第8話 そして、僕には貧乏領地が与えられた
<私は兄や姉たちのやり方が嫌いです。ここにいては彼ら彼女らの支配下のまま。ならば一度、野に下り自分の理想を追い求めたいのです>
サクラコは一族の中で一番年下だ。
そのせいか、僕の次に辛い扱いを受けていた。
それがこういう形で爆発したというのか。
「どうした? 真面目にやらんか」
ナオシゲが叱咤する。
そろそろ芝居が怪しいと思われ始めた。
<だめだ。君と僕は立場が違う。追放されるなら僕の方だ>
<でも……>
<僕も君と同じ理想を持っている。どこかで交わることもあるだろう>
しばしの沈黙。
<ヒロアキ……私、あなたが兄じゃないことが分かった時、嬉しかった>
<え?>
<また、いつか会おうね>
その時、僕の左胸がうずいた。
布の服を通して、左胸から光が放出された。
◇
「はぁ~あ。追放の方がマシだったかなぁ……」
僕の目の前には草一本生えていない広大な荒れ地が広がっていた。
「じゃ、後は任せたぞ」
僕を連れて来た兵士は、グリフォンの背に乗って飛び立って行った。
「ヒロアキに領地を与えよう」
シロウは僕にそう言った。
僕はサクラコに降参した。
彼女はそれを受け入れた。
シロウの気が変わった理由が僕には分からない。
一つだけ言える事。
その結果が、この荒れ地だった。
プロローグ おわり
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