第68話 世界会議(1)
オレ達は竜人の里から戻り、現在ステイル王国の王城にいる。会議室にいるのは、ライル国王、バロンお父様、オレ、エリー、ミク、リリーだ。
「じゃぁ、報告するね。まず、同盟に参加する予定なのは、このステイル王国、フェアリー連邦国、リーゼット聖教国、竜人の里。それに古代竜のギアラさん達だよ。」
「レイ。それは誠か?竜人の里ばかりでなく、古代竜達まで参加してくれるのか?」
「本当だよ。しっかり話してきたからね。」
「古代竜達は、精霊王と同じで、この世界の均衡を保つ存在と聞いておるぞ。」
「そうだね。彼らはさすが神に近い存在だけあって、すごく強いよ。」
「心強い味方を得たということか。」
「ところで、同盟を結ぶにあたって、それぞれの首脳を全員一か所に集めて、会議を開きたいんだけど。この会議室でいいかな?」
「それは構わないが、どうやって集めるのだ?」
「それは大丈夫。それぞれに『転移門』を設置してきたからね。」
「やはりそなたは『神の使徒』だけあって、規格外だな。そなたが、我が国の貴族であったならば・・・・やめておこう。」
「以前言った通り、オレはどこの国にも属さないよ。」
「ならば、世界会議の議長はどうじゃ?」
隣で聞いていたエリーが突然反応する。
「それいいかも。ねぇ、ミク、リリー。レイ君以外にまとめ役いないと思わない?」
「確かに。レイが適任にゃ。」
「適任。適任。」
オレは、話の流れから世界会議の議長を引き受けることとなった。その後、会議は1か月後にステイル王国王城のこの会議室で行われることが決定した。オレはそれぞれの国に連絡を入れた。
オレ達は、昔からのたまり場であるロラックス商会の店フォランにやってきた。
「レイ君、会議で何を話し合いするの?」
「最初に、帝国と西大陸の現状の確認だろ。どこかが攻撃された時や自然災害が起こった時の対応。農産物やその他の物資の輸入輸出に関する取り決め。文化交流について。その他いっぱいだね。」
「いっぱいにゃ。聞いてるだけでお腹空いてきたにゃ。何か食べるにゃ。」
「食べる。食べる。」
レイ達はそれぞれ注文した。エリーはいつものようにオムライス、ミクはステーキ2人前、リリーはスパゲッティーだ。オレは、フォランの最新作メニューのカレーうどんを注文した。うどんは、オレ達が学園時代に商品開発をしたものだが、カレーは東の都オルトからレシピを手に入れたようだ。
「レイ、それ美味しそうにゃ。私にも少し頂戴。」
ミクがこちらを向いて口を開ける。
「いいよ。あ~ん。」
「辛いにゃ!水!水!水!」
「オルトで食べたじゃん。」
「美味しいけど、私には辛すぎにゃ!」
「レイ君。私にはあ~んしてくれないの?」
「私も。私も。」
賑やかな食事時間も終わり、オレ達は店を出て街をぶらぶらと歩いた。バビロンから『通信』が来たので、ダンジョンの最下層でバビロンと待ち合わせをした。
「レイさんに報告があります。」
「どんな報告かな?」
「最初に、フェアリー連邦国の奴隷の救出ですが、すべて終了しました。」
「早かったね。頑張ってくれたんだ。ありがとう。」
「いいえ。7大精霊の皆が協力してくれましたから。救出した奴隷は、7大精霊の皆さんがフェアリー連邦国にお連れになりました。それと帝国に動きがありました。」
「何があったの?」
「先の戦いで20万人の軍人と1,000台の戦車を失ったことがショックだったらしく、さらに軍備の増強を始めました。恐らく、2年ほどしてから再度どこかの国に侵攻すると思われます。」
「そうか~。諦めてくれないか~?」
「よろしいですか?一つに気になる事があるのですが?」
「何?」
「あの戦車や量子破壊砲は、どうやって作ったのでしょうか?私は、創造神様がこの惑星をお作りになった後からですから相当長く生きていますが、いまだあのようなものを目にしたことはありません。あれらは、本当にこの世界のものでしょうか?」
リリーが心配そうに告げた。
「あの量子破壊砲は危険。」
エリーも同じように言った。
「あの場所にレイ君がいたからよかったものの、そうでなければ今頃量子破壊砲でフェアリー連邦国は跡形もなく消えてるわね。」
「バビロンさんは、帝国について調べて不自然なことなかったの?」
「はい。ただ、ビクティア帝国の宰相のビスマンが気になります。」
「どんな風に気になるの?」
「彼が現れてすぐに前皇帝がなくなりました。それに、彼が来てから戦車や最新の武器などが創られるようになりました。あと気になる点は、彼の出生がいくら調べてもわからないのです。」
オレは思った。もしかしたら異世界からの転生者かもしれない。だけど、もしそうならば最高神ソフィア様が知らないわけがない。一度会って聞いてみるかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます