第33話 『ここはXXXの街です』だけ言うキャラクターについて
「NPC?」
一体何なんだそれは……?
「ヒロアキ、この世界の事もう少し勉強した方がいい」
ハンナに冷たく指摘されてしまった。
すまん。
勉強不足は認める。
「で、NPCって?」
あの美少女たち一人ひとりには名前があって、感情がある。
そう思っている。
何か訳の分からないカテゴリに一括りにされることに違和感がある。
「NPCっていうのは、ノンプレイヤーキャラクターの略。この世界の住人であると同時に、それぞれの役割を持っている。私たちみたいに思うがままに生きることは出来ない」
「?」
ハンナが何を言っているのか分からない。
僕はシィダを見た。
彼女も首を傾げている。
「多分、ヒロアキの元にハーレムっていうスキル以外で集まった女の子たちは、全部NPC」
ハーレムで呼び寄せたハンナやシィダと、街やスラムで拾った美少女たちは別物ということか。
「多分、あの子たちはヒロアキを助けるという役割のためだけに生きている。それがNPCである彼女たちの運命」
「NPCってなんだか可哀そうだな」
自分たちの思うように生きられないなんて……
ハンナが続けた。
街の案内だけをするNPC。
城の扉の前で警備だけをしているNPC。
洞窟の中をうろうろしているだけのNPC
それらはこの世界での役割を全うするためだけに存在する。
「NPCはご飯を食べなくてもいいから、何を食べても不味くも美味しくも感じない」
ハンナはシィダに向かってそう言った。
シィダがむっと顔をしかめた。
「僕の助けるためだけに生きている存在……それって」
僕はゾッとして、ハンナを墓地に連れて行った。
◇
ずらりと100体の墓が並んでいる。
襲ってくるモンスターから僕を守るために死んでいった100人の美少女孤児たちが眠っている場所だ。
「この娘たちも……」
ハンナが無言で頷いた。
「真の勇者である可能性が高いヒロアキを守るという役割を持っている」
……そうだったのか。
それで僕の元に美少女が集まったのか。
「ヒロアキ、これを読んでおくといい」
「え?」
「この世界のことが多少なりとも書かれている。『攻略本』だ」
つづく
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