第7話 私が身代わりになります

 サクラコ

 レベル:15

 職業:召喚士

 HP:952

 MP:2910

 攻撃力:235

 守備力:519

 素早さ:1065

 スキル:召喚獣や精霊の召喚

     小さき青い雷鳥、通信虫コミュバグ、コロリン、イフリート


 対して僕は……


 ヒロアキ

 レベル:8

 職業:すっぴん

 HP:1/400

 MP:40

 攻撃力:24

 守備力:54

 素早さ:185

 スキル:なし


 僕は先程のナオツグとの戦いで僕のHPは1のままだ。


「ヒロアキ」

「はい」


 マリエッタの声に僕は応える。


「私はラインハルホ一族である前に治癒魔法使いです。私からの慈悲、受け取りなさい。小回復スモールリカバリ


 彼女の手の平から白い光が発せられた。

 僕の身体を優しく包む。

 僕のHPが全回復した。


「ありがとうございます」


 彼女は無言で頷いた。

 マリエッタとはこうした関係で出会いたくなかった。


 それにしても……

 サクラコはナオツグよりはましな相手だ。

 とは言っても、勝てる相手だとは思えない。

 それに、彼女は僕をかばってくれたいわば味方だ。

 戦いたくない。

 辞退しようかと考えている。

 ということはつまり、僕はやはり追放されるということか。


「いでよ、小さき青い雷鳥。サモン・サクラコ・スモールブルーサンダーバード」


 そんな僕を無視するかの様にサクラコは詠唱した。

 地面に魔法陣が浮かび上がり、中心から青い小鳥が飛び出した。

 身体には電撃を帯びているのか、バチバチと黄色い火花が散っている。


「おいおい、戦う気満々じゃねーか」


 僕をかばってくれたのは一体何だったのか?

 突然戦闘モードに切り替わった元妹に僕は混乱した。

 電撃を帯びた小鳥が一直線にこっちに向かってくる。


 だめだ、やられる!


<ヒロアキ>

「え?」

<安心して下さい。あなたを殺しはしない。適当に戦う振りをして私は降参します。ヒロアキはそれを受け入れてください>


 僕の脳内にサクラコの声が響く。

 ふと気づくと、僕の肩に虫が止まっていた。

 カナブンの虫。

 緑色の背が光り輝いている。


<それは通信虫コミュバグという召喚獣です。私の側にもいます。青い鳥を召喚すると同時に、通信虫コミュバグもこっそり召喚させました。お互いこの虫を通して脳内で会話が出来ます。誰にも知られずに二人で>

<なるほど>


 サクラコは戦う気は無い様だ。

 その証拠に青い鳥は僕の周りを飛び回っているだけだ。

 僕はそれを適当に追い払う仕草で対応した。

 傍目からは戦っている様に見える。


<サクラコは追放されたらどこにいくの? 行く当てはあるの?>

<いえ……>

<なら、やはり僕が……>


つづく

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