第3話 到着

 目的地は長野県、新幹線で向かい途中からバスで山のほうまで行く……らしい。


「ほらほら、いつまで落ち込んでるの! ほら勇気の番だよ」


 今みんなでしているのはトランプ、ババ抜きだ。

 2回連続で俺が負けているところだ。


「うーむ……これだ! ……揃わないな」


 運が悪いのか、それとも如月のカードの配列が毎回なにかしら考えられているのか……それとも如月のポーカーフェイスのせいか、よくわからない。


 いっそ考えてやらない方がいいかもしれない。

(そうだ、会話しながらするか)


「そういえば、気になっていたんだがどうやってチケットを手に入れたんだ?」


「あぁ、これか? 商店街の福引屋の2等。俺の運が凄すぎてな」


 ……福引屋で3等以上当たる人、初めて見たかもしれない。


「……普通にすげえな」


「へへ! まぁな! 多分お前の運から少し奪ってる、かもしれない!」


 そう言った瞬間、俺の手元にジョーカーが追加。

(まじかよ……)


         ***


「んー……はぁっ! 着いた! ふわぁ……」


 と、伸びをしてあくびをする如月。


「如月さんは途中から寝てましたもんね、お疲れでしょう」


 結局ババ抜き以外のゲームもしたが7割ほど俺の負け。

 トランプに強かった如月が寝始めた時、チャンスかと思ったが、それでも他2人には勝てなかった。


「ゆ、勇気君も……お疲れ様です」


 申し訳なさそうな顔をして見てくる姫野。

(神経衰弱で無双してたもんなぁ……)


「気にしなくていいわよ、勇気、いつもこんな感じだからさ……それよりさ、花音ちゃん」


 と、女性陣は2人してコソコソと、何かを話し始めた。


「……いつからなんで呼び方になったのよ」


「……え、私勇気くんって言ってました!? え、嘘……!!」


「なるほど、さしずめ脳内で読んでいた名前が気がついたら外に出ちゃった……ってところね」


「……!! そ、そんなわけ……」


「図星ね……」


「……で、でもなんで勇気くん反応がないんでしょうか……まさか気づかないってこともなさそうだし……」


「……それが彼ならあり得るわ」


「……えぇ……」


(心なしか何かこっち見ながら話している気がするな……)


「な、なぁ……なにひそひそと話してるんだよ」


「「はぁ……」」


 こっちを向いた女性陣2人の盛大なため息。


「えっ……」

 困惑する勇気と、


「やれやれ……」


 その後ろで呆れている大塚。

 まぁ、何はともあれ、長野駅に到着!

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