第26話 師弟対決⁉︎ゲルマン対オルクス!
「このヘタレが!」
「うわっ、あぶね」
俺は飛びかかってきた先生をギリギリのところで回避した。
あっぶねー、話も聞かずいきなりタックル決め込んでくるなんて相変わらず先生は脳筋だな。
俺に躱された先生は勢いそのままに壁を貫いた。
「おいオルクスよ、覚悟はできおるんだろうなあ」
土煙の中から出てきた先生は結構キレていた。
や、やばいなこのままだとティアナ達を巻き込んでしまう。
その前に逃がさないと。
「アビリティ発動ー集団転送」
「な、おいオルクス逃げる気か!」
勘のいい先生は俺が発動させたアビリティが移動系であると即座に見抜き、逃げようとする俺にそう言った。
確かに逃げたいけど、このまま逃げれるほど度胸もないし、ティアナ達を安全なところに移したら帰ってこよう。
「ふぅ、なんとか逃げられた」
俺はティアナ達3人を連れ屋敷から少し離れた茂みの中に移動した。
先生結構怒ってたな、まぁそりょそうだよな自分の弟子が魔獣と手を組んでるんだもんな。
まぁ正確には弟子が魔獣を部下にして屋敷周辺で魔人と暴れたんだけどね。
さて、これ以上怒らせないためにも急いで戻るか……あと置いてきたアロウ達の事も心配だし。
あいつら生きてるかなぁ。
「ね、ねぇあのおっさんってあんたのなんなの?」
移動してすぐにティアナが俺にそう訊いてきた。
「先生かな、一応」
「一応って……」
「まぁ詳しい話はまた後で話すから!」
「ちょ、ちょっと待って」
「アビリティ発動ー瞬間移動!」
引き留めようとするティアナを振り切り、俺はエイドリアンの屋敷に戻った。
「悪いお前ら!今戻っ……た」
「お、オルクス様、に、逃げてくれぇ」
「ふん、雑魚どもがお前ら程度が儂を止められると思うなよ」
屋敷へ戻ると、半分氷に覆われたボロボロのアロウが倒れていた。
おいおいさすがにこれはやり過ぎだろ……。
「あ、アロウ……」
「お、戻ったなオルクスよ、さて師弟対決といこうか」
先生はそう言って拳を構えた。
確かに先生は強いけど、今の俺だともしかすると先生に大怪我させかねない。
そしてエイドリアンのときみたいに手加減しようにも、先生は強すぎて手加減なんてしたらこっちが怪我するし……これは困ったな。
「では参るぞ!アビリティ発動ー氷撃波!」
先生は固まって動けない俺に対し、氷でできた衝撃波を飛ばしてきた。
や、やるしかないのか……。
「アビリティ発動ー迅雷」
「ほお、躱したか」
アビリティー迅雷、消費魔力1200、効果は一瞬だけ自身の体を雷に変え、音速以上の速度で移動できるもの。
「よもやオルクスが迅雷を使うとわ、こりゃ儂も本気でやらねばならんようじゃな」
迅雷は元々先生に教えてもらった術だ。
以前は魔力が足りて無くて発動しなかったけど今なら使える。
でもやっぱり先生とは戦いたくないなぁ。
そんな事を思っているとふと視界にアロウの姿が見えた。
ん?なんだアロウのやつ人狼化してないのか?
アロウは元々人狼である、故に月明かりの下では狼の力を開放し持ち前の速さに加えて、怪力となる。
そうかなるほどな、月が見えない室内戦では、人狼化できないのか。
まてよ……それなら。
「何を呆けているアホが!アビリティ発動ー指定氷獄」
「なっ!」
俺は考えることに集中し動きが止まっていたため、先生の氷の牢獄のようなものに捕まってしまった。
な、なんだろ先生相手だと調子が出ないかも……。
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