第37話 お前らのせいで父上が死んだのだぞ!

「シロウ王の父上であるライデン国王には世話になった。最後まで我らと共に魔王と戦い続け、彼は勇敢に死んでいった。息子であるそなたに礼を言うぞ」


 イジューイ王はシロウに頭を深々と下げた。


「ありがとうございます。父上も天国で喜んでいるでしょう」


 シロウはそう応えた。

 今回の議題は以下の通りだ。

 各国の同盟強化についての意見交換。

 魔法などの技術支援。

 そして、モンスターについて。


「憎き魔王はモンスターを率いて日々、力を付けている。我らもそれに対抗するために、より同盟を強固なものにしたい。そう考えいる」


 イジューイ王がそう言うと、全ての王が頷いた。

 モンスターの脅威は人間にとって無視出来ないものになっていた。

 数が少なければ、亜人間と同じ様に扱うことも出来る。

 だが、モンスターは魔王を頂点としたピラミッド構造だ。

 魔王はモンスターヒエラルキーの頂点に君臨し、知能のあるモンスターで複数の軍団を作り統制の取れた攻撃を人間に仕掛けてくる様になった。


「ついては、各国にて調査隊を結成する様に提案をしたい」


 各国の王たちがざわめいた。


「調査隊とはどういったもので?」


 問い掛けたのはスーミカ王女だ。


「魔王の城がある『暗黒大陸』を探索する隊のことだ。今までは各国で勇気ある者がギルドを結成しパーティを作って単独で、思い立った時に行っていた様だ。ラインハルホ王国のライデン王の様にな。それでは場当たり的で、情報が蓄積されない」


 イジューイ王は周囲を見渡した。


「つまり、今後は魔王討伐に向け、体系的に事を進めるということだな」


 スーミカ王女がそうまとめると、イジューイ王は満足そうに頷いた。


「今まで国が個人に頼り過ぎた。その結果、ことを急ぎ過ぎ単身で魔王に挑んだライデン王は死んだ」


 急ぎ過ぎた? だと?

 シロウは内心腹が立っていた。


(お前達が、いつまでも動かないから父上が行動を起こしたというのに。もっと早く対策を打ってくれれば父上は死なずに済んだのだ)


 怒りをぶちまけたかったが、グッと堪えた。

 そこは弱小国の悲しいところだった。

 シロウは膝に乗せた拳を握り締め、唇を硬く結んだ。


つづく

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