リーゼット聖教国

第34話 中等部卒業と婚約

 レイ達4人は今春中等部を卒業した。卒業後は4人で世界中を旅する予定だが、その前にやることがいろいろある。


 一つは、エリー、ミク、リリーのそれぞれの家族への挨拶と婚約の許可だ。さらに、旅に出ることを許可してもらわないといけない。


 さらに、現在休眠中の会社『シルバーキング』の解散と、ロラックス商会への報告だ。他に冒険者ギルドのギルマスであるアルトさんにも報告しなければならない。


 やること満載だ。


 最初に、レイはエリーと一緒に王城へ行き、国王陛下とエリーの母であるセリーヌ王妃に挨拶しようと決めた。



「エリー、ライル国王陛下とセリーヌ王妃に挨拶に行きたいんだけど、都合聞いてくれるかな?」


「いいわよ。何の挨拶に来るの?」


「『エリーをお嫁さんに下さい。』って言うに決まっているだろ。」


「お嫁・・・・・」



 エリーは真っ赤な顔をして、うつむいてしまった。

 

 2日後、オレは一人で王城の応接間にいる。そこに、ライル国王陛下とセリーヌ王妃とエリーが入ってきた。オレは、片膝をついて臣下の礼を取った。



「レイチェル君、今日は個人的な話だ。席に座って気楽にしてくれたまえ。」

 

「はい。」

 


 オレは席に座った。そして、珍しく緊張している。その様子を、楽しそうにエリーは見ている。


 

“エリーには、後でお仕置きが必要だな。”



 レイは、深呼吸して話し始める。



「ライル国王陛下、セリーヌ王妃様に今日はお願いがあってお伺いしました。」


「エリーヌのことでしょ?」と優しくセリーヌ様が言った。


「はい。必ず幸せにします。エリーヌ王女との婚約をお許しください。」


「そうだなぁ。『神の使徒』である、レイチェル君にそういわれたら断れないなぁ。」


「いいえ。『神の使徒』は関係ありません。私は、エリーを愛しています。世界中の誰よりも幸せにしたいと思います。」


「エリーヌはどうなの?」


「私もレイ君を愛しているわ。お披露目会の時からずっとね。」


「2人がいいならそれで決まりだ。結婚式はどうするのだ?」


「実は、学園を卒業したので、冒険者パーティーの4人で、リーゼット聖教国に行こうかと思います。今は婚約という形にして、時機を見て、正式に結婚式を行いたいと思います。」


「表彰式の際に、レイ君が言った通り、エリーヌと他の2人とも結婚するのかい?」


「はい。私にとって、3人とも大切です。誰一人、失うことはできません。」


「エリーヌも承知しているのかい?」


「はい。ミクもリリーも、私にとっても大切な人達です。4人でずっと一緒にいたいです。」

 

「わかった。では、お前達の好きにするがよい。ただし、結婚式は、お前の父バロンに言って、盛大に執り行うから、他の2人にもしっかり伝えておきなさい。」


「ありがとうございます。お義父様、お義母様」


「まっ、あなた聞いたでしょ?お義母様ですって。」



 オレは帰宅した後、ローザお姉様に捕まった。

 


「レイ君、王城に何しに行ったのかな?」


「エリーとの結婚の許可を取りに行ったんだよ。」


「そうかぁ。レイ君ももう結婚か?私もブラコン卒業かな。」



 いつになくローザお姉様は寂しそうだ。



「ブラコンってわかっていたんだ。」


「レイ君は小さい時から可愛かったし、不思議な魅力があったのよね。でも、さすがに姉弟だしね。無理なのはわかっていたけどね。」


「ローザお姉様は、魅力を感じる男性はいないの?」


「まったくいないわけじゃないけどね。相手が相手だから、結婚しても堅苦しい生活になりそうなのよ。自分でも大丈夫かなって心配なの。」


「どなたですか?」

 

「第1王子のロバート殿下よ。私をお嫁に欲しいって、言ってきているんだけど、なんか自信なくてね。」

 

「お姉様は、第1王子が好きなんじゃなくて、ロバート殿下を好きなんでしょ?」

 

「そうよ、別に王子は関係ないわ。」

 

「なら、大丈夫だよ。オレも第3王女じゃなくて、エリーが好きなんだから。同じだよ。」


「そうね。レイ君の言うとおりだわ。お父様に言って、お返事していただくわ。」


 

 2日後、レイはミクと一緒に南の森の近くにある、ミクの家に向った。

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