第56話 帝国の動きと対策
オレ達はマルメット山脈の街ホクトから王都に戻ってきた。そして現在、オレは神界に来ている。
「母上、古代竜ギドラさんや竜人族の皆さんと友好関係を築けました。ありがとうございました。」
「私は何もしていませんよ。ギドラには、私の『使徒』が、近いうちに訪ねるでしょうとしか伝えていませんでしたから。」
「これで仲間も大分増えました。」
「そうね。元天使のエリー、ミク、リリー。それにリーゼット聖教国の教皇チャーチル、聖女メテル、悪魔王のバビロン、古代竜ギドラ、地竜アース、炎竜フレイア、雷竜ライジン、竜人族の長リザール。本当によく頑張ったわね。」
「ですが、まだ東大陸のビクティア帝国や帝国に占領されているフェアリー連邦国、西大陸のサティーニ魔王国、ユリウス=マティーニに滅ぼされた国々など、平和とは言えない国々が残っています。」
「そうね。悲しみ、苦しんでいる者達が大勢いるわ。」
「これから、私は東大陸の平和を目指します。ですが、オレ達4人の力だけでなく、この世界の人々の力も必要です。オレはこれから禁忌の魔法を使用することになります。よろしいのでしょうか?」
「レイチェル。以前話した通り、今回はあなたへのご褒美ですから、自分の思った通り行動しなさい。」
「ありがとうございます。」
「そろそろ時間のようね。また来るのですよ。」
「はい。母上。」
オレは、神界から戻った翌日、エリー、ミク、リリーと4人で王城に来ている。現在、王城の応接室には、ライル国王、宰相のバロンお父様、オレ、エリー、ミク、リリーがいる。
「お父様お久しぶりです。」
「エリー。元気にしていたか?みんなと仲良くやっているのか?」
「はい。みんな優しいですし、レイ君には愛されています。」
「ワッハッハッ。そうか、そうか。幸せそうで何よりだ。ところで、レイチェル、今日はなんの相談かね?」
オレは、古代竜ギドラのことや竜人族のことを報告した。
「そうか。ならば、古代竜も竜人族も味方になってくれたのか?」
「はい。これで、西大陸の魔族の動きは把握できますし、攻撃があっても時間を稼ぐことができます。」
「では、フェアリー連邦国の解放に動くのか?」
「その前に、国王陛下に確認したいのですが、もし、オレ達の行動が原因で、ビクティア帝国と戦争になった場合、ステイル王国の兵力は大丈夫でしょうか?」
「どうなんだ。バロン。」
さすがバロンお父様は宰相だけのことはある。軍隊の現状も十分把握しているようだ。
「はい。十分とは言えませんが、以前よりも戦力は充実しています。近衛騎士団長のアルトと、『愛の絆』のシリウス殿とベガ殿が訓練に参加してくれたおかげで、兵士達の熟練度も向上しました、現在、10万人の王国軍が、各地方の拠点で活動しています。」
「そうですか?ですが、帝国と戦争になった場合、すぐに集めることは不可能ではないですか?」
「そうだな。この王都に集結するのに、10日はかかるな。」とバロンお父様。
「そうすると、いざという時に間に合いませんね。」
「そうなんだ。わしも、そこが心配なのだ。反乱軍の鎮圧の時も、王派閥の軍隊は王都におらず、全く役に立たなかったからな。レイチェル、何か策はないか?」
「ないこともないのですが。ただ、悪事に使われると困るのです。」
「悪事には使わせぬ。国王のわしが責任をもって約束しよう。して、その方法とは?」
「はい。軍を配置している各拠点とこの王都を『転移門』でつなぐのです。」
「『転移』とな。そのようなことが可能なのか?」
「はい。すでに、エリーは長距離転移の『ワープ』は無理ですが、短距離転移の『テレポート』は発動できます。」
「誠か?エリー。」
「はい。お父様。私だけでなく、ミクもリリーもできますよ。だって、私達は、レイ君の『妻』ですから。」
赤い顔をして『妻』を強調したエリーがかわいくてたまらない。今日の夜はお仕事決定だ。
「わかった。では、わしが責任をもって管理させよう。レイチェル、設置をお願いできないか?」
「わかりました。すぐに設置に取り掛かりましょう。」
「バロン。王国軍の中から、信用のおける人間を選び、その『転移門』の守備に当たらせよ。」
「わかりました。国王陛下。」
オレ達は、王城からの帰り道、久しぶりに昔のたまり場であったロラックス商会の「フォラン」に寄った。
「レイ君、この店も久しぶりね。メニューも大分増えてるよ。」
「レイ、私、お腹空いたにゃ。沢山注文していいにゃ?」
「いいよ。オレもお腹空いちゃったし、エリーもリリーも注文しようよ。」
オレは、ハンバーグ定食、エリーはオムライス、リリーはステイル牛のステーキ、ミクはそのすべてを注文した。
ミクの注文を聞いてエリーが心配そうだ。
「ミク。3人前も食べられるの?」
「余裕にゃ。」
全員でご飯を食べ終わった後、オレはみんなにこれからのことを話した。
「あのさ、これからなんだけど、転移門を王都と各地域に設置した後、フェアリー連邦国に行きたいんだけど、どうかな?」
「私はいいと思うわよ。ミクとリリーは?」
「私も、お父さんとお母さんの故郷だし、行ってみたい。」
ここで珍しくリリーが真剣な顔で意見を言う。
「レイ君、その前に帝国の動きが心配。」
「そうだね。なら、帝国の動きを探ろうか?」
「そんなことできるの?」
「バビロンにお願いするさ。彼は、悪魔王だから、配下もたくさんいると思う。」
「そうにゃ。その手がったにゃ。」
「やっぱり、レイ君はエッチだけど賢い。」
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