第25話 ゲルマン来襲!

「さてとお前ら、とりあえずアロウとマリギュラ以外は一旦異空間に戻っててくれ」

『了解!』

「アビリティ発動ー異空間の扉」


 そうしてアロウとマリギュラ以外の10体は異空間へと戻った。

 しっかしオルクス13魔かぁ、あんまし表では名乗らせたくない名だな。

 まず"魔"って入ってる時点でなんか正義の味方って感じがしないし。

 それにちょっと恥ずかしい。


「……あれ、アロウどこいった?」

「アロウなら屋敷のオルクス様のいたお部屋に向かいましたよ」

「な、なんだって」


 気がつくとアロウが消えていた。

 おいおいなに勝手に行動してんだよ……つかなんだろなんか悪い予感がする。

 そう思った俺は、マリギュラを連れてティアナ達のいる部屋に向かった。

 

「アロウのやつ変なこと言ってないといいんだけど……」

「よぉお前ら俺の名はアロウ!オルクス13魔の一人だよろしくな!」

「え、誰こいつ?」


 部屋に着くとアロウがティアナ達を前に盛大に名を名乗っていた。

 おいおいおい、何やってんだよこいつ。

 見ろよティアナの顔をいきなりの事すぎて引いてるぞ。


「おいアロウ、勝手にいくなよ」

「あ、オルクス様!」

「まったくお前というやつは……」

「オルクスさん!」


 俺が部屋へ入るとアロウとタマキが駆け寄ってきた。


「タマキさん、大丈夫だった?」

「うん!でも、ガルムがなんか光出したときは少し怖かった」

「あ、ああそうなんだ」


 ご、ごめんね魔人よりも怖い思いさせて、その光出させたの俺なんだよね。

 というかガルムはどこだ?


「オルクス様、お早いお戻りで安心しました」

「お、お前は……」


 背後から声がして振り向くと顔が整った細形筋肉質の男が立っていた。

 マジかよこいつがガルムかよ。

 すっかり男前になりやがって……な、なんか悔しい。


『ズドン』

「な、なんだ」

「お、オルクス様お逃げください……」

「え、ど、どうしたマリギュラ⁉︎」


 俺が変わり果てたガルムの姿を見て少し落ち込んでいると、突如屋根が崩れ落ち上からボロボロになったマリギュラが落ちてきた。

 しかしこいつがこんな状態になるなんて相手は一体……。


「お?そこにいるのはオルクスではないか」

「げっ、あんたは」

「ふはははは、どうやら先程の魔人達を追い払ったのはやはりお前だったようだな」


 そう言って崩れた屋根から部屋に入ってきたのは俺の元先生であるゲルマン・ディアスだった。

 な、なんで先生がここにいるだ。

 ていうかそれよりも、アロウやマリギュラ達を見られるのは結構まずいかも。

 あとごめんエイドリアン、もうこの部屋使えないかもしれない……。


「せ、先生こんなところで会うなんて奇遇ですね」

「うるさいわヘタレ、それよりオルクスよこの魔獣みたいな奴らは一体なんじゃ?」

「さ、さぁなんでしょうね」

「ふん、儂相手にそれでやりすごせると思っておるのか」


 ま、まずいアレがくる。

 とりあえずティアナ達を守らないと。


「アビリティ発動ー氷輪絶輪」


 アビリティー氷輪絶輪、これは超低温の氷でできた輪っかを相手にぶつけて凍らせながら対象を両断する術であり、ちなみに先生の得意技である。


「だ、大丈夫かお前ら」

「え、ええなんとか」

「怖いよオルクスさん!」

「ティ、ティアナぁ」


 良かった全員無事なようだな。

 俺は間一髪ティアナ達3人をアビリティー守護域を発動させることで護ることに成功した。

 

「ほぉ、オルクスごときがそのレベルのアビリティを使うとは、どうやらお前本当に変わったようだな」


 アビリティー守護域、これはカウンター系防御アビリティであり、エイドリアン邸へ向かう前にあらかじめ自分に施していたものである。

 このアビリティは一定以上の攻撃を察知し、自動で自分の周囲2メートルに防御結界を発動するものである。

 ふぅ、なんとか間に合ったな。

 どうやらアロウ達はうまく逃げれたみたいだな。

 

「先生、周りに人もいるんですよ」

「そんなもんは知らん」

「まったくあんたって人は……」

「それよりもだ、オルクスよ、この儂の右手に噛み付いておる人型の魔獣はお前のか?」


 見ると先生の右腕にアロウが噛み付いていた。

 馬鹿野郎、なにやってんだよ。

 

「え、ま、まぁそうですけど」

「ほぉそうか、アビリティ発動ー瞬間凝結」

「うっ」


 先生は俺がそう答えるとアロウを一瞬で凍らせてしまった。


「つまりオルクス、お前は魔獣達と手を組んだということだな」

「……」

「返答がないということはそういうことなんだな」


 そうして先生は俺に飛びかかってきた。

 いや先生違うんです、手を組んだのではなくて俺がそいつらの……その、ボスなんですよね。


 

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