5章 普通が一番
5章までのあらすじ
日本の会社員であった主人公は死に通じる仮神に殺され、剣と魔法の世界にて新しくセイジェンド(通称セージ)として生まれ変わった。
仮神ことデス子(セージ命名)はセージに街で一番の魔力持ちに成長してねと言い、そのために魔力感知(が出来る)加護を与えた。
デス子の加護はその仮神である自らの体の一部である瞳をくり抜き、幾重もの封印でもってセージに宿すというものだった。封印はセージの成長に従って少しずつ緩み、その力を解放してセージのものとさせるよう細工がされており、封じられた瞳は自らの開放を願って運命に影響を及ぼし、セージに多くの試練を運んでくる。
セージは生まれて一ヶ月もしないうちに実父と死別し、経済的に困窮した母親から孤児院(と勘違いされた家)の門前に捨てられ、セイジェンド・ブレイドホームとなった。
そして拾われたものの、そのブレイドホーム家は貧乏だった。
セージは幼いながらも四苦八苦してアルバイトに精を出し、なんとか食べるのに困らない程度の生活を送っていたが末弟の死をきっかけに簡単に稼げる命がけの仕事に足を踏み出す。
幸い、セージには仮神の瞳が封じられており、擬似的な神性、不死の力を持っていたので死んでも何とかなった(この時点では本人は未自覚)。
そんなこんなで一般家庭並みに生活水準を上げ、エンゲル係数を引き下げることに成功したセージだったが、養父であり師であるジオレイン・ベルーガーが偉大な功績をなした英雄であったため、金銭的な不自由がなくなった(ただしセージはジオに感謝などしない)。
ただ二番目の兄であるカイン・ブレイドホームとのとある事件を経て、少なくとも兄弟子供たちが立派な大人になるまでは、命がけの仕事はやめずに立派な職人(戦士です)として胸を張って仕事をしようと決意する。
英雄ジオレインはしかし同時に魔人と呼ばれる無頼漢であったため、過去には多くの揉め事を起こしてきた。
そのため彼に隔意を持つ騎士の名家マージネル家に目をつけられ、セイジェンドは最年少の皇剣ケイ・マージネルとは剣を交わすまでに至った。その戦いの中でセージは自身に眠るデス子の力に気付き、大きく成長をする。
戦いは突如現れた竜によって中断され、その竜はジオレインと最強の皇剣ラウド・スナイクの手によって狩られる。
その後は交換留学などを経てマージネル家とも和解し、守護都市三大名家と面識を得る。
守護都市の名家には今は廃れた名家が有り、そこにはセージの義兄アベルとカインも在籍していた。
その名家、ジェイダス家はジオの師であるアシュレイ・ブレイドホームが用心棒をしていた家でもあり、なじみの深い家だった。
そのジェイダス家は十年前から幾度となく悪漢に襲われ壊滅的な被害を受けており、アベルとカインの実の家族もその際に殺されている。
その殺害犯であるフレイムリッパーは、アベルの恋人であり、守護都市の腐敗した官僚機構を是正するシエスタ・トートを狙って再び姿を現した。
シエスタは心臓を貫かれるものの、セージとの契約で一命を取り留め、その後アベルと正式に婚約を交わした。
セージはフレイムリッパーことデイトの殺害を決意し、アベルは殺伐とした社会を変えることを誓った。
※※※※※※
IF補足
二章以降のIFはデス子の介入のない(セイジェンドの魂が転生体でない)世界の運命となっています。(一章のIFは失敗して消えた運命です)。
以下は、変化した運命を一部抜粋しています。
・セイジェンドの魂が日本人であった前世の記憶を持つサイコパス
・ダストがブレイドホーム家に拾われ、その後病死する
・カイン生存
・ケイ生存
・アベル生存
・クライス生存
・アール生存
・マージネル家零落回避
・ブレイドホーム家焼失回避
・ジェイダス家零落
※※※※※※
ここからは設定ネタ混じりの人物紹介になります。苦手な人は気をつけてください。
年齢に関しては5章開始時のものとなります。
セイジェンド・ブレイドホーム。
愛称セージ。九歳。
本編の進行役で、元日本人。サイコパスな一面を持つ偽善者。
心臓にデス子の瞳が封じられており、劣化はしているが現世神の不死の肉体と全てを見通す眼(本人の認識は魔力感知)を持つ。
身長は139cmになった。
デス子
本名年齢共に不詳。死を連想させる喪服として、常に黒いドレスを着ている。
世界の運命を守る
出番はたまに顔を出す程度。
謎めいたヒロイン(自称)だから、出番が少ないくらいでちょうどいいんですよ~。
ジオレイン・ベルーガー
愛称ジオ。あるいは親父。推定年齢四十三歳。
竜殺しを果たした英雄であり、セージたちを拾った一家のまるでダメな大黒柱のオヤジ。
恩師であり育ての親である男の娘(※ムスメ、と読みます)といい関係になり、彼女との間には娘が生まれ、出産したことも知らされず家の前に捨てられた。
そして似たような実の子供がそこいら中にいたが、現在は捨てられた子を含めて二名しか存在しておらず、生まれていたことも知らない本当にまるでダメなオヤジ。
アベル・ブレイドホーム
愛称アベル。あるいは兄さん。十六歳。
仇敵フレイムリッパーとの対峙を経て、名家の立ち上げを決意した青年。一回り歳の離れたショタコンと婚約中。
4章にて高校卒業の資格を取り、その後は福祉関係の資格も順調に獲得した。結果、ブレイドホーム家は正式な認可保育所として認められた。
今はいずれ大学進学で家を離れることを見越して、雇っている保育士たちが正式な保育資格をとれるよう指導したり、勉強の時間を作ってあげたり、合間の時間にミルク代表や婚約者の手伝いをし、さらに大学受験に備えて自身の勉強も怠らないハードスケジュールをこなしている。
ifアベル
享年十五歳
家を焼失し、家族とも離ればなれになってホームレスとして生活していたところ、偶然にもフレイムリッパーを発見、殺意を抱いてつけ回すも、返り討ちに遭う。
デス子の介入とセージの行動によって消失した致死の運命。
マーガレット・ブレイドホーム。
愛称マギー。あるいは姉さん。十五歳。
ジオが最初に拾った子供で、それだけにお互いに思うところが強いファザコンさん。
裁縫でお金を稼ごうと独学で始めたが、周りからは下手な趣味ぐらいにしか思われていない。良くも悪くも善良な普通の少女で、それだけに幼い弟が命がけの仕事をしていることに負い目を強く感じてしまっている。
カイン・ブレイドホーム
愛称カイン。あるいは次兄さん。十三歳。
過去にアベルとともにフレイムリッパーの手によって家族を惨殺、放火されている。ただしその時の記憶は恐怖から失っている。
英雄に憧れ、皇剣を目指して鋭意努力中。次期皇剣武闘祭にてギルドに登録、新人戦出場を当面の目標としている。
ifカイン
享年十歳。
実父に憧れるあまり軽い気持ちでカツアゲなどを繰り返したところ、捕縛依頼を受けたケイ・マージネルによって殺される。
デス子の介入とセージの行動によって消失した致死の運命。
セルビアンネ・ブレイドホーム
愛称セルビア。あるいは妹。九歳。
セージと一緒に拾われたことで、周囲からは双子として扱われている。
実際にはジェイダス家の跡取り娘で、当主アンネとジオの間に生まれた子供。アンネはアシュレイの娘でもあるため、ブレイドホーム家の血も引いている。
騎士養成校に通い、カインやケイ、そして誰よりもセージに触発され、カイン同様、次期皇剣武闘祭新人戦出場を目指しており、そのために養成校での推薦を勝ち取ろうと努力中。そんなセルビアの最大の敵は筆記試験である(本人の名誉のために言っておくと、新人戦推薦枠は十五歳ぐらいの子達が狙うものなので、武力はともかく学力ではなかなか敵わないのである)。
身長は140cmにまで成長したが、クラスメート(♂)にからかわれるので、あまり大きくなりたいとは思っていない。
ダスト・ブレイドホーム
愛称ダスト。あるいは弟。故人。享年四歳。
実母を早くに亡くし、実父は男手一つでダストを育てようとしたが、ギルドの仕事や育児疲れなどから次第にダストへ暴力を振るうようになった。
実父がギルドの仕事で命を落とした後、家を出るなと厳命されていたダストはそのままアパートで飢え死にするはずだったが、セージに金銭と精神の面から負荷を与えようとする試練の導きによって街を彷徨うこととなり、行き倒れてブレイドホームの姓を得る。
その後は人道的な扱いを受けて幸福な時間を過ごすが、もっと家族と楽しい時間を過ごしたいと思い、もっともっと家族と一緒に幸せな時間を過ごしたいと願いながら、死にたくないと苦しみながら、その短い生涯を閉じた。
シエスタ・トート
愛称シエスタ。
ブレイドホーム家にある離れの家を借りている高級官僚さん。役職は監査室室長。汚職とか横領とか公権乱用をすっぱ抜く人。
高学歴で若くして偉い立場を持つエリートさんで、さらには美人さん。一回り年の離れた青少年と婚約した真性のショタコン。もっともこれは合法な行いなので、誰に後ろ指を指されるいわれもない。ただショタコンと呼ばれるだけなのである。
フレイムリッパーに襲われた際に致命傷を負い、それを癒すためにセージと契約をした。またその際のセージの行いを記憶に残らぬ魂で目撃したため、セージに対して深い信仰を抱いている。
アリンシェス
愛称アリス。エロフとか安エルフと呼んではいけない。
エルフの受付嬢。美人なのにお笑い担当になることが多い残念ビッチさん。
地元(共和国にあるエルフの村)ではクール&ビューティーな戦士で通っていたが、守護都市でそれを信じてくれる人はいない。
アレイジェス
愛称アーレイ。
この国に派遣されているエルフの代表者で、肩書きは族長代行。アリスの実兄。あんまり出番はない。
ケイ・マージネル
最年少で皇剣の座に就いた才気あふれる少女。名家当主の孫娘で、血縁上はジオの娘に当たる。
ジオのことは尊敬し、目標とする戦士と思ってはいても、父親とは感じていない。ただたまに話しかける時なんかは緊張からどもる。
アベルに淡い恋心を抱いていたが、それを自覚した時にはすでに叶わぬ恋となっていた。でも好きなものは好き。そして失恋と師匠のセクハラが原因で胸の平らさにコンプレックスを抱いてしまった。
商業都市での防衛任務のため、5章では蚊帳の外。
ifケイ
犯罪者であるカインを殺したことで、報復としてジオに殺された。
デス子の介入とセージの行動によって消失した致死の運命。
マリア
ケイのお付きの人で、教育係。女の子にセクハラをするのが趣味の困った師匠。念のために明記しておくと女性である。
ただリアクションの大きなケイが思春期を迎えたので、からかいにくくなってしまい、フラストレーションを溜めている。
ジオのことは人間として軽蔑していて、戦士として尊敬し、男としてアレな思いを寄せるツンデレさん。
ラウド・スナイク
この国における公式最強さん。精霊との契約者である皇剣で、飛翔剣という金食い虫な技を扱う本当に強い人。未だに未婚で子供がおらず、名家当主である弟から月に一度は見合いの話を持ってこられて辟易している。
ジオとは腐れ縁のライバル関係。断じてホモではない。
あとギルドに舐めた真似をするやつをシメたりもする。
スノウ・スナイク
名家の当主で、耳が早く部下からも慕われ、ついでに浪費家の兄の面倒も見れる内政チートさん。別にジオに思うところはない。その代わりシエスタやセージに興味津々。最近はアベルの動向もチェックしている。
アールがダメになったから、代わりが欲しいんだよねとは、周囲に漏らした珍しい本音。
クラーラ・シャルマー
若くして名家の当主となった陰険姫。シャルマー家は多くの被害を被ったので、かつて暴れまわっていたジオにはそれなりに思う所がある。あとシエスタに憧れていて、マギーから憧れられている。
4章では空気だったが、今回は出番があるはず。
ミルク・タイガ
商業都市で名家の傍流に生まれ、利発なところと整った外見から本家の脂ぎったおっさんとの縁談が持ち上がり、守護都市に逃げてきた。一時期はギルドにも登録していたが、すぐに身をやつして娼婦となり、そこから這い上がったもののジェイダス家に囲われ、さらに紆余曲折あって出奔して商会を立ち上げた。
シエスタの後ろ盾であり、アベルの元雇い主で、現在は協力者。名家の悪政には思う所がある。
尚、タイガ姓は守護都市に来てから名乗っているもので、本来の姓ではない。
アール・マージネル
ケイの実母であり故人であるカレンの兄で、ケイの養父。
色々と思う所があってジオに喧嘩を売り、セージがとばっちりを受け、気持ちよく負けて、旅に出た。
現在は学園都市で若い子に囲まれつつキャンパスライフを送っている。
ちなみに学園都市では一、二を争うぐらいの戦闘能力を持ち、経歴から都市防衛本部の人たちからも頼りにされ、ついでにお金持ちで家柄も良いナイスミドルなので、当然のごとくモテる。
ただ根が生真面目で、仲良くなり始めた娘からの視線が気になっているので、女遊びとかはしていない。
ルヴィア・エルシール(ルビィから修正)
今生におけるセイジェンドの実母。二十五歳。
絶世の美女で、幼い頃は国を挙げた四年に一度の精霊感謝祭で行われる美少女コンテストで優勝し、国主の精霊から祝福されたこともある。
商業都市名家当主の末娘で、日がな一日窓際でぼーっとして過ごしている。たまに姪に心配されて外に連れ出される。姪が連れてきたこの国に八人しかいないスターにも心配されて外に連れ出されたりもする。
デイト・ブレイドホーム
アシュレイが拾った多くの子供のひとりで、のちに拾われたジオを兄として慕う。
過去に悲惨な目に会い、それが全て己の弱さによるものと思い、絶望的な死地を渡り歩いて徹底的に己を鍛え上げた戦闘狂。
強いということ、正しいということに拘りがあるが、それは決して善なるものではない。
竜に呪われ力を失った兄を救うため得体の知れぬ女と契約し、その心臓を差し出している。
契約後は多くの後ろ暗い仕事を任され、フレイムリッパーとして指名手配もされている(ただしフレイムリッパーの正体がデイトであることは発覚していない)。
喧嘩が強くて口喧嘩も強いセージの天敵で、チート補正のないリアルラック値は作中で最底辺を争うと思われる人。
アシュレイ・ブレイドホーム
二十七年前に亡くなった故人。ジオに真っ当に生きるすべを教えた面倒見のいいアニキであり、ジオに数々の悪い遊びを教え込んだチンピラでもある。
もしもアシュレイが存命で4章の事件に立ち合ったら、デイトを殴り飛ばし、特に理由はないがセージを殴り飛ばし、ついでにしっかりしろとジオを殴り飛ばし、そしてミルクとシエスタに手を出そうとしてアベルに殴り飛ばされただろう。
実力は及ばずとも狂戦士たちを御しうる、良く出来た父親であった(ただし節操はない)。
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