第11話暴君

カレンは、恐怖していた。怖い人達がいる部屋に連れてこられたのだ。

ばあばとママは、途中から居なくなった。

「ママ…ばあば…。」

「こんにちは。私達が新しいママとパパだよ!」

「?」

新しいママとパパ?どういう意味だろう?

「こっちに来なさい。ほら、お菓子をあげよう。おもちゃもあるよ。」

「わーい!」

お菓子とおもちゃがいっぱいある!新しいママとかパパとか気にしなくていいかな。


義母は、戦慄していた。義母が連れてこられた部屋には、処刑するのに使う道具が並べられていたからだ。

「気づいたようだね。さようなら。」

義母は、意識を手放した。


アベルの家族を連れてこさせ、王は、部下に言った。

「妻は、娼婦にしろ。子供は、他の所に預けさせろ。アベルの母は、殺せ。」

「はっ!」

「それから、アベルの妻の方は、娼婦にする前に楽しむことを許す。」

「有難きお言葉。」

いそいそと部下達はアベルの家族を待たせている部屋に向かう。

「さて、ラム村はどうしようかのう、ハバネロ?」

「お言葉ですが、ラム村は諦めた方が宜しいかと…。他の村を新たな『王国の食糧庫』とし、食糧を得るほうが良いと思われます。」

「ふむ。そうか。して、そなたは、どの村が良いと思う?」

「ソムニ村が良いかと。」

「ソムニ村か…。」

王国から近く、ラム村には及ばずとも、穀物などの生産量は高い。

「よし。ソムニ村を我が国の食糧庫とする。ソムニ村に使者を送れ。」


「冗談じゃねえ…!」

ついさっき、王国から使者が来た。曰く、王令でこの村を『王国の食糧庫』とするらしい。

「今年は例年よりも収穫が少ないってのに…!」

「俺達を殺す気なのか…!」

「ラム村が魔王領になったからだね、絶対!」

「そのラム村ってよぉ、王国からの許可なしで交渉して魔王領になったらしいぜ!」

「うちの村も交渉して魔王領にしてもらおうぜ!」

「いや、よく考えろよ。此処は王国に近い所にある。魔王領は此処から三千里もある…!どうやって、交渉するんだよ…!」

「…………………。」

沈黙。

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