第9話 剣の実力

武器屋から出たアサヒは


「次どこに行きますか?」


と尋ねてくる。


「次は、服を見たいかな。」


勇者との戦いでかなり今来ている服はボロボロなので新しいものに変えたい。


「わかりました。服屋ですね。こっちです。」


とまた俺の前を歩く。


武器屋からすぐのところに服屋はありそこで服を買った。


その店で着替えて店から出る。


着ていた服はお店の人に所々破れて汚いがいい素材使っているらしく欲しいと言われたので渡した。


新しい服になるならそれが一番だ。


お店から出たアサヒは先程同様、


「次はどこにしますか?」


と聞いてくるので、


「準備もできたしそろそろ調査に向かおうかなと思う。」


返すと、


「そうですか。」


と残念そうに肩を落とす。


「調査が終わって用事がなければ、一緒にご飯でも食べに行こうか。」


と提案すると、


「はい!」


と返事をした。


「じゃあ、行ってくる。」


と一人で歩き出すと、


「わ、私も連れてってくれませんか?」


とついてくる。


「いいけど、着いてくるなら道中魔物と遭遇したら助けられないことがあるかも知れないから自分の身は自分で守るように心がけてくれ。」


「わかりました。」


その返事を聞いて俺はアサヒと一緒に街の外に向かった。


森に入るとすぐに狼の魔物を発見する。


一匹。魔法で倒してもいいが剣を買ったんだ。魔法なしで倒してみるか。


そう考えて剣を抜く。


「少し待っててくれ。」


後ろを見てアサヒにそう言ってから、走り出す前にもう一度狼を確認し、


「やるか。」


そう呟いて一気に距離を詰める。


狼も俺が迫る気配を感じたのかクロストに気づき、俺目掛けて走ってくる。


俺と狼の距離が近づくと狼は大きくジャンプし、飛びかかってくる。


そのまま押し倒す気か。


特に速いわけでもないので身体を晒して狼を避けると、完全に無防備となった腹を剣で下から斬り上げる。


狼は防ぐことができずお腹の辺りに大きな斬り傷をつけられて、後方に飛ばされ地面に倒れ動かなくなる。


あまり強い魔物ではないが一撃で倒せた。かなりの斬れ味だ。


剣を腰に戻す。アサヒが駆け寄ってくる。


「フォレストウルフを一撃で倒すなんて、流石です!」


フォレストウルフって名前なのか。普通の狼の魔物だった為、名前は気にしてなかった。


「普通だよ。じゃあ、奥に行こうか。」


そう言って再び歩き出す。


他にも魔物の気配がするので走りながら探す。そしてすぐに狼の魔物と遭遇する。フォレストウルフか。


「さっきと同じ魔物が三体か。」


フォレストウルフしか遭遇しない。と言うことはここが縄張りの可能性が高い。


狼はクロストを囲むようにして近づいてくる。


「自分の身は自分で守ってくれよ。」


そう言って走り出す。


一体の狼が迫ってくる。走りながら右に小さく飛び空中で体の向きを狼の方に変える。そして剣を軽く振り、横を通らすぎる狼の腹を切り裂く。狼は腹で真っ二つに斬りされてそのまま地面に倒れる。


「まずは一体。」


今ので真っ二つか。いい感じだ。この剣はかなり使いやすい。


着地した俺に向かって二体の狼が向かってくる。それに対して、後ろに一歩下がり、体勢を立て直す。二体の狼の爪での攻撃を同時に剣で受け止める。


「軽いな。」


狼の攻撃を軽く弾き返し、トドメをさそうとするが横から炎の魔法が飛んでくる。


「魔獣か。」


追撃をやめ、下がって魔法を避ける。


魔獣が増えていた?


それともさっき拾い損ねた魔石のせいか。


魔獣は額に魔石がついていることから自然に発生した魔石の影響を受けることによって生まれると言われている。魔石とは魔力を持った不思議な石のことで突然発生する。


ここら辺に魔石があるか、もしくはさっきの魔獣の魔石による影響か。


「まだ一体か。」


三体一。しかも魔獣がいる。魔獣がいるのなら魔法を使うか。


三匹は一箇所に集まる。そして、魔獣が口を開き炎の魔法を放つ。


放たれた魔法は範囲の狭い火弾。


魔法が放たれたのを合図として両側の狼が走り出す。


久しぶりだ。魔法なしでこうしてちゃんと剣のみで戦ったのは。


楽しい。


走ってくる二匹に向かって走り出す。飛んできた火弾をギリギリで避ける。しかし、魔獣は次から次へと火弾を放ってくる。


まずは魔物二体からだな。


火弾の弾道を確認して自分の道筋を決める。そして、一気に地面を蹴って加速する。


魔法に当たることなく一瞬で狼二匹の間に辿り着くと、走りながら止まることなく両サイドの狼の首を斬る。


首を斬ったとき、音はしなかった。


狼は俺を見失い隣にいることに気づくことなく、何をされたのかすらも気づくことなくすぐには止まらず走っている。


狼の隣を通り過ぎた直後、狼が倒れたような音が背後からしたがどうなったのか確認せず魔獣を目指す。


魔法に当たることなく魔獣の前にたどり着いた俺は次の魔法が放たれる前に剣を横に振るが魔獣は魔法を放つのをやめ後ろに下がり俺の攻撃を避ける。


今の攻撃は魔法をやめさせるためだけの攻撃だ。次で決める。


「終わりだ。」


俺は振り切った剣を一気に魔獣に突き刺して魔獣の魔石を破壊した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る