第51.5話 ある日のマリギュラ
「おはようございますオルクス様」
「あ、おはようマリギュラ」
私の朝はオルクス様への挨拶か始まる。
「おーすマリギュラ!」
「アロウか、おはよう」
現在オルクス様の住むベール王国内の屋敷には私とアロウとマリア、そしてスザクが一緒に住んでいる。
他の面々であるベヒモスと千手とガルム、そしてティアナ達姉妹にエンダートはオルクス様の作った異空間にいて。
あとは、ムーファやシフォンがどこから知らんがいかがわしいお店で働いたり、ファルコやミリオンがギルドで冒険者をしていたりする。
各々が個々の能力を活かし働く事は大変に素晴らしい事だと日々思う。
「なーマリギュラ、今日さ手合わせしないか?」
「今日か?うーむお昼の後であれば時間があるので構わんぞ」
「よっしゃあ!」
そう言うとアロウは嬉しそうに拳を掲げた。
普段は断るのだが、たまにはやっても良いだろう。
「マリギュラ様、おはようございます」
「ああ、おはよう」
アロウと話をし終えると使用人の1人であるアリサが私に話しかけてきた。
現在この屋敷では、使用人を10人ほど雇っている。
皆普通の人間だ。
この10人の使用人達が我々の日々の暮らしを支えてくれている。
「マリギュラ様、例の件ですが」
「なんだアリサ進展があったのか?」
「はい!先日連絡があり、稼働開始となったそうです」
「おお!これはめでたい、さっそくオルクス様に伝えなくては!」
2ヶ月前、オルクス様と私は今後の事を考えて、お金をもっと稼ぐためにカジノで集めた金でとある炭鉱を買った。
購入した理由としては、その炭鉱に金が数多く眠っている事がオルクス様のギフトスキル広域知覚センサーでわかり、これからの主な収入源となりうるため購入した次第である。
それが昨日とうとう稼働した、今日はめでたい日である。
「オルクス様!」
「おぉどうしたマリギュラ!?」
「以前買った炭鉱がついに動き始めました!」
「なに本当か!」
「はい!これでやっと安定して大きなお金を稼ぐ事ができるようになりますね!」
「あ、ああそうだな」
炭鉱が動き始めた旨を伝えるとオルクス様はどこか引きつった顔をしていた。
「いかがされました?」
「いやぁ、なんかさもうこんなに上手くいってるとさ、これからやばい事が起きるんじゃないかと不安になっちゃってさ」
「オルクス様……」
なんとそんな心配をなさっていたのか。
オルクス様も意外と小心者なのかもな。
オルクス様はやろうと思えば、このベール王国を支配できる、それだけの力を有している。
にもかかわらずそれをしないのは良い心の持ち主だからとばかり思っていたが、まだまだ子供という事だな。
「いやすまんな、こんな弱音とか吐いちゃって、もっとしっかりしないとな」
「オルクス様、大丈夫ですよそんなオルクス様を支えるのが我々の13魔の仕事ですから」
「マリギュラ……お前いい奴だなぁ」
私がそう言うとオルクス様は目に涙を浮かべていた。
「ゆっくり行きましょう」
「おうそうだな!それじゃあ俺はまた異空間の方に戻るから、炭鉱の件とか頼むな」
「はい、お任せください」
そう言ってオルクス様、ベヒモス達のいる異空間へと行ってしまった。
オルクス様はまだまだ子供だが、ゆくゆくはもっと大きな野望のため動けるお方だと思っている、その時のためにも私はもっとオルクス様のために動かなねばならない。
すなわち、当面の目標はこのベール王国の経済を支配する事にあると私は考えている。
きたるオルクス様の野望成就のため、この国の経済面を抑えておく事は必要だと思うからだ。
ああオルクス様、私は早くあなたとこの国、いやこの世界を支配したく思います。
「ま、マリギュラ!」
「マリか、どうした?」
私が己の目標に向けて動こうとしていると、どこか焦った様子の吸血鬼のマリアが話しかけてきた。
「オルクス様は?」
「もう行かれてしまったが」
「え?うそ、また会えなかった……」
会えなかった?何か用事でもあったのか、仕方ないここは一応次オルクス様にあった時に伝える事ができるよう聞いておくか。
「何か要件でもあるのか?良かったら伝えておくが」
「いやいやいいの、そんなんじゃらないから、ただ会いたかっただけだから」
「ただ会いたかった?そうかまぁそういう日もあるよな」
なんだろう、そうは言ったが私にはあまりそういう日はないな。
「うんそうだよね、ありがとマリギュラ!またね!」
「ああまたな」
そう言ってマリアはどこかへ行ってしまった。
しかし今朝は忙しかったな、どれ私も少し遅い朝食を食べに行くとするか。
オルクス様に生み出されてからというもの私の日常は日々目まぐるしく動いている。
そんな生活に私は満足している。
ああ今日もいい1日になるといいなぁ。
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