第25話 僕のために死んでくれた

「シロウ、許さん!」


 俺とヒロアキの決闘デュエルが開戦した。


(そうだ、かかってこい! ヒロアキ!)


 俺に向かって鋼の剣を振りかざすヒロアキ。

 奴を挑発したのは、俺に攻撃させるため。

 ヒロアキのステータスは、奴がこの王の間に入って来た時に……私のスキル、索敵サーチエネミーで確認済みだ。


 ヒロアキ

 レベル:25

 職業:勇者

 HP:2861

 MP:1746

 攻撃力:2570

 守備力:1949

 素早さ:2053

 スキル:ハーレム、魔法反射マジックリフレクション、強臭覚、強味覚、筋肉増強、手刀、脳筋対策、気力、大規模攻撃マッシブアタック大規模攻撃マッシブアタック戦闘太陽バトルオブライジングサン小回復スモールリカバリ中回復ミドルリカバリ復活呪文リダクションモヨモト


 ついに勇者になったか。

 ヒロアキ。

 いくつか、判別不能なスキルはあるが、私の目に狂いは無かった。

 ならば、一ヶ月前、サクラコと茶番を演じていた時に光った星のあざは、真の勇者の証か!?


「甘いわ!」

「ぐわっ!」


 ヒロアキの一閃を、我がエクスカリバーの刀身で受け弾き返す。


「ヒロアキ、お前、成長した様だが? こんなものか? 早く本気を出さぬか」


 ヒロアキが真の勇者なら私と互角に戦いが出来るはず。

 奴が真の勇者か見極めるために、奴を挑発したのだ。

 真の勇者なら、このラインハルホ一族に引き入れる。


「はははっ! こんなものか! お前の力は!」


 ヒロアキの連撃はまるで遅い。

 剣さばきは自己流で、私の様に体系的に学んだもののそれと比べると、荒い。

 だが、勢いがある。


「うおおおおおお!」


 ん……?

 この私が押されている。

 否、そんなはずは、ないっ!


大地地震アースクエイク!」


 床に突き立てたエクスカリバーの先端が、大地を揺らす。

 振動でここにいる全員の動きが、一瞬だけ止まる。

 目を見開き剣を構えたまま停止したヒロアキに近づく。


「さぁ、ヒロアキ、お前が真の勇者ならこんな状況でも動けるはずだ!」


 だが、応答は無い。


「残念だ。貴様が真の勇者だというのは買いかぶりだったか!」


 ならば、死ね。


「だめぇ!」


ザクリ!


 袈裟切りにされたのは、ヒロアキじゃない。

 お前は誰だ?

 そうか、ヒロアキが連れているエルフか。

 こいつがヒロアキの身代わりに。

 だが、大地地震アースクエイクを喰らって何故、動いていられた!?


「シィダ!」


 呪縛が解けたヒロアキは、無残に血を流すエルフを抱きしめた。

 まったく、非情さに欠ける奴だ。

 そんなことでは、今度はお前が殺されるぞ。


「ヒロアキ、そいつは邪魔者だから切り捨てた」

「お前だけは許さん!」

「ヒロアキが真の勇者じゃないようで残念だ。死ね」


 エクスカリバーを振り下ろす。

 その時、ヒロアキの左胸が光った。


つづく

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