第64話 フェアリー連邦国のその後

 オレ達は今、世界樹の森の戦闘のあった場所にいる。目の前には、7大精霊とフェアリー連邦国の人達がいる。


「フェアリー連邦国の皆さん、オレはレイです。知っている通り最高神ソフィア様から『神の使徒』を仰せつかっています。そして、隣にいるのが、エリー、ミク、リリーです。オレの妻達です。」



 代表してエルフ族のゲイルさんがお礼を言ってくる。



「ありがとうございました。『使徒』様に来ていただけるとは。フェアリー連邦国の諸君、ソフィア様に感謝しようぞ。」


「お~。」



 オレは、これからのことを相談しようとみんなに話し出した。



「フェアリー連邦国に皆さん。戦闘は終結しました。ですが、皆さんにとっての戦いはまだ終わっていません。奴隷として捕まっている人たちの解放、国の復興を成し遂げて初めて終戦です。」



 ここでドワーフ族の長へパイが聞いてくる。



「レイ様、奴隷の解放って言ったって、帝国全域にいるんだぜ。何年かかるかわかりゃしねぞ。」



 それを聞いて、獣人族の長デドンが言う。



「へパイよ。俺は諦めねぇぜ。何年かかったって救い出すさ。」



 また、ゲイルも苦々しい顔をして発言する。



「俺達の仲間は、男も女もほとんど性奴隷にされてるんだ。あいつらの悔しさを考えたら俺は我慢できない。すぐにでも助け出しに行くぞ。」



 7大精霊達がオレを見ている。



「みなさん、そんなに時間をかけずに助けられると思いますよ。ここには7大精霊の皆さんもいるじゃないですか?オレの仲間に、人質救出を得意とする人がいますので。ここに呼びますね。」



 オレは、悪魔王バビロンを召喚した。



「お呼びですか。レイさん。」



「ああ。バビロンさんにお願いがあるんだけどいいかな?」


「私にできることであれば。」



 へパイさんが、恐怖に怯えるように言った。

 


「レイさん。そこにいるのは悪魔じゃねぇのか?」


「そうですよ。悪魔王バビロンさんです。バビロンさん自己紹介をして。」


「私は、デーモンロードのバビロンです。レイさんに従っているものです。」


「え~。」


「お前さん。デーモンロードを従えてるって、何者だ?」


「だから、『神の使徒』だって言ってるじゃないですか?」


「なぜ。『神の使徒』が悪魔を?」


「へパイさん達は誤解しているようですからお聞きしますが、天使は誰が生み出しましたか?」


「創造神様だろ!そのぐらいわかるわ!」


「なら、悪魔は誰が生み出したのですか?」


「ん~?やっぱり、創造神様かな~?」


「そうです。天使も悪魔も創造神様が生み出しました。あなた方も、天使も悪魔もみんな創造神様が生み出したのです。みんな、兄弟なんですよ。」


「なるほど。言われてみればそうだよな。」


「問題なのは天使、悪魔、精霊、人族、ドワーフ族、エルフ族、獣人族のような『種族』ではなく、一人一人の『魂』だと思いますよ。」


「さすがは『神の使徒』だけのことはあるなぁ。」



 その場にいたみんなは感心していた。精霊王アポロさんはその光景をほほえましい目で眺めていた。


 オレは、今までのいきさつをバビロンに説明した。



「バビロンさん。7大精霊さんと協力して奴隷として捕まっている人達の解放をお願いできるかな?」


「いいですよ。まず、私の眷属に調べさせましょう。その後、私と配下で救出しますが、数が多いので、姿を隠蔽できる7大精霊の皆さんが援助していただけると嬉しいです。」



 アポロさんが発言する。



「久しぶりだな。バビロン。」


「アポロか?闇の大精霊シェイドは元気か?」


「ああ、そこにいるぞ。」


「お前、シェイドか?大きくなったなぁ。」


「いつまでの子ども扱いしないでよ。胸だってこんなに大きくなったんだから。」


「そりゃ、よかったなぁ。ワッハッハッ。」


「バビロン。俺達7大精霊は全面的にお前に協力するぞ。よろしく頼む。」


「わかった。」



 悪魔王バビロンは、闇の大精霊シェイドがまだ未熟な姿だった頃に修行を付けていたそうだ。


 ミクが聞いてきた。



「レイ、復興はどうするにゃ?フェアリー連邦国全域となると人手が足りないにゃ。」


「ステイン王国に連れて行った帝国軍人と、ここにいる帝国軍人に償いの機会を与えるさ。彼らは、自分の犯した罪の重さを自覚してるからね。フェアリー連邦国の人々のために汗を流すと思うよ。」



 エリーが心配して聞いてきた。



「でも、同じ場所に寝泊まりするんでしょ?軍人達には『罪の輪』がついているから大丈夫だと思うけど、フェアリー連邦国の人達が復讐するんじゃないの?」



 それを聞いて精霊王アポロが発言する。



「大丈夫ですよ。エリーさん。私たち精霊が見ていますから。それに、ドワーフ族のへパイ、エルフ族のゲイル、獣人族のデドンがしっかりと皆に説明しますから。」



 オレ達は、帝国軍人達を連れて一緒に世界樹の広場に向かった。

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