『バカップルこそ最強』じゃねぇ?!

ボンバイエ

最強伝説ここに爆誕?!


強烈な風を遮るモノは無く、吹き荒れる風は自由気ままに吹き付ける。

その風と共にワルツを踊る波は高く打ちつける場所を探して動き回る。

風と波は長い年月をかけて大地を穿ち、断崖絶壁を生んだ。


断崖絶壁を歩く男女一組の人影。

その後ろ姿は、何故か儚く哀愁を漂わせる。


「うちら、来世でも一緒に生きようね?」


「ああ。たちまち出会う事からじゃな。」


「うん。そうじゃね。」


儚い笑顔を見せる女に男は笑顔を向ける。

その男の笑顔を見て女は安心したのか、儚さを消した。

そしてその直後、二人は体を抱き合い断崖絶壁から身を投げた。


そのまま海に落ちるかと思われたその時、眩しい光が二人を包み込んだのだった。



◇◇◇◆◇◇◇



「ほんで、タッ君ここはどこ?」


「俺にもわからん。俺らは海に落ちたハズなんじゃが、海に入った記憶もないんじゃ。リコリコは分かるんか?分らんのじゃったら、調べようもないじゃろ?」


「たちまち、このままでええんじゃろうか?」


「わからんのぉ。」


二人が話し合っても結論は出ない。

二人の思惑とは違うのだから当たり前の話である。

光の道を落ち続けるというのが正しいのか、それとも運ばれているというのが正しいのか判断に迷う所である。

落ちているにしては、二人は会話する余裕があり、運ばれているという方が正しいのかもしれない。


そのまま少しの時間が経ち二人が冷静に考えようとした時、二人の前が今まで以上に明るく光り目を瞑るしかなくなった。



◇◇◇◆◇◇◇



ぽつん。

ぽつん。

水が下へと吸い込まれる様に落ちた先には人の顔があった。


「うっ、うぅん。」


リコリコこと律子は目を開ける。


「ここはどこ?っていうか、タックン?」


少し先に転がっているタックンこと拓弥は意識が無い様に見える。

が、僅かばかりに胸の上下運動を見て『ふぅー』と息を吐いた律子は拓弥の傍へと近づく。


「リコリコ。もうこれ以上は食べれないよ~。」


「えっ?タックン起きてるん?って食事?寝言?」


むにゃむにゃと口を動かす拓弥を見て律子は納得した。


「もう。タックンは食いしん坊なんじゃけぇ。」


幸せそうな寝顔をみて微笑む律子。

しかし起きる素振りが無い事に気がつき、少し緊張感が足りないと感じ出した。


「タックン起きて。」


「うぅ~ん。もう五分。」


「いや。寝とる場合じゃないじゃろ?うちら何処におるんか分らんのよ?」


肩を強くゆすり起こすと、パチンと拓弥の眼が開く。


「そうじゃった!」


ガバッという感じで起きた拓弥は周辺を見回す。


「ここは何処?」


「さぁ?」


周辺を見回しても二人には身に覚えのない場所である。

見た目は森の中の様だが、何かが違う。

本能が森であるという事を拒否する感覚が二人を襲う。


「森の様じゃけど・・・。」


「森じゃないっぽい。」


「ほうじゃのぉ。」


ゆっくりと見回しても木が立ち並んでいるだけであり、地面は雑草や枯れ葉や枝が事理がっているだけである。

すると、目の前に一匹の蝶々がひらひらと飛んでいるのを見つけた。


「なにあれ?」


「なんじゃろ?蛾ではない気がするんじゃが、アゲハ蝶じゃろうか?」


「まぁ紋白蝶じゃあないじゃろうね。」


それまで、その場でひらひらしていたのだが、二人が気づいた途端少しずつ移動を始めた。


「ついて来いってことかのぉ?」


「たちまち行ってみる?他にどうすればいいか分からんし。」


「まぁのぉ。」


拓也は訝しむが他にあてがある訳でも無いので否定はしなかった。

拓也と律子の二人は蝶々について移動を始めた。


シンと静まり返った森は昼間の為なのか、ほど良い明るさで歩きやすく不気味さを感じさせなかった。

しかし、二人の本能はここが普通の森では無いと訴えている為に森が普通の様子である事がより警戒心を掻きたて不安になる。

それもひらひら動く蝶々に視線が集中される事で和らげられたが、逆に二人は不安だからこそそのひらひら動く蝶々を注視してしまうのかもしれなかった。


「何処に連れて行かれるんじゃろう?神の住処とかじゃったりして。」


「リコリコ。フラグを立てちゃ駄目じゃん。たちまち、何も考えずについて行ってみようや。」


ゆっくりと歩く二人を先導するように森を進んでいく蝶々は二人が足元の悪さで遅くなるとゆっくりとひらひらして留まる。

抜け出すとまた進む。

それらを繰り返し小一時間程歩いた二人の目の前に開けた空間が顔を出した。


「綺麗な場所。」


「ほうじゃのぉ~。」


開けた空間には背丈の低い緑色の草がびっしりと地面を覆い隠しており緑の絨毯の様な、手入れの行き届いた高級な芝生の様な様子である。

少し先には小川があり澄んだ綺麗な水が光を反射してキラキラと光り輝きながら流れている。


小川には小さな橋が架けられており、人が通れる様になっている。

そこを蝶々はひらひらしながら飛んで行く。

その先には立派なログハウスが立っていた。


「凄いね~。」


「凄すぎるじゃろう?」


あまりにも綺麗な風景が、現実味を失わせており夢の中の様な空間にいるのだと思わせる。

『ギィ~イ』という音がログハウスからしたので、二人は立ち止まり手を強く握りしめ合いながらログハウスの開いた扉を見た。


そこには一人の老人が立っていた。

白い髪は長く穏やかそうな顔をしており、更に大きな杖を持っていて白い服を着ていたので二人はリンクした。


「「あっ!神様!」」



◇◇◇◆◇◇◇



この世界には五つの大陸が存在し、大小様々な国が200以上もある世界である。

その大陸の中でも最大面積を誇るイグナシオ大陸の端の端。

極東に位置する場所にピアジオ王国はある。

特に裕福でも特に貧乏でもないピアジオ王国は広い面積を要する訳でも無く大きな特徴を欠いた王国である。

ありふれた王国の一つと言って良いであろう。

そんなピアジオ王国の中にある人口5万人程の中規模な街エクサムがある。

エクサムの街は魔境と呼ばれるディックタック大森林に面した場所に有り冒険者によって栄えている街である。

冒険者によって栄えている街らしく大きな冒険者ギルドがある。

入口に扉がある仕様ではなく、正面になる方向は扉は無く開口部となっておりどこからでも出入りできる仕様になっている。

神殿のような造りになっているのだが側面と裏面はしっかりとした壁に遮られており、裏口もある。


「ここかぁ~。」


「そうじゃろうね。早く入ろうや。」


「ほうじゃね。行こ。」


正面に中央にあるひと際大きな柱と柱の間を、腕を組む二人のカップルが入って行く。

色々な人種が居るこのピアジオ王国においても珍しい黒目黒髪のカップルは視線を集めるが冒険者の集う場所であるから直ぐに視線は外される。


「あそこおらんね?あそこかな?」


「ほうじゃのぉ。たちまち行っとこ。」


横に広いカウンターには大勢の人が居る。

その中でもイカツイ顔のオジサンが立っている所は人が居ない。


「オジサン。ここは買取カウンター?」


「うん?見かけない顔だな。たしかにここは買取カウンターだ。何かようか?」


「買取カウンターに来るなんて買取をしてもらう以外にある?ないじゃろ?」


「たしかにな。だが、ヒドイ訛りだな。田舎者か?何処から来た?」


「森。」


「森?まぁ良い。それより何処に買取物がある?何も持っている様には見えないが?荷車ならここに直接持って来てくれても良いぞ?」


「荷車?なにそれ?ウケル。プププ。」


「オジサン。そんなの持って無いよ。」


「じゃあ何処にあるんだ?」


「出しても良いんじゃね?」


「うん?魔法鞄持ちか?高ランク冒険者なのか?」


「へぇ。この世界には魔法鞄があるんじゃね。まぁあるかぁ~。」


「あるじゃろ。魔法があるし。」


「そうじゃね。」


訛りに聞こえる広島弁。

イントネーションも違う為、普通の人が聞けば不思議に思うであろう。

尚且つここは日本ではなく地球でもない。

訝しむイカツイ顔のオジサンは怪訝な顔になる。


「おい。お前ら一体何を話している?」


「ああ。ごめん。で、出して良いのか?」


「構わん。」


ドコン!

という音と共にオークが落ちて来た。


「丸ごと?!」


次から次へと出てくるオークは13体。

そして更に出そうと居たところでイカツイオジサンは慌てたように声を上げた。


「待て待て待て!常識範囲を越えておろうが!!」


「えっ?ダメなん?」


「良いって、オジサンが言ったんじゃろ?」


「馬鹿を言うな!誰がこんなにあると思う?普通に考えておかしいだろう?!とりあえず、一旦魔法鞄に戻せ!」


「面倒だな。」


「仕方ないじゃろう。オジサンが言うてるし。」


「早く戻して俺の後について来い!!」


「「へぇ~い。」」


出した時とは逆にドンドン消えていく。

手品のような状況がうまれた。

周りにいた他の冒険者がざわついていたが、当事者の二人は気にする様子もなく、腕を組みなおしてイカツイ顔のオジサンについて行った。



◇◇◇◆◇◇◇



「で、お前ら本当に何もんだ?俺も長くこの業界に居るが、こんなめちゃくちゃな内容はそうそうないぞ?それこそS級冒険者でもこんな無茶苦茶な量は持って来ん。」


イカツイ顔のオジサン事、ダルダは倉庫を指さして言った。

その指さされた倉庫には現在大量の魔物が横たわっている。


オークが50体以上の山盛りになっており、さらにバジリスクが三体に、素材としてのオーガの角を100本以上に、バトルウルフの毛皮が100枚以上、薬草1000束以上が並んでいた。


「そう言われてもなぁ。森から来た事には変わりがないんじゃけど。」


「タックンと二人気がついたら森にいたんだもんね。じゃけぇそれ以外はわからないんじゃけど。」


「まぁ良い。ギルドカードを出してくれ。」


「なにそれ?」


「しらんけど?」


「はぁ?お前ら冒険者じゃないのか?」


「えっ?冒険者ギルドに行けば魔物は売れるって教えてもらったけぇ、たちまち来ただけじゃけど?」


「これってもしかして、定番のやつじゃろか?」


ダルダは頭を押さえた。

これは問題児が来たなと思った。

しかし魔物を見る限り実力は確かにあるのであろう事は推測出来たダルダは問題児である事を諦めた。


「ふぅ~。仕方ない。ちょっとついて来い。」


ダルダに連れられて受付に戻ると、ダルダが一人の受付嬢を呼び連れて来た。


「それ本当ですか?」


「ああ。こいつらは嘘は言ってないのは保証する。現物があるからな。」


「そうですか。わかりましたとにかく常備依頼とどれだけ噛み合うか見て見ます。後冒険者カードの手続きもしますね。」


「ああ。ヒルダ。頼む。」


ヒルダは受付カウンターを仕切る責任者だ。

受付課の課長職であり、部下を多数持っている。

テキパキと指示を飛ばし、ダルダの要望に応えていく。


「それじゃあ、お前らはここで待っておけ。俺は俺の仕事をしてくる。」


「「は~い。」」


二人は気怠そうに答えながら受付横にあるソファに座った。


「リコリコ。やっぱ異世界って凄いのぉ。」


「そうじゃね。」


二人はソファに座ってギルド内を見渡した。

電気機械という様な物は見当たらず、中世ヨーロッパの文明レベルには届いていそうな様子を見て二人は感動している。


「でも、‘お約束’がないのぉ~。」


「そうじゃねぇ。タックンのカッコいいとこ見たかったんじゃけど。」


異世界モノのお約束。

新人冒険者にモブ・先輩冒険者が因縁をつけるというお約束を指しているのだが、オークとは言え先ほど10数体を引っ張り出しているのを見ている他の冒険者がそんなお約束をする訳は無かった。

それにダルダはああ見えて恐れられた存在である。

そのダルダと対等と思える話し方をしている新人冒険者。

逆に関わりたくないと思う方が普通である。


それに、美人とは言えない女と美男子とは言えない男の二人がイチャイチャしていたら声を掛けるのを躊躇うし、利益がある様には感じられないであろう。

美女か美男子であれば違ったのであろうが、ただ暖かい眼差しを送られるだけである。



が、ギルド内の雰囲気はガラリと変わった。

ギルド内を物珍し気に見ていたカップルはものの10分で気が変わったのである。


「タックン。恥ずかしぃ。」


「ええじゃろ。ちょっとだけじゃけぇ。」


「みんながみてるけぇ。ダメじゃって。」


「そんな事言わんでも良いじゃろ。」


徐々にエスカレートしていく二人の世界。

数人の受付嬢が厳しい視線を向け始めた。

伝播するかのように『イライラ』が広がっていく。


皆、胸に思いを秘めて厳しい視線を向けているのだが、二人の世界に入ってしまった拓也と律子は気がつかない。

二人であの崖から飛び降りた時には二人の世界とそれ以外は隔てられている。

完全防御の結界がある様に何にも邪魔されない空間を生んでいる。


「おいおい。どうしたんだこの空気は?」


背が高く整った顔立ちの男が冒険者ギルドへと入ってきた。

ピリピリした空気を感じて男の言葉に辺りにいた者達は視線を向けた。


「これはカイゼル様。申し訳ありません。」


一人の受付嬢が咄嗟に謝罪の言葉を口にして頭を下げた。

美男子であり気品ある立ち振る舞いをするカイゼルはS級冒険者であり、このエクサムの街の英雄の一人である。


「一体どうしたんだ?」


「いえ。あの。その。」


モジモジしながらも視線はチラチラとカウンター横へと流れる。

それを目で追ったカイゼルは合点がいった。


「なるほどなぁ。あのカップルの所為か?」


「あ、そのまぁ。ええ。はい。」


「まったく。困った奴らだな。」


やれやれと思いながらもカイゼルはカウンター横のソファに向かう。

チラチラとカイゼルの耳には『流石勇者!』と聞こえてくる。

益々内心では辟易するカイゼル。

何が勇者なのかと。


「おい。そこの君達。」


「じゃけぇ~、ダメだってばぁ~。」


「良いじゃろう。リコリコぉ~。」


「おい。聞こえないのか?」


「だってぇ。そういうのは宿にいってからねっ?」


「そんな事言わんと少しだけじゃけぇ~。」


聞えてないと判断したカイゼルはクルリと後ろを振り返る。


「おい。誰かこいつらの名前分かるか?」


「えっ、はっ?タックンとリコリコですかね?」


「おいおい。それは愛称だろ?本名の方だよ。」


「少しお待ちください。」


「ふぅ。」


受付嬢が素早く後ろにある扉に消えていくと直ぐに戻って来た。


「タクヤとリツコだそうです!」


慌てた為に大声になってしまった受付嬢の言葉に、カップルは反応した。


「なんじゃ?」


「何かよう?」


そこでようやくカップルは二人の世界という完全防御の結界が解かれ、目の前に一人の男が立っている事に気がついた。


「おい。お前ら、ここでイチャイチャするな。宿にでも行ってやれ。皆が迷惑している。」


「えっ?もしかしてここで‘お約束’来た?!」


「ほうじゃね。これじゃろう?」


「はぁ、何、お約束って?ねぇどういう事?」


カイゼルはカップルの言う意味が理解できず、周りに助けを求める様に視線を回す。

しかし、誰もが頭に『?マーク』を浮かべている。


「まぁ、それは良いわ。とりあえずここから出なよ。皆が迷惑するからさ。」


「うぉぉ!これじゃ!『外出ろ』発言じゃ!」


「本当じゃねぇ。本当にあるんじゃねぇ。‘お約束’!」


「いや。お約束って何?約束なんてしてないだろ?一体なんなのこいつ等?」


会話が成立している様で成立していない事にカイゼルは気がつき驚く。

何故かこのカップルが恐ろしく感じ始めた。


人間は理解の範疇を越えると恐ろしさを感じる生き物である。

理解できない事は未知の領域という事になり、畏怖や興味を持つのだ。


「面倒くせぇ。」


「ふふふ。遂に来た!」


「やったね。タックン!」


駄目だ。

カイゼルはそう感じた。

そしてカイゼルは諦めた。


「もう良いわ。好きにしろ。」


「受付嬢!たちまち、訓練場を遣わせてくれ!」


「はひぃ!」


「ねぇ、何処が訓練場の入口なん?」


「ひへぇ!」


「もう良い、ついて来い。案内してやる。」


カイゼルは諦めてカップルを訓練場に案内する。


「やべぇ!遂にきたけぇ!滾るぅ!!」


「タックン。早く行こうや。」


「ほうじゃのぉ。」


そそくさと二人はついて行く。



◇◇◇◆◇◇◇



「なんでじゃ?」


「タックン!大丈夫?!」


「・・・。」


拓也は地面に倒れていた。

カイゼルは息も上がっていない。


「こうなったら、二人でやっつけようや?!」


「それはダメじゃ!男と男の勝負に女がは入って来ちゃ駄目じゃ!!」


「でも、・・・タックン。」


「見ておれイケメン!絶対にリコリコは渡さん!」


ヨロヨロと立ち上がる拓也。


「いや。興味ない。もう良いだろ。じゃあな。さっさと宿に帰れ。」


感情が抜け落ちた能面の様な顔になったカイゼルは後ろに振り返り出口に向かう。


「なっ!逃げた?!珍しい展開じゃけぇ!これ!」


「ほんとうじゃねぇ!タックンに恐れをなして逃げたけぇ、タックンの勝ちじゃね。」


ここからまた『二人の世界』という完全防御の結界が発動するのだが、ギルドカードが作成終了となり査定は翌日になった事で拓也と律子は冒険者ギルドから出て行く事になった。


「なぁ。S級冒険者であるあのカイゼルが諦めたあの二人ってもしかして、さ・・・。」


「みな迄言うな。全員理解しているさ。」


「ああ。そうだよな。あんだけ一方的にやられたのに、逃げたって・・・。」


「やっぱ地上最強は・・・。」


「ああ。俺もそう思うわ。」


「カイゼル!」


「あいつらようやくいなくなったろ?」


噂話の様に話していた冒険者はカイゼルが登場した事で黙って頷いた。


「あいつらみたいなのが、バカップルって言うんだろ?アイツらの眼には俺は映ってなかったんだろうな。怖ぇえよ。」


「やっぱ、怖かったっスか?」


「ああ怖かったよ。ああいう『バカップルこそ最強』だろ?天然のドラゴンより会いたくない存在が出来るとは思わなかったよ。ある意味で勝てる気がしねぇ。まぁ、とにかく飲もうぜ。今日は俺のおごりだ。皆も飲んで忘れようぜ!」


「「「「よっしゃー!」」」」


こうして、ようやく冒険者によって栄えた街エクサムの冒険者ギルドに平和が訪れた。

酔っ払ったカイゼルが武技を発動して天然石にある言葉を掘った。


『バカップルこそ最強!』


街の英雄が天然石に書いた言葉の意味はあの場に居た全員が察した。

そしてこの天然石がエクサムの冒険者ギルド中央に飾られる事になったのである。


後の世には伝説の英雄でありS級冒険者であるカイゼルのありがたい言葉として広まる事になるのだが、それはまた別のお話。

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