きましたよ〜。」
「仕事って何か残ってますかね?」
「お邪魔してます。」
「あ、おはよーギル君。早速だけど、こっちとこっちの書類と後ファイルの中に入れてるあの…。」
あ、レーナちゃんいたのね。ほんで滅茶苦茶仕事残ってんのね…。と思った瞬間。
ガタン‼︎
「すいません!少し聞いてくれませんか⁉︎」
という声と共に兎人族の少年が入って来た。
「ホワッ⁉︎何ィ⁉︎」
「っ⁉︎///。」
びっくりした。んでなんでレーナちゃんは顔を真っ赤に………oh…彼が例のあの子ですかい…。兎人族とは珍しい…。
「あの!子供の僕が言うのも何ですけど!ダンジョンの近くの様子がおかしいんです!信じてください!」
「「「え?」」」
「///」
いや、いつまで恥ずかしがってんの。レーナちゃん。
「と、とりあえず何があったんだ?」
「僕が友人と遊んでたら急に嫌な音がなり始めて……それでその方向に走っていったんですけど…そしたら音が大きくなっていって……怖くなって帰ってきちゃったんです…。あそこの先には絶対に何かがあるんです。信じてください!」
その少年があまりにも切迫した雰囲気を出していたので、
「じゃあ俺が一旦見にいくよ。その音が聞こえてくる場所まで、案内できるか?」
「!うん!」
さぁて、一体何があったのか。これが子供のいたずらならいいなぁ…。
あれ?フラグかな?これ。
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