第73話 同盟国対帝国
ここはステイル王国に西海岸だ。ビクティア帝国の軍艦20隻からの砲撃が始まった。だが、オレによって施された結界はびくともしない。
兄のステイル王国軍総司令官であるアルトがつぶやく。
「さすが、レイの結界だ。我が弟ながら、とんでもない奴だ。」
古代竜ギドラが言う。
「アルト殿、安心するのはまだ早いですよ。あちらには量子破壊砲があります。どこまで耐えられるか。」
「では、空中からギドラ殿とフレイア殿とライジン殿で攻撃をお願いします。上陸してくる敵は、アース殿、リザール殿、それと我らで向かい打ちましょう。」
「おお!」
打ち合わせをしていると、20隻の軍艦がエネルギーの補填が終わったらしく、量子破壊砲を一斉に放射してくる。さすがに、20門の砲撃には結界も耐えられずに、結界は崩壊した。結界の崩壊を見ると、20隻の軍艦は通常の砲撃をたえまなく放ってきた。
古代竜ギドラ、炎竜フレイア、雷竜ライジンが竜化し、上空に舞い上がり砲弾を処理しているがキリがない。それに、処理しきれない砲弾が、ステイル国内に次々と着弾している。西の森は燃え上がり、西の森の北側の街では、建物への被害も出ている。
その様子を見ていたリザールが進言する。
「アルト殿、まずいですね。このまま時間が経てば再度、量子破壊砲にエネルギーが補填されてしまいます。そうなったら、防ぎようがありません。」
「リザールさん。竜人族の皆さんであの軍艦の砲身を破壊することはできますか?」
「やってみます。」
リザールが竜人族に声をかけ、100人の竜人族が一斉に空に舞い上がり軍艦に迫る。軍艦からは、『マシンガン』での攻撃が来る。リザールさん達は、砲身に向かって攻撃を仕掛ける。
「ファイ―ブレス」
口から巨大な炎の矢が放たれる。通常の砲身やマシンガンは半分以上破壊したが、量子破壊砲の砲身はびくともしない。
砲弾の数が少なくなったのを見て、古代竜ギドラが上空に舞い上がり攻撃をしようとした時、北寄りの海岸から上陸している帝国軍人達を発見した。
「アルト殿、敵がこの北側の海岸に上陸している。何とか食い止めてください。」
「承知した。」
アルトは、王国軍を率いて北側に上陸している帝国軍に向かって行った。
ギドラは、軍艦に向けて攻撃を放つ。
「レインボービーム」
口から放たれた光線は、海面の水蒸気を蒸発させ、船に着弾すると船は見事に2つに切断された。
「相手の砲撃が減っている。量子破壊砲にエネルギーの補填が完了する前に破壊する。砲撃処理をフレイムに任せて、ライジンも船を攻撃しなさい。」
「畏まりました。」
炎竜フレイムは、一人での砲弾処理になったため、巨大な炎の壁を作り出す。
「ファイアーウォール」
砲弾は炎の壁に当たり大陸には飛んでこなくなった。
雷竜ライジンは、船に向かって攻撃する。
「サンダーバースト」
船に巨大な雷の柱が直撃した。船の甲板には大きな穴が開き、ゆっくりと沈んでいく。
王国軍が剣や魔法での攻撃に対して、北側の海岸に上陸した軍人達は『銃』で攻撃してくる。王国軍に犠牲者が出始めた。すると、地面が盛り上がり、そこに地竜が現れた。
「グランドブレス」
地竜の口から数えきれないほどの石が飛んでいく。さらに、地竜の攻撃は続く。
「グランドスピア」
地面から土の槍が飛び出し、帝国軍に襲い掛かる。帝国兵が乱れた隙を見逃さずに、アルトは突撃を仕掛けた。
帝国兵は逃げようとしたが、そこに船はない。すでに、すべての船を古代竜が消滅させたからだ。帝国兵は全員投降し、西海岸の壮絶な戦いは終わった。
古代竜ギアラは思った。
“この戦いを見たらレイさんは悲しむんだろうな。少なからず、敵と味方に死者が出てしまったからな。”
一方、世界樹の森では、帝国軍が量子破壊砲を放ち、アポロの結界が破壊された。そして、帝国軍の戦車部隊による砲撃が始まった。
「風精霊のシルフさんと水精霊のウンディーネさんで、ここに風と水のカーテンを作ってくれるかな?森の中に砲弾が飛ばないようにしたいんだ。」
「了解です。」
「アポロさんとサラマンダーさんは、戦車へ攻撃をよろしくね。」
「わかりました。」
「ドリアードさんとシェイドさんとウイスプさんは、軍人達を無力化してくれるかな?」
「人数が多いので時間がかかりますが、やってみます。」
オレは皆に指示を出した後、量子破壊砲に向かった。この攻撃を受ければ、たとえ大精霊でも消滅するだろう。危険な仕事は自分でやろうと思った。
オレは威力を抑えて帝級魔法を放った。
「ライトニングビーム」
オレの指から放たれた光線は、すべてのものを切り裂く。たとえ、ミスリルでもオリハルコンでもだ。量子破壊砲は1台、また1台と破壊され、すべてを破壊し終わった。周りを見ると、まだ戦車が半分以上残っている。軍人もまだまだ元気だ。
しょうがないな。相手の心をくじくしかないよな。
オレは、『神力解放』を行い、背中に大きく白い翼を出し、神々しい光を放ちながら上空に舞い上がった。
「帝国の人間よ。聞くがよい。私は最高神ソフィア様の『使徒』である。逆らうものは成敗する。命が惜しくば、跪くがよい。」
何が起こったかわからない様子で、軍人達はこちらを見ている。だが、持っている銃でこちらに撃ってきたものもいる。
“だめか~。”
オレは、森の北側の開けた場所を見た。かなり広い。そこに向かって戦車を一斉に転移させ、魔法を唱える。
「メテオロイド」
すると、空がだんだんと赤くなり、真っ赤に燃えるような赤になると、そこに巨大な隕石がいくつも現れる。そして、一気に地面に降り注ぐ。
「ドガドガドッドッド―――――ン。」
味方・敵に関係なく、全員がその光景を見ていた。当然戦車は跡形もない。
オレは一言。
「まだ逆らいますか?」
帝国軍は武器を放り投げ、全員が平伏し、降伏したのだった。
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