第26話勇者との邂逅

「…………ッ…!」

突然、歩みを止めたタイタン。それを怪訝そうにマリユドゥが見る。

「ど~したの?」

「胡乱な者がウロついている…。」

タイタンはこの洞窟の中を徘徊する三つの気配を感知していた。

「この洞窟の中…?」

「そうだ…。三つの気配…。うち二つは強いだろう…残りのは弱い…。奥の方だ…。気配からして、魔物では無い…。」

「人間…!?」

「断言はできないが…。」

「う〜ん…。悪そうな人間だったら退治しちゃおう♪」

「そうしよう…!」


「感じる…感じるぞ…!漆黒の龍が我がサンクチュアリを穢そうとしているのだ…!」

ロイジは、二つの気配を感じ取った。

「何言ってんだよッ…!!もう、別々に出口探そうぜ!そっちのほうが絶対良いに決まってるッ…!」

そんな事もいざ知らず、エリックは呆れ、一人で何処かに行ってしまった。

「(-_-;)」

「まあ、良いだろう…。」

ロイジは、エリックを捜さずにハリエットを連れて、出口を探す。


「何ッなんだよッ!!ロイジは、弱い俺とは違うとでも言いたいんだろう!!ハリエットもロイジと同類だ!!」

エリックは嫉妬していた。ロイジにできて、俺にできないだなんて、我慢ならない!と言う風に。

(ハリエットも!俺を見下していながら、それを態度に出さない所がまた、癪に障る!)


「強い気配の人間二人と、弱い気配の人間一人が別れた…。」

「仲違いでもしたのかしらね…。」

「恐らくそうだ…。そして、その弱い気配の人間が此方へ向かってくる…。」

「返り討ちにしてあげる♪」

好戦的な笑みを浮かべ、マリユドゥが言う。

「何ッなんだよッ!!ロイジは、弱い俺とは違うとでも言いたいんだろう!!ハリエットもロイジと同類だ!!」

「あら…どうしたの?あなた…。」

マリユドゥが言う。好戦的な笑みは何処へやら。今彼女が浮かべているのは、聖母のような優しい笑みである。

念のため、タイタンは、少年の前には出ていない。

きちんと、少年が黒か白かジャッジするためだ。

「女…か…。」

突然、少年がニヤリと笑う。

(うわー…。気持ち悪っ!)

そう思ったのは、タイタンも同じだったようで。マリユドゥは、タイタンの合図を受け取った。

「俺を癒やせッ!女の役割を果たせッ!俺をッ…」

その続きの言葉が紡がれることは無かった。

「もー!タイぃ!!」

何故なら、タイタンが目にも留まらぬ速さで少年の体を刻んだからである。の目に宿るは憤怒。

「すまない…。この人間がマリユドゥに触れるかと思うと…嫌気を通り越して、もはや、吐き気すらする…!」

マリユドゥは頬をポッと赤く染めると、言った。

「まあ、今回は許してあげるー♪」


ロイジとハリエットは出口を見つけていた。

「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」

「でかした!我が眷属よ…!」

「(๑•̀ㅁ•́๑)✧」

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