第3話 お前の両親は本当は別の人なんだよ
「チャンスか……そうだな。だが、こいつにはもうそんな資格はないのだよ」
シロウの低い声が王の間に響いた。
どういうことだ?
ここに来て意味深なこと負いう長兄に、僕は違和感を感じた。
「父上はもう死んだ。だから、今まで伏せていたことを……この際、ヒロアキに告げても良いでしょう。母上」
シロウは妃(つまり僕の母でもある)に目を向けた。
豪奢な深紅のドレスをまとった彼女は頷いた。
「ヒロアキよ。お前がラインハルホの一族であるなら、印があるはずだ」
そう言うと、兄弟姉妹達は一斉に左腕をまくった。
全員の左肩が露わになる。
そこには太陽の形をしたあざがあった。
「これが我が一族の証!」
全員のあざが一斉に輝いた。
僕は眩しさで目の前が真っ白になった。
「あざ何て……偶然出来たものかもしれないじゃないかっ!」
もちろん、僕にはそんな証など無かった。
信じたくなかった。
僕が王様の子供じゃないなんて。
シロウは泣きそうになっている僕を見て、フッと笑った。
彼が背後を指差した。
玉座の後ろには、先代の王様であるラインハルホ・エスターク・ライデンの肖像画が飾られていた。
モンスターの血で染まった鎧を着たその姿は、いつも僕に優しかった王様とは違う。
凛々しく勇ましい姿だった。
鎧が外れむき出しになった左肩には太陽の形をしたあざが浮かんでいた。
「やっと分かったか。ヒロアキよ。どういう訳か父上はお前に気を使って俺たちにこのことを黙る様に言っていた。だが、父上亡き今、お前はもう我々にとって他人だ」
僕が王様の子供じゃないとすれば、僕の両親は一体誰なのか?
どこにいるのだろうか?
そして、王様は何処で僕を拾い、何故、大事に育てていたのか?
僕の頭は混乱した。
やはり、王様が残したであろう遺言書を見る必要がある。
そこに真実があるはずだ。
「遺言書を見せてください!」
僕は強くなりたい。
強くなって、この兄弟姉妹を見返したい。
僕はシロウに向かって進み出る。
「やめろ! ヒロアキ! お前は平民なのだ。これ以上の無礼は許さんぞ!」
武闘家のナオツグが僕の前に立ちはだかった。
「どけよ!」
「貴様、何だその口のきき方は!」
戦闘が始まった。
その証拠に彼のステータスが開示される。
それはあくまで彼が公開している範囲のものだが……。
ナオツグ
レベル:46
職業:武闘家
HP:5400
MP:0
攻撃力:2504
守備力:531
素早さ:8535
スキル:はめ殺し、ダブルアイアンクロー、瞑想、気合溜め、
対して僕は……
ヒロアキ
レベル:8
職業:すっぴん
HP:400
MP:40
攻撃力:24
守備力:54
素早さ:185
スキル:なし
つづく
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