第26話 真の勇者は躊躇せずに兄姉(元)を倒す
「うおおおおおおおおっ!」
左胸に星形のあざが浮かび上がった。
それが白く光る。
僕とシィダを白く包んだ。
幸い、シィダのHPは1だった。
僕から発せられる光を浴びたせいなのか、彼女の身体の傷が塞がりHPが回復して行く。
「なっ……なんだ、この力は」
シロウが僕の一撃を喰らってビビっている。
鋼の剣の連撃が彼を壁際まで追い詰めた。
「こっ……これが真の勇者の力!? 恐るべし」
「恐るべしとか言ってるんじゃねー! さっきの勢いはどうした!」
「くっ……」
その時、扉が開く。
「兄者、叫び声が聞こえたと思えば……、おっ、ヒロアキ! 貴様、兄者を」
「ヒロアキ、あいつがシィダのパパとママを殺したの」
「え?」
ラインハルホはエルフ狩りでもしているのか?
どちらにしても、それが本当ならナオシゲはシィダの仇だ。
「ナオシゲ。ヒロアキを止めろ。こいつは俺達二人掛かりでないと厳しい」
僕の攻撃を防ぎながらシロウが弟に指示する。
「押忍!」
武闘家独特の返事でナオシゲは応えた。
鉄の爪を両手の甲にはめ、僕に突っ込んで来る。
「はっー!」
拳が飛んで来る。
すっぴんだった頃なら、避けることは出来なかっただろう。
だが、今は違う。
僕は見切った。
奴の拳を。
シュパッ!
「うおおおおおっ!」
ナオシゲの右腕が吹っ飛んだ。
血しぶきを上げながら宙を舞い、床にボトリと落ちる。
「くっ……くそぉ! 武闘家にとって命よりも大事な腕を……。貴様、ヒロアキ」
僕は無言で剣を一振りし、彼の右足も切り落とした。
彼はドチャッと醜い音を立て、地面に尻餅をついた。
「うおおおお! 姉者! 回復魔法を頼む!」
情けない。
武闘家なら痛みに耐えろ。
「
マリエッタがナオシゲを治癒した。
だが、欠損した腕や足は治癒魔法では戻せない。
彼は今後、攻撃力、防御力、素早さが失った腕や足分、減少する。
「ヒロアキ! これを見ろ!」
僕は声に反応し頭上を見上げた。
王の間を見下ろす階段の踊り場に、二つの影がある。
そこにはシロウと……
「サクラコ!」
つづく
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