第27話マリユドゥとタイタン
「二つの気配は無くなった…。気を取り直して、あわせ技を作ろうぜ…。」
「そうね♪」
魔王城。会議。
「………………………………。」
沈黙を破ったのは、ラクカジャだった。
「…マリユドゥとタイタンが居らぬが…。」
フィーナは言った。
「逢瀬を楽しんでいます。」
皆一斉にため息をつく。オリヴェイラとミシェーラを除いては。二人はというと、目をキラキラと輝かせ、部屋の隅でコソコソと何か話している。
気にする必要は無いだろうと、二人、否、四人抜きで会議は始まった。
「それで、次に攻めるのはフェード皇国。」
「それが妥当かと。」
「問題は誰が向かうかですね。本来ならば、マリユドゥに任せるべきなのですが…。」
皇国だからこそ、マリユドゥの幻覚魔法が必要になる時なのだが、あいにく、彼女は席を外している。
「となると、ミシェーラかオリヴェイラですか…。」
二人とも、強力な幻覚魔法もどきの魔法を使える。だが、気がかりなのは、ミシェーラが男嫌いなのと、オリヴェイラが気まぐれな事だ。
「ミシェーラ、オリヴェイラ、二人のうちどちらかが向かってくださっ…!?」
ミシェーラとオリヴェイラが居なかった。
「ミシェーラとオリヴェイラを探してください!」
何時になく焦った様子でサーシャが言う。
「待っててくださいねー❕マリユドゥさん❕」
「タイタン様も、随分と積極的に成られましたわねぇ。昔は、物陰からこっそり盗み見ていただけでしたのにー。」
「ええっ❕❔本当ですかあ❕❔」
「うふふ。それが本当なんですのよ。」
ミシェーラと話しながら、オリヴェイラは思い出していた。タイタンとマリユドゥの最初の逢瀬を。確か、タイタンはオリヴェイラに「マリユドゥと、ちゃんと話がしたい…。」と頼んできたのだった。その時のタイタンの顔を思い出し、思わず頬が緩む。
「ふふっ。」
あのタイタンが顔を真っ赤にしていたのだ。ポーカーフェイスで有名なあのタイタンが。
「どーしたんですか❔」
「思い出し笑いですわ。」
「それにしても楽しみですねえー❕」
「それにしても楽しみですわねぇ!」
二人は顔を見合わせ、くすくすと笑った。
「やったぁ~♪やっとできた!」
ついに、あわせ技が完成したのだ。
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