第2話 骨肉の争い! 王の遺産は誰のものに!?

「納得いきません!」


 僕は思わず声を上げていた。

 僕が平民だなんて……

 王様が死んだことで、ラインハルホ王国の資産をどうするかの話し合いが行われた。

 それは城の一般人は入れない、つまりラインハルホの血族しか入れない秘密の部屋で行われた。

 僕はその話し合いに参加させてもらえなかった。

 悔しかった。

 部屋の扉の前で僕は泣きそうだった。

 だが、五男なので兄に従った。

 その結果がこれだった。


「お前はこの国を治める貴族としての品位と実績……そして実力が無い」


 長男のシロウは冷たい目でそう言った。

 彼はレベル50の戦士で王様の次に強いと言われていた。

 兄弟姉妹たちの中では実質彼がトップだった。

 そして、王様の玉座に彼が座ったということは彼が次期ラインハルホ王ということなのだろう。

 王様が生きていたらシロウに後を継がせただろうか。

 それほど彼は冷徹で野蛮な男だった。


「ヒロアキ、そういうことだから」


 僕の肩をポンと叩き、小袋を差し出したのは

 次男のヨシアキだった。

 彼は国内一の頭脳を持つと言われる妖術師だった。

 彼はこの国の魔法学院の校長でもある。

 その小袋には100キン入っていた。


「平民ならその金で一年は暮らせるだろう。その間に新しい仕事を見つけろよ」


 三男のナオツグはこの金を餞別だと言っている。

 彼は筋肉質な体を白い道着で包んだ武闘家だった。

 彼はこの国の武闘協会の会長を務めている。

 胸にはラインハルホの紋章が刺繍されている。


「僕はこんなはした金、いらないよ」


 僕は兄弟姉妹たちを見渡し、吐き捨てる様にそう言った。

 そして、僕は自分を奮い立たせた。


「皆はそれぞれ何を相続したのですか? 王様からの遺言書があるはずです。そこに僕のことは書かれていなかったのですか!?」


 王様は生前、僕に優しくしてくれた。

 王様はこう言っていた。


「わしに何かあればヒロアキにこの国を与えよう」


 その言葉に嘘は無いと思っている。

 だって、僕は王様の子供なのだから。

 その証拠に皆、黙り込んだ。


「やっぱり、書いてあったのですね……」


 僕は一歩、皆に詰め寄った。


「ああ、書いてあったさ」


 そう言ったのは、四男のトムキャットだった。

 彼のことは……ハッキリ言ってよく分からない。

 僕と年が1つ違うことくらいしか。


「トムキャット!」


 シロウはトムキャットを叱りつけた。

 きっと彼は勝手な発言をしたのだろう。


「いいじゃないか。兄貴、姉貴、そして妹よ」


 トムキャットは辺りを見渡した。

 彼は目が大きく鼻筋の通ったイケメンで、姉や妹たちから特別な感情を持たれ可愛がっていた。

 その彼が白い歯を輝かせこう言った。


「こいつにもチャンスを与えてあげないと」


つづく

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