第28話最初の逢瀬

「マリユドゥと、ちゃんと話がしたい…。」

タイタンは、オリヴェイラにそう言った。

「あら。」

思わず、頬が緩む。あのタイタンが、ポーカーフェイスで有名なあのタイタンが、顔を真っ赤にしているのだ。

「つまりは、マリユドゥ様と逢瀬がしたいのですね。うふふ。日程は、明日でよろしいのですこと?」

タイタンの言葉を直訳すると、ただ単に話がしたい、となるのだが、この場合、「マリユドゥと、ちゃんと話がしたい…。(だから、逢瀬に誘いたいんだけど、できないから代わりにやって。)」と訳さなければならない。

「ああ…。」

「分かりましたわ。」


「マリユドゥ様。」

「んん?マリに何か用かな〜?」

「タイタン様から、逢瀬のお誘いが来ています。」

「逢瀬!!やったぁ~♪逢瀬のお誘いだなんて初めてだなあ♪」

「日程は明日ですわ。」

「了解♪」


「マリユドゥ…!」

タイタンの顔がボンッと赤くなる。

「お〜!タイ♪」

マリユドゥが駆け寄って来る。

「逢瀬のお誘いだなんて初めてだよ!だから、嬉しい〜♪」

タイタンは、倒れた。頭上には、K.O.の字が浮かんでいる、ような気がした。

「タイ!?」


タイタンは目を覚ました。後頭部にやけに柔らかいものが敷いてある気がする。

「あっ!タイ、起きた!」

視界いっぱいに広がるのは、マリユドゥの顔。

タイタンの頭は理解した。ここは、マリユドゥの膝の上。つまり、タイタンは、マリユドゥに膝枕されているのだ。

平常心平常心平常心平常心平常心平常心…。

心の中で何度も何度も唱え、タイタンは、落ち着いた。

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せっかく魔王を倒したのに裏切られたから魔王を復活させて人間を滅ぼす るり @k197

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