第31話 美少女キャラの作る料理は大抵まずい

 ハンナ

 レベル:13

 職業:呪術師

 HP:504

 MP:1516

 攻撃力:70

 守備力:149

 素早さ:1203

 スキル:各種呪術の使用

     小遠隔呪スモールリモートクカース小遠隔操作スモールリモートオペレーション植物呪縛プラントカース


「シィダとレベル同じくらいだね!」


 こんなに儚げなのに、呪いの魔法を得意とするとは。

 呪術師ってこの世界にそんなにいない(勇者ほどではないけど)から貴重な存在だ。


「おっと」


 突如、突風が吹きハンナがかぶっているフードがめくれる。

 形のいい頭が見えた。

 肩までのボブの黒髪に縁どられた、逆三角形の小顔。

 鳶色の瞳が大きく、鼻はツンと尖がっている。


「可愛い……」


 僕は思わずつぶやいていた。


「やだ」


 僕のつぶやきが聞こえたのか、彼女は恥ずかしそうにフードで顔を隠した。

 その慌てた感じの仕草が余計可愛さを増す。


「ハンナ、帰るところが無いってどういうこと?」

「村がモンスターに襲われた。父と母が殺された。必死で逃げていたら、いつの間にかここにいた」


 シィダと同じだ。

 孤児は僕の元にハーレムで呼ばれるというのか。


「村はどうなったの?」


 シィダが心配そうに問い掛ける。


「……多分、燃やされたと思う」

「うぇーん、可哀そうだよぉ!」


 自分と同じ境遇のハンナにシンパシーを感じたのか、シィダは泣き出した。

 呼んだのはサクラコではなかったが、不幸な美少女を一人救ったということで、僕は結果、良しとした。



 それから一週間後。


 孤児院の地下は、巨大な鉱山採掘場であり、武器、防具工房だ。

 いずれは街を作ろうと思っている。

 ラインハルホには分からない様に、地下を発展させているのだ。


「皆ー、お昼だよー!」


 僕の孤児院には、シィダ、ハンナの他に10人の美少女がいる。

 その10人は武器や防具そして鉱物を街や村に売りに行った時、出会った。

 皆、地下で僕と一緒に働いている。

 

「うわぁ……」


 シィダの作るご飯はお世辞にも美味しいとは言えない。

 焦げたピラニアの焼き物に、水を含み過ぎた米の飯、砂糖かけすぎで身体に悪そうなパン。


「沢山あるから、どんどんお代わりしてね」


 ベスみたいに調理師がいればいいが、今のところいない。

 料理スキルが無いシィダがはりきって作るご飯は、辛い。


「美味しいです!」


 だけど、皆、喜んでいる。

 心底、美味しいと思っている様だ。

 よっぽど、飢えていたのだろう。

 そのことを思うと、泣けてくる。

 その中でも一人、


「不味い」


 ハンナだけは不愛想な顔で匙を投げた。


「なんで? 私が一生懸命作ったんだよ! 不味いはずがない!」

「これのどこが料理だ? 私の作るものの方が美味い」


 おいおい、こんなとこでケンカやめろ。


つづく

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