第37話 襲来!英雄王アックス
「さてと着いたぞ」
瞬間移動で城の前についた。
数年前、俺はこの城でドラゴンから王族を守るために戦った。
いや正確に言えば、囮になったが正しい。
そりゃあ救ったとか戦ったって俺も言いたいけど、正直10歳くらいの子供にそんなことできるわけないんだから、囮になっただけでもよくやったと自分では思っている。
「にしても懐かしいなぁ、あの時はたまたま雷がドラゴンに落ちて助かったんだよなぁ」
……っていかんいかん、思い出に浸ってる場合じゃない、早くエンダートに会わないと。
「おい、貴様がオルクスだな」
「え?」
俺が城に入ろうとするとなんか筋肉の塊みたいなおっさんが話しかけてきた。
なんだろこのおっさん、俺に何か用があるのかな。
「調和を乱す者よ、この世界から排除する」
「へ?」
「ギフトスキル発動ー鉄拳」
おっさんがそう言うと右手の拳が鉄で覆われた。
いやいやなんだよ排除って、ていうかこの人誰?
「では行くぞ」
「な、消えた!」
「……遅い、鉄拳粉砕!」
「がはっ」
おっさんは一瞬で間合いを詰めて俺の腹に正拳突きを叩き込んだ。
なんだこの重い拳は、というかステータス的に俺の耐久値かなり高いはずなのになんでこんなにダメージ入るんだ。
とりあえず解析でレベルを確認するか。
「ふっ、なんだ私のレベルを確認したいのか、いいだろう」
そう言っておっさんは首につけていた青い石を取った。
あれは偽造石か?
ていうかなんで俺がレベルを確認しようとしたのバレたんだ?
「……なんだよこれ、俺以外にもレベル900越えいたのかよ」
「ほぉ、その言い方だとやはり貴様もレベル900台の超越者か」
解析で確認したところおっさんのレベルは979だった。
「おっさん、確認だけど黄金に輝く木を叩いたりしてないよな?」
「木?知らんな、私は生まれた時からこのレベルだ」
生まれた時からレベル900以上だと、そんな奴聞いた事ないぞ。
まぁ木を叩いてレベル900以上も聞いた事ないけど。
「アビリティ発動ー空間固定」
「ほう、やるな」
さて、こんな怪物の相手なんてしてらんないしここは一旦退いて態勢を整えよう。
「ふんっ」
「なっ⁉︎」
「まぁさして意味はないがな」
おっさんは力で空間固定の拘束を破った。
おいおいこのおっさんなんでもありかよ。
「アビリティ発動ー雷砲!」
「ふんっ、そんなもの効くか!」
おっさんはそう言って魔人を吹き飛ばした雷砲を片手で吹き飛ばした。
城に行ってエンダートから色々聞き出そうとしただけなのにどうしてこんな事になったんだ。
「アビリティ発動ー瞬間凝結」
「ふっ、なんだこの低アビリティは足止めにもならんぞ」
俺は瞬間凝結でおっさんの足を凍らせた。
ま、こんなんじゃすぐ破られるのはわかってるけど。
でも本命はこれじゃない。
「狙いは足止めじゃなくて意識を下に向けるためだよ」
「なっ」
「アビリティ発動ー落雷」
「ぐはっ」
アビリティー落雷、威力的には雷砲5つ分くらいはある。
これなら少しは効くだろ。
「なんだこの程度か」
「え?」
ほぼ無傷かよ。
まずいなこんな怪物と長時間戦ってたら今日が終わってしまう。
ここは何か手を考えないと。
あ、アレならどうにかなるかもな。
「アビリティ発動ー磁力操作」
「手数が多いな」
「それが取り柄なもんでな」
俺は磁力操作でおっさんを宙に浮かせた。
「こんな程度では私から逃れられんぞ」
「逃げるのが目的じゃない」
「ん?」
「アビリティ発動ー異空間の扉」
おっさんの目の前に異空間の扉を出現させた。
「なんだこれは?」
「じゃあなおっさん、また後で相手するからそこで大人しくしといてな」
そうして俺は磁力操作でおじさんを操り異空間の扉の中へ入れた。
「消えろ!」
そう言うと異空間の扉は消滅した。
ふぅ、これで一先ず脅威は去ったな。
ま、あとでまた相手しないといけないんだけど。
「よしこれでエンダートの下へ行けるぞ」
「アビリティ発動ーゲート」
「なっ」
「異空間系のアビリティなら私も使えるぞ」
俺がエンダートの下に行こうとした矢先、目の前の空間に穴が開きそこからまたおっさんが出てきた。
「う、嘘だろ」
「ふふ、諦めろオルクスお前はこの"英雄王"アックスから逃れられんのだ」
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