第8話 そして、僕には貧乏領地が与えられた

<私は兄や姉たちのやり方が嫌いです。ここにいては彼ら彼女らの支配下のまま。ならば一度、野に下り自分の理想を追い求めたいのです>


 サクラコは一族の中で一番年下だ。

 そのせいか、僕の次に辛い扱いを受けていた。

 それがこういう形で爆発したというのか。


「どうした? 真面目にやらんか」


 ナオシゲが叱咤する。

 そろそろ芝居が怪しいと思われ始めた。


<だめだ。君と僕は立場が違う。追放されるなら僕の方だ>

<でも……>

<僕も君と同じ理想を持っている。どこかで交わることもあるだろう>


 しばしの沈黙。


<ヒロアキ……私、あなたが兄じゃないことが分かった時、嬉しかった>

<え?>

<また、いつか会おうね>


 その時、僕の左胸がうずいた。

 布の服を通して、左胸から光が放出された。


 

「はぁ~あ。追放の方がマシだったかなぁ……」


 僕の目の前には草一本生えていない広大な荒れ地が広がっていた。


「じゃ、後は任せたぞ」


 僕を連れて来た兵士は、グリフォンの背に乗って飛び立って行った。


「ヒロアキに領地を与えよう」


 シロウは僕にそう言った。

 僕はサクラコに降参した。

 彼女はそれを受け入れた。

 シロウの気が変わった理由が僕には分からない。

 一つだけ言える事。

 その結果が、この荒れ地だった。


プロローグ おわり

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