第69話 世界会議(2)
オレは神界に来た。ソフィア母上に会いに来たのだ。
「母上。お久しぶりです。私達の結婚式に来ていただいてありがとうございます。」
「久しぶりね。暇だったから、みんなでレイの様子を見に行きましょってなったのよ。神々は神界で暇してるのよ。ところで今日は何かしら?」
「母上の顔を見たくなったんですよ。」
「まぁ、嬉しいわ。てっきり、エリーちゃん、ミクちゃん、リリーちゃんに取られちゃったと思っていたのよ。」
「母上も、3人と同じぐらい大事ですよ。聞きたいことがあるんですけど、ここの声は漏れませんよね。」
「大丈夫よ。」
「東大陸は、ビクティア帝国を除いてステイン王国、リーゼット聖教国、フェアリー連邦国、竜人の里のみんなで同盟を結びます。これは、世界平和への大きな布石となるでしょう。ですが、帝国が未だに軍事力を増大させて、他国への侵略をもくろんでいるようなのです。フェアリー連邦国での戦闘についてはご存知ですか?」
「知っているわよ。レイの活躍するところを見てたもの。」
「では、あの戦車や量子破壊砲についてもご存知ですね?」
「知っているわ。まさか精霊王アポロの結界を一撃で破壊するなんて、とんでもない威力ね。」
「そうなんです。ですが、あの武器はこの世界のものですか?異世界人がいるんではないですか?」
「やっぱり、私の息子ね。私も気付いているわよ。異世界人が誰なのか目星も付けているんでしょ?」
「はい。ですが、そんなに簡単に異世界から呼び出せるんですか?」
「無理ね。上級神以上でなければできない芸当よ。」
「ということは、この世界の5大神の誰かが裏で手を引いているということでしょうか?」
「疑わしいわね。ただ、この世界に5大神がいるように、他の世界にも私達のような上級神がいるのよ。今の段階では、何とも言えないわ。調べるけどね。」
「オレには、まだ神界のことや神々のことがまだよくわからないんですよ。」
「複雑だからね。今度しっかりと教えてあげますよ。」
「はい。お願いします。」
レイには、本当はもう一つ聞きたいことがあったが、聞くのが怖くて聞けなかった。それは、もしかしたら神の子として覚醒した自分が、不老不死の存在ではないのかということだ。もしそうなら、エリーやミク、リリーといつか別れが来る。恐らくすべてが終わり、この世界が平和になったらオレのこの世界の旅は終わるのだろう。別れのことを考えると、レイの心には不安と寂しさが込み上げてきた。
オレは、エリーとミクとリリーが待っている異空間の自分の家に帰った。寝ている彼女達を起こさないように静かに帰ったが、3人は居間で待っていた。なぜかオレは彼女たちの顔を見ると知らないうちに抱きしめていた。
「どうしたの?レイ君。神界で何かあったの?」
エリーが心配して声をかけてきた。
「何でもないよ。」
オレは、強く彼女達を抱きしめた。
その日は、いつになく夜のお仕事に力が入ってしまった。
翌朝、オレが起きるとすでに3人が起きていて朝食の準備が整っていた。
エリーが心配そうに聞いてきた。
「レイ。やっぱり昨日何かあったよね?昨日の夜、いつもと大分違ったよ?まっ、私は嬉しいけどね。」
「レイ君エッチ。私もエッチ。」
リリーなりに慰めてくれているんだろう。
“オレが不老不死でも彼女達は違う。なら、もっと彼女達を強くしないと”
オレは、彼女達の修行をしようと決めた。
「会議まで時間があるから、久しぶりにダンジョンに行って修行しよう。」
「いいわよ。レイ君と一緒ならどこでも行くわ。」
「私も。」「私も。」
それから、会議までの間ダンジョンに行ったり、古代竜ギドラさんや7大精霊のところに行って修行に明け暮れた。
いよいよ、今日世界会議だ。
現在会場には各国の首脳が集まっている。
議長・・・・・・・・・レイチェル
書記・・・・・・・・・エリーヌ、ミク、リリーゼ
ステイル王国・・・・・ライン国王、バロン宰相
リーゼット聖教国・・・チャーチル教皇、聖女メテル
フェアリー連邦国・・・精霊王アポロ、ドワーフ族長へパイ、エルフ族長ゲイル、獣人族長デドン
竜の里・・・・・・・・古代竜ギドラ、竜人族長リザール
「皆さん、今日はよくお集まりいただきました。すでにご承知だと思いますので、自己紹介はしません。オレが、議長を務めます。よろしく。」
早速、会議が始まった。皆がそれぞれ自己紹介をした後、オレは、竜人の里について説明した。
「ご存知の通り、竜人の里は伝説の地とされていましたが、今回リザールさんに参加していただいたことで、伝説ではないと世に知らしめることになります。古代竜ギドラさんや竜人族の方々は、神よりこの世界の均衡を保つという使命を与えられています。そのため、他種族よりも戦闘能力が高いのです。だから、リザールさん達は他種族の脅威にならないようにと、陰の世界に生きることにしたのです。そうですよね?リザールさん。」
「はい。レイさんの言う通りです。我々が表の世界に出れば、少なからず世界の均衡が崩れる心配がありましたので、マルメット山脈の向こうでひっそりと暮らしていました。」
「皆さんに提案です。こうして、竜人族の皆さんが表の世界に出てきたわけですから、他の国々とも交流を持ってもらいたいと思います。そこで、竜人の里を正式に国と認めて、マルメット山脈以南の地を『竜人国』とするのはどうでしょうか?」
その話を聞いていた精霊王アポロが発言する。
「俺は賛成だ。ギドラ、リザールさん、長いことよく耐えてきたな。俺達は、歓迎するぞ。この世界は皆のものだ。全ての種族が共存共栄すべきだ。」
この場にいる全員が賛同し、正式に『竜人国』が発足することが決まった。
古代竜ギドラさんが発言する。
「レイさん。問題があります。交流するにしてもあのマルメット山脈は10,000mの高さがあるのですよ。交通をどうするのですか?」
「そのことなら大丈夫です。オレに任せてください。あの山脈に穴をあけてトンネルを作ります。」
ライル国王が一人で驚き、一人で納得している。
「そのようなことが可能なのか?だが、レイならできてしまいそうだな。」
その後、全員で帝国と西大陸の現状の確認をして、どこかが攻撃された時や自然災害が起こった時には、全員で対処することが決まった。また、農産物やその他の物資の輸入輸出に関する取り決めが行われ、関税などは必要なしとなった。文化交流については、各国にそれぞれの国の特性を生かした学校を作り、交換留学生の仕組みを作ったり、国際発表会などの行事を取り入れることも決まった。
ここで、チャーチル教皇が発言する。
「ところでレイさん。今回だけでなく、定期的にこうやって各国の代表が集まる機会があった方がいいと思うのですが。」
「そうですね。各国に『転移門』も設置していますから、必要が発生したら会議の申請が行えるようにしましょう。いいですよね?皆さん。」
「異論なしだ。」
「俺達もいいぜ。」
こうして、世界会議は無事閉幕したのであった。
オレはその後、マルメット山脈まで向き、竜人国と山麓の街ホクトを結ぶトンネルを作った。
「やっぱり、レイ君規格外。最近夜も規格外。」
リリーがなぜか可愛いく思えてしまう。
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