第7話
話を終えた2人がルミナの部屋に戻ると、既にルミナは目を覚まし、ヨシュアが涙を流しながら喜びを顕にしていた。
そして、アルトとマーサが帰ってきたことに気付いたリーファが、肩を震わながらアルトに声をかけた。
「アル君頬っぺた真っ赤じゃん! ふふっ。」
「あぁん?」
「アルト、そんな返事は失礼でしょう。」
「は、ハイ…」
「ふふっ、こんなに素直なアル君は久しぶりにみたね。 しかし、大聖女マーサを呼び出すなんて思わなかったよ。」
「あっ、私としたことが挨拶が遅れましたね。 レスティア教の大聖女をしております、マーサと申します。以後よろしくお願い致します。」
「ご丁寧に、錬金ギルド王都本店のギルドマスターをしているリーファだよ。 宜しくね。」
「なるほど、アルトの上司ですね。 ふぅん。」
「マーサ、猫かぶりすぐふっ!」
本日二度目のビンタがアルトを襲う。
アルトは頬を抑えて涙目になっていた。
そして、自己紹介を終えたマーサはリーファのある部分をまじまじと見ていた。
そして、自分のものと見比べて肩を落とす。
「やはり、大きい方が好きなんでしょうか…」
「アル君は巨乳好きだよ〜。 よく私の胸に目がいってるし。」
「ばれてらぁ。」
「アルト、流石に上司をそういった目で見るのは…」
ドン引きした様子のマーサに、やれやれと首を振りアルトが語り出した。
「いいかい、マーサ。 男は皆おっぱいが好きなんだ。 何故なら、ロマンと愛と希望が詰まってるからね。そこに上司も部下も関係ない。」
「うわぁ…」
「それにね、性欲と権力って言うのは比較するんだよ。」
「は?」
「ヨシュアなんてお忍びで夜の街に行ってるのに、全然忍んでなかったからね。」
「アルトォ!」
「いやぁ、あの日は凄かったなぁ。 国王ともなると遊びも派手だよねぇ。」
「ヨシュア陛下…」
ヨシュアをゴミを見るかのような目で見るマーサ。
否、マーサだけではなく、目を覚ましたルミナまでもがヨシュアを蔑んだ目で見ていた。
「お父様、その件はアルト様に詳しく聞いた後、お母様へ報告させて頂きます。」
「いや、ルミナ。 少し落ち着こう。 アルトがあることない事言っているだけでな?」
「クリスティーナちゃんだっけ? 随分と気に入ってたよね。」
「アルトは黙っとけ!」
「くっは、あはは! もう無理お腹痛い! アル君その辺に、くふっ!」
「え、なにこの空気。」
シリアスから一変、このカオスな状況に困惑しているのはマーサだけであった。
暫くこの状況は続き、落ち着くまでに1時間ほどの時間を要した。
「改めて、助けて下さりありがとうございました。」
「いえ、何時でもお呼びください。」
「元気になって良かったよ。 けど、問題はこれからだね。」
「リーファよ、どういう事だ?」
「ルミナ王女の呪いは解かれて一安心だけど、この呪いは誰が掛けたんだろうね?」
その問い掛けにヨシュアは口を閉ざした。
王女を呪えるほど犯人は身近にいるという事実に、心当たりが全くなかったからである。
アルトは新たな面倒事の予感に、窓を見つめてため息をついた。
錬金術師の日常 だっち @sousi101
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