第三章

第14話新たな勇者達は

ここは…。エリックが目を覚ましたのは、立派な城の中だった。自分の他にも何人か倒れている。何故か自分達ののまわりに魔法陣のようなものがかいてある。

エリックはここに至るまでの経緯を思い出していた。

エリックは、普通の男子高校生だった。否、「普通の」というのは語弊があるだろうか?エリックは、クズな男子高校生だった。あだ名は、エリックズだった。男女平等が重視される世界で、エリックは、女性を下に見ていた。だからこそ、女性が自分を立ててくれないと、激昂した。女性は男性を癒やすのが役目だろうが、と。その一方で、男性はこういうものだ、という考えには猛反発した。男性は楽をして当然なのだ、と。もちろん、女性には楽をすることを許さなかった。

周りはどんどん彼女を作っている。が、エリックは彼女がいなかった。当たり前だろう。だが、エリックの脳では、理解できなかったようだ。エリックは、ある日、好きな女子を呼び出した。そして、「お前、俺の彼女になれ!」と言った。もちろん、彼女の返事はNOだった。「私、女性男性関係なく平等に接する優しい人が好きなの。それに、私、彼氏いるし…。」

エリックは激怒した。せっかく俺の彼女にしてやろうと思ったのに、と。

次の日、エリックは、警察署に連行された。そう。エリックは、彼女を強姦したのだ。「ご奉仕しろ!それがお前らの幸せだろうが!」と言いながら。彼女はそれを拒んだ。そして、彼氏の名前を呼び続けた。その声が届いたのか、その彼氏が助けに来て、エリックを彼女から離し、彼女を慰めていた。もちろん、エリックは何故自分が連行されたのか理解していなかった。エリックは、必死に自分の考えを主張したが、曲がりに曲がった主張が受け入れられる筈もなく、牢屋に入れられた。

数日後、悪魔が目の前に現れたのだ。そして、怪しげな笑みを浮かべ、こう言った。

「此処から出たい?出たいなら、手をとって。理想の世界に送ってあげるよ…!」

「早く、連れて行け!」

エリックは、即答した。

そして、今に至る。

「目覚めましたか、勇者様!」

目の前に見知らぬ人物が居る。

倒れていた人間は、次々と目覚めた。

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