第15話 前?横?後ろ?いいえ、上ですよ?
ドアを開けるとそこには……何もいなかった。え?駆除をお願いされたんだけどなぁ…。
「あるぇ?おかしいなぁ……。居るって聞いたんだけど…。」
「本当ですね!良かった〜……ヒッ⁉︎」
「どうしたの〜?」
「う、う、う、上……!」
そう言われて見てみると……。
「うわぁ……どうしよ。」
魔ネズミがひしめき合っていた。
「……さぁ!駆除頑張るぞ!」
「無理無理無理無理無理〜(泣)!絶対ダメですって!」
「……さぁ!駆除頑張るぞ!」
「え?なんで二回も言ったんですか?」
「……さぁ!」
「え。」
「さぁ!」
「ぇえ!」
「さぁ!」
「やります!」
「言っちゃったね?」
よし、これで諦めてくれるか…?
「でも……あの人の為にも…!頑張ります!」
えぇぇ…。恋する乙女は強いんだね…。俺には一切理解でき無いけど……。
「本当に大丈夫?出来る?怖いよ?強いよ?良いのかな?」
「うん!本当の本当に大丈夫だもん!」
「えぇ…。めんどくさい…。」
ひっ!目が……目が怖いよレーナちゃん…。
「じゃあまずは……この餌を撒こうか。駆除は大抵これが一番だよ。」
俺が取り出したのは…『害虫駆除用、イモヅルくん!』という駆除用の製品。色々な物を混ぜて作ったのがコレ。ちなみに材料は……企業秘密、らしい。
「コレを使えば大抵は駆除出来る。一旦ここから離れようか。一時間くらいしたら戻って来れば良い。さ、行こう。」
「え?これだけ?」
「まだまだ受諾してるのがあるんだ。さ、行くぞ〜。」
くぅ…、早速諦めてくれると思ったのに…!クソ、次こそは必ず…!
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「次も害虫駆除だ。」
「え〜、またですか〜……。」
俺が次に選んだのは食果樹虫、という虫を駆除して欲しい、という依頼を受けた。これはさっきのように特効薬はない。しかもこの虫、一度見かければ100匹はいるらしいのだ。集合しているのを想像すると……おぉう……。怖…。さて、今回の目標は卵を処理すること。この卵もかなりキモい見た目してるからなぁ〜。まぁ、がんばって欲しいな。レーナちゃんには。ちなみに今回俺は手伝わ無い。まぁ、これから手伝おうとしているのもあるが、これはそこまで危険はないし。今回は、の話だがな。これは中でも安全な方なだけで、実はこのあと受けている依頼の中にかなり危険なものもある。諦めさせるにはこれも仕方のないことだ。
今回のも一応、付き添いも兼ねて近くにいるが直接手助けはする気はない。
「……!んしょ…。ん⁉︎わわわわわ!」
ちゃんと見守らなければ……。
「きゃっ!やっ!」
ガシャコーン!
「……痛たた〜…。」
見守ら………なければ……。
「ふぅうぅぅぅぅぅ……(T ^ T)」
見守……。
「ふえええええん(><)」
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「う……ごめんなさい……。」
「いやいや、気にしなくて良いって。別に。まだ若いんだから、これから学んでいけば良いよ。さ、終わったし、次の依頼に行こうぜ?」
「……うん…。」
……やってしまった。これはアカん。うん。俺が全部やってしまう。これは…これは不味いぞ…。このままだとレーナちゃんは冒険者になってしまう!どうやっても止め無いと〜‼︎
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SIDE:女子?グループ
「……やっぱり面倒見が良いねぇ〜。ギル君は。」
「ですね〜。」
「そんな所もかっこよく見えるんだね〜。」
「惚れているから美化されても仕方のないことですね〜。私もそうですけど〜。」
どうやら、見られているようですよ。ギル君。
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