第6話 注意はしても叱りはしない。
あの後、キーアンが何をして、何を吹聴したのか知らんが、圧倒的に俺の評判が悪くなっていた。例を挙げると、「やつは着ぐるみを切る変態な上にロクでも無い人間だ。」「僕の手柄を横取りしやがった。」「僕から彼女を寝取っていった。」とかである。最初のは甘んじて受け入れよう。だが、何だ三つ目の。これは許せんなぁ。俺が言われるのは……まぁよくは無いけど、あいつまで巻き込むのはよく無い。本当によく無い。
「はぁ……やだなぁ…。もう…なんか……めんどくさいし。しかも何で今日あった事が町中に伝わってんだよ…。視線が……。」
嫌になったので、屋根裏部屋に帰る事にした。
「レーナちゃん大丈夫だったかーい。」
と言ってドアを開けると、家族が感動の再開とでも言うように抱き合っていた。
「…………失礼しましたー。ごゆっくりどうぞー。」
と言ってドアを閉めようとしたらガッズに防がれた。チッ。
「よく無事だったな…。あと、レーナを助けてくれて、ありがとう。」
「私からも、ありがとうね。あなたが居なかったら今頃どうなってたか…。」
「やめてくれよ。俺は着ぐるみ着て敵を倒した変態だぜ?まぁ、その手柄もほぼ内容なもんになっちまったが…。」
と言って話していると、レーナちゃんがすごい深刻そうな顔をしていた。
「レ、レーナちゃん?どうしたのそんな顔して…。」
「ごめんなさい!あんな所にいて、迷惑かけちゃって…本当にごめんなさい!」
「ん?いや、別に良いって。ただ一個聞かせて欲しい事があるだけで。叱ったり、怒ったりしてないよ。」
「本当?」
「ああ、そうだよ。で、何であんな所に居たの?」
「………わかん無い。」
「え?」
「ごめんなさい!本当に分からないの!気づいたらあそこに飛ばされてて!そしたら目の前でお姉ちゃんとあのバケモノが戦ってて!本当に!本当に分かんないの!」
「…………なるほどねぇ…。反逆者でもいるのかな?この街には…。まぁ良いや。うん。無事でなにより。これからは、まぁ、その…防犯にも気をつけていこうな。うん。」
「う、う、うわ〜〜〜〜〜〜ん(泣)!」
「ありゃりゃ?泣いちった。そうだ。なあ、こっち見ててな。スキル『着ぐるみ』、発動。」
【何を選択しますか? 検索[ ]
・うさぎのうささん
・おおかみのおーくん
・くまのべあちゃん
・ことりのばーくん
・etc................開きますか?】
というモニターが出てきた。
とりあえず検索で、一番可愛くて一番教育に良いキャラクターを探した。結果。
「ほらほら〜うささんだよ〜。なんつって。」
スキルの効果で声が高くなってはいるが一応俺である。しかもなぜよりにもよって
まぁ、なかなかモフモフだったのでレーナちゃんもご満悦のよう。良かったです(^^)ニコ。
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その夜。
「今日はなんか濃密な1日だったなぁ〜。うん。疲れたわ。さすがに。ん何かもう。うん。ホント。明日からどうしよ。」
「むぅ〜。無視はよく無いと思いますよ〜。」
「あのなぁ……。何で俺の部屋に入って来てんの?躊躇いは無かったのか?躊躇とか羞恥とか。」
「そんなものが恋する乙女に通用しますかね〜。」
「そんな事ホントに言ったりするんだな。」
「さぁ先輩!Let's子作りと行きま「行きません。おやすみ。」え?この状況で寝ますか?え?ホントに?」
「スピー………。」
「えぇぇぇ…。」
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