第25話 ダンジョン(2)

 ダンジョンに潜ってから数日が立った。ここまでダンジョンで辛かったのは、トイレとお風呂だった。



「ねぇ、ミク、リリー。ちょっといいかな?」

 

「どうしたの?エリー。」



 女子3人組がこそこそ話をしている。オレだけ仲間外れだ。



「レイ。ちょっと私たち3人であっちに行くにゃ。絶対に来ちゃだめにゃ!絶対にゃ!」

 

「わかったよ。トイレだろ?」

 


 女子3人は真っ赤な顔をして、文句を言っていた。



「レイ君。デリカシーないの?」

 

「レイは、男で良かったにゃ!」


「レイ君、エッチ。」


「わかったよ。あっちに行っているから。」



 彼女たちが戻ってきたので、少し広い場所に結界を張って休憩場所を確保した。そこに、オレは空間収納に入れておいたテントと調理道具と食材を出した。調理はリリーとエリーの担当だ。オレとミクはテントを張っていた。すると、ミクがぼやき始めた。



「あ~。お風呂入りたいにゃ。レイはいいにゃ。男だし、気にならないにゃ?」


「そんなことないよ。オレだって汗臭いのは嫌だよ。」


「レイ。何とかならないにゃ?」


「『クリーン』の魔法で、匂わないようにきれいにすることはできるよ。」

 

「お風呂は無理にゃ?」


「できないことはないけど。」


「本当にゃ?作れるにゃ?」


「わかったよ。作るよ。」



 オレは、土魔法で土の壁を作り、浴室のような空間を作った。その中に浴槽を作り、温かいお湯を張って、買っておいた石鹸を置いておいた。オレがお風呂を作るのを、ワクワクしながら見ていた3人は、完成と同時に一緒に浴室に入っていった。



「ありがとう。レイ君。」



 ミクが両手で大きな胸を隠すし仕草をしながら声をかけてきた。



「レイも一緒に入るにゃ!」



 リリーは疑いの目をしながら、



「のぞかないでね。」


“まともなのはエリーだけだよな~。”



 3人がお風呂に入った後、俺も風呂に入り、その後3人で食事をしてテントで寝た。オレの隣に誰が寝るかで3人が争ったが、ジャンケンで決めていた。翌日以降は、オレの隣で寝るのを交代制にするようだ。

 

 41層からは昆虫系の魔物が中心だ。女子3人組がひいていたので、オレが中心に倒していった。カマキリに似たもの、カブトムシに似たもの、蝶のようなもの、そして意外に強かった蜂のようなもの、などがいた。Gに似たのもいた。さすがに、これが群れで襲ってくると、エリーもミクもリリーさえも大声を出して逃げ回っていた。


 オレ達は、50層のボス部屋の前にいる。今までと違って、扉が豪華で、重厚だ。


 扉を開けると、そこにはデーモンロードがいた。



「よもや、ここまでたどり着くものがいるとはな。褒美に名を名乗ってやろう。俺の名前は、バビロンだ。このダンジョンの管理を任されている。」


「えっ、管理を任されているの?誰に?」


「最高神ソフィア様に決まっているだろう。」


「そうなんだ。オレの名前はレイ。ソフィア様の知り合いなら、倒すわけにはいかないな。」とオレが独り言のようにつぶやく。

 

「貴様は、俺を倒せるとでも思っているのか?ならば、かかってくるがよい。」

 


 そう言うと、バビロンの体から強く巨大で真っ黒のオーラが解放された。たしかに、バビロンは強そうだ。普通の人間ならば、恐らく勝てないだろう。レベルの上がったエリーやミク、リリーも単独では無理だ。



「かかってこないなら、こちらから行くぞ。」



 バビロンは、黒い霧となって姿が消えた。次の瞬間、オレの後ろから首筋めがけて、バビロンの鋭い爪が襲い掛かる。オレは咄嗟に避けたが、首から血が流れた。



「よく今の攻撃を避けたな。お前、只者ではないな。何者だ。」


「オレは、普通の人間だよ。」


「そうか。まぁよい。では、いくぞ。」



 今度は、バビロンの体から、無数の黒い粒が出てきて、オレの頭上から槍の雨のように襲い掛かる。避けられないと思ったオレは、『ライトニングシールド』を発動し、すべてを防いだ。



「これも防ぐか?だが防いでばかりだと、俺は倒せないぞ。」


「仕方ない。なら、攻撃するけど、死なないでね。」



 オレは、普通の攻撃ではダメージを与えられないと思ったので、少し強めの攻撃をしようと、『神気』を少し解放した。すると、オレの体が眩しいほどの光に包まれ、背中からは大きな白い翼が現れた。『サンダーバースト』を発動しようとしたその時、バビロンが俺の前に跪いた。



「お待ちください。あなたは、もしや、・・・」



 バビロンがオレの秘密を口に出そうとしたので、慌ててオレは止めた。

 


「ちょっとまって!オレは、普通の人間ですよ。バビロンさん。」


「大変失礼しました。レイ様。私のことは、バビロンとお呼びください。」


「敬語はやめようよ。オレのことはレイと呼んで。」


「呼び捨てにはできません。レイさんではだめでしょうか。」


「それでいいよ。」



 オレとバビロンの不思議な会話を聞いていた、エリーとミクとレイは、何が起こったのかわからず大きく口を開けて驚いていた。正気に戻った3人に、オレは質問攻めにあった。



「レイ、どうなっているの?」


「どうして、悪魔王がレイ君に臣下の礼をとっているの?」

 

「レイ君、やっぱり規格外。」

 


 オレはどう誤魔化そうか考えたが、いい考えが思いつかなかった。そこで、5歳の時に教会に行き、不思議な出来事が起こったこと。その後、気づいたら不思議な力が身についていたということにした。



「バビロンは、デーモンロード、つまり悪魔王だよね。悪魔は魔族と何が違うの?」

 

「悪魔は、天使と同様に、創造神様に直接作られた存在です。そのため、魂が大きく、精神体が本来の姿となります。魔族は、精霊から生まれた妖精族が進化したものです。エルフ族、獣人族、ドワーフ族と同じですね。」


「そうなんだね。勉強になったよ。ありがとう。」


「ところで、私は、レイさんにお仕えしてもよろしいのでしょうか?」

 

「お願いしたいところだけど、ソフィア様の考えもあるだろうから。オレが必要な時に連絡するよ。」


「はい。いつでもお呼びください。すぐにでも、レイさんのもとに駆け付けます。」



 オレ達は、バビロンからダンジョン踏破のご褒美として、魔石の埋め込んだブレスレットを渡された。どうやら、魔力増加、魔法補助、悪魔召喚、即死回復の機能を備えているらしい。


 4人はその後、レイの転移魔法で1層まで戻り、入口から外に出て、不要なドロップ品を買い取ってもらった。疲れ果てている4人は、来た時と同じレイの『ワープ』で王都まで戻り、数日ぶりにそれぞれの家に帰った。


 中等部になったころと比べて、3人とも見違えるほど強くなった。エリーもミクもリリーも、冒険者ギルドでもA級に昇級した。実力はすでにS級以上だけどね。卒業まで、この調子で頑張って欲しい。

 ダンジョンに潜ってから数日が立った。ここまでダンジョンで辛かったのは、トイレとお風呂だった。



「ねぇ、ミク、リリー。ちょっといいかな?」

 

「どうしたの?エリー。」



 女子3人組がこそこそ話をしている。オレだけ仲間外れだ。



「レイ。ちょっと私たち3人であっちに行くにゃ。絶対に来ちゃだめにゃ!絶対にゃ!」

 

「わかったよ。トイレだろ?」

 


 女子3人は真っ赤な顔をして、文句を言っていた。



「レイ君。デリカシーないの?」

 

「レイは、男で良かったにゃ!」


「レイ君、エッチ。」


「わかったよ。あっちに行っているから。」



 彼女たちが戻ってきたので、少し広い場所に結界を張って休憩場所を確保した。そこに、オレは空間収納に入れておいたテントと調理道具と食材を出した。調理はリリーとエリーの担当だ。オレとミクはテントを張っていた。すると、ミクがぼやき始めた。



「あ~。お風呂入りたいにゃ。レイはいいにゃ。男だし、気にならないにゃ?」


「そんなことないよ。オレだって汗臭いのは嫌だよ。」


「レイ。何とかならないにゃ?」


「『クリーン』の魔法で、匂わないようにきれいにすることはできるよ。」

 

「お風呂は無理にゃ?」


「できないことはないけど。」


「本当にゃ?作れるにゃ?」


「わかったよ。作るよ。」



 オレは、土魔法で土の壁を作り、浴室のような空間を作った。その中に浴槽を作り、温かいお湯を張って、買っておいた石鹸を置いておいた。オレがお風呂を作るのを、ワクワクしながら見ていた3人は、完成と同時に一緒に浴室に入っていった。



「ありがとう。レイ君。」



 ミクが両手で大きな胸を隠すし仕草をしながら声をかけてきた。



「レイも一緒に入るにゃ!」



 リリーは疑いの目をしながら、



「のぞかないでね。」


“まともなのはエリーだけだよな~。”



 3人がお風呂に入った後、俺も風呂に入り、その後3人で食事をしてテントで寝た。オレの隣に誰が寝るかで3人が争ったが、ジャンケンで決めていた。翌日以降は、オレの隣で寝るのを交代制にするようだ。

 

 41層からは昆虫系の魔物が中心だ。女子3人組がひいていたので、オレが中心に倒していった。カマキリに似たもの、カブトムシに似たもの、蝶のようなもの、そして意外に強かった蜂のようなもの、などがいた。Gに似たのもいた。さすがに、これが群れで襲ってくると、エリーもミクもリリーさえも大声を出して逃げ回っていた。


 オレ達は、50層のボス部屋の前にいる。今までと違って、扉が豪華で、重厚だ。


 扉を開けると、そこにはデーモンロードがいた。



「よもや、ここまでたどり着くものがいるとはな。褒美に名を名乗ってやろう。俺の名前は、バビロンだ。このダンジョンの管理を任されている。」


「えっ、管理を任されているの?誰に?」


「最高神ソフィア様に決まっているだろう。」


「そうなんだ。オレの名前はレイ。ソフィア様の知り合いなら、倒すわけにはいかないな。」とオレが独り言のようにつぶやく。

 

「貴様は、俺を倒せるとでも思っているのか?ならば、かかってくるがよい。」

 


 そう言うと、バビロンの体から強く巨大で真っ黒のオーラが解放された。たしかに、バビロンは強そうだ。普通の人間ならば、恐らく勝てないだろう。レベルの上がったエリーやミク、リリーも単独では無理だ。



「かかってこないなら、こちらから行くぞ。」



 バビロンは、黒い霧となって姿が消えた。次の瞬間、オレの後ろから首筋めがけて、バビロンの鋭い爪が襲い掛かる。オレは咄嗟に避けたが、首から血が流れた。



「よく今の攻撃を避けたな。お前、只者ではないな。何者だ。」


「オレは、普通の人間だよ。」


「そうか。まぁよい。では、いくぞ。」



 今度は、バビロンの体から、無数の黒い粒が出てきて、オレの頭上から槍の雨のように襲い掛かる。避けられないと思ったオレは、『ライトニングシールド』を発動し、すべてを防いだ。



「これも防ぐか?だが防いでばかりだと、俺は倒せないぞ。」


「仕方ない。なら、攻撃するけど、死なないでね。」



 オレは、普通の攻撃ではダメージを与えられないと思ったので、少し強めの攻撃をしようと、『神気』を少し解放した。すると、オレの体が眩しいほどの光に包まれ、背中からは大きな白い翼が現れた。『サンダーバースト』を発動しようとしたその時、バビロンが俺の前に跪いた。



「お待ちください。あなたは、もしや、・・・」



 バビロンがオレの秘密を口に出そうとしたので、慌ててオレは止めた。

 


「ちょっとまって!オレは、普通の人間ですよ。バビロンさん。」


「大変失礼しました。レイ様。私のことは、バビロンとお呼びください。」


「敬語はやめようよ。オレのことはレイと呼んで。」


「呼び捨てにはできません。レイさんではだめでしょうか。」


「それでいいよ。」



 オレとバビロンの不思議な会話を聞いていた、エリーとミクとレイは、何が起こったのかわからず大きく口を開けて驚いていた。正気に戻った3人に、オレは質問攻めにあった。



「レイ、どうなっているの?」


「どうして、悪魔王がレイ君に臣下の礼をとっているの?」

 

「レイ君、やっぱり規格外。」

 


 オレはどう誤魔化そうか考えたが、いい考えが思いつかなかった。そこで、5歳の時に教会に行き、不思議な出来事が起こったこと。その後、気づいたら不思議な力が身についていたということにした。



「バビロンは、デーモンロード、つまり悪魔王だよね。悪魔は魔族と何が違うの?」

 

「悪魔は、天使と同様に、創造神様に直接作られた存在です。そのため、魂が大きく、精神体が本来の姿となります。魔族は、精霊から生まれた妖精族が進化したものです。エルフ族、獣人族、ドワーフ族と同じですね。」


「そうなんだね。勉強になったよ。ありがとう。」


「ところで、私は、レイさんにお仕えしてもよろしいのでしょうか?」

 

「お願いしたいところだけど、ソフィア様の考えもあるだろうから。オレが必要な時に連絡するよ。」


「はい。いつでもお呼びください。すぐにでも、レイさんのもとに駆け付けます。」



 オレ達は、バビロンからダンジョン踏破のご褒美として、魔石の埋め込んだブレスレットを渡された。どうやら、魔力増加、魔法補助、悪魔召喚、即死回復の機能を備えているらしい。


 4人はその後、レイの転移魔法で1層まで戻り、入口から外に出て、不要なドロップ品を買い取ってもらった。疲れ果てている4人は、来た時と同じレイの『ワープ』で王都まで戻り、数日ぶりにそれぞれの家に帰った。


 中等部になったころと比べて、3人とも見違えるほど強くなった。エリーもミクもリリーも、冒険者ギルドでもA級に昇級した。実力はすでにS級以上だけどね。卒業まで、この調子で頑張って欲しい。

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