第15話 様々な商品開発

 それから、レイ達は様々な商品の開発を行うのだった。次は、リバースのセットを開発した。五目並べとはさみ将棋のセットに似ていたので、時間もかからずにできた。

 

 ロラックスさんは流石に商人だけあって、はさみ将棋のセットもリバースのセットも、貴族用と庶民用と2種類制作した。貴族用は、高級な材料で制作し、庶民用は低価格な材料で作られていた。


 王都で大人気となり、それぞれの大会まで開かれるようになった。


 ミクが朝から元気に話しかけてくる。 



「レイ、私達もリバースの大会に出るにゃ!」


「どうして?」

 

「優勝賞品が、あの幻のキングベアのお肉にゃ。食べたいにゃ。」


「キングベアなら、以前狩ったことがあるよ。お肉も、まだ僕の空間収納の中に入っているよ。」

 

「うっそにゃ――――!レイ、私たち友達にゃ。ちょっとでいいから、分けて欲しいにゃ!」


「いいよ。後で皆に分けてあげるね。」



 ミクと話をしているところに、エリーがやってきた。



「それで、レイ君。次は何を作るの?」


「そうだね。玩具を2つ作ったから、今度はお菓子に挑戦しようか?」



 リリーもだいぶ打ち解けてきた。

  


「お菓子大好き。」



 僕たちは、ロラックスさんに相談し、必要な材料をもらい、様々なお菓子に挑戦した。特にその中で、3人娘に好評だったのが、プリンとアイスクリームだった。


 完成したプリンとアイスクリームを、早速、僕のお母様とローザお姉様とロラックスさんに試食してもらった。



「レイ。すごく美味しいわよ。こんなの初めてだわ。」


「レイく~ん。食べさせて~。」



 お姉様が甘えてくる。


 エリー達がいる前で、恥ずかしいんだけど。



「あ~ん。」とスプーンで食べさせてあげた。


「美味しい~。すっごく美味しいんだけど。レイ君やっぱり天才!」



 ローザお姉様は上機嫌だ。ロラックスさんも興奮している。



「レイさん。これ、すぐに我が商会の店で出したいのですが、作り方を教えてください。」



 2日後、ロラックスさんが経営する王都のお店で、メニュー化された。すると、あっという間に噂が広がり、王都の女性達が行列を作ってまで食べにくる人気商品となった。


 その後、半年に1つのペースで、商品を開発していった。玩具では、トランプなども作った。特に、トランプは大人にも子どもにも人気の商品となったため、ロラックス商会の生産が追い付かない状態だった。


 料理に関しては、一般には手に入りにくい材料もあったが、ロラックスさんに頼んで用意してもらった。その材料から、醤油、味噌、マヨネーズ、ソースなどの調味料を作った。塩味が中心だったこの国において、各種調味料は食文化の革命になった。国民からは、すごく重宝された。


 小麦も手に入ったので、お好み焼きやたこ焼きもどきも作ったが、これも大ヒット商品となった。


 さらに、初等部の卒業前には、念願の機械の開発も実現した。複雑なものはできないが、魔石を利用したウォシュレット、扇風機もどき、冷蔵庫もどき、エアコンもどき、快適馬車、井戸用ポンプなどは、国民の生活水準を大きく変える結果となった。


 レイ達が開発した商品はすべてロラックス商会で制作して、販売された。どの商品も爆発的に売れたので、ロラックス商会はリーゼット聖教国にも支店を出し、莫大な利益を上げていた。


 今、公爵家の応接間には、お父様とお母様、それにロラックスさんと僕達4人がいる。



「やはり、レイさん達と契約して正解でした。レイさん達のおかげで、この国だけでなく、リーゼット聖教国の人達の生活も向上したと思います。」


「いいえ。僕達は、アイデアを出しただけです。実際に、人々に商品を提供したのはロラックスさんですし、僕達はそのお手伝いができただけでも嬉しいです。」


「レイ。それにみんな。よく頑張ったな。正直、すぐにやめてしまうのではないかと思っていたが、ここまでできるとは思ってもみなかったぞ。国王陛下も喜んでおられたぞ。」



 当然だが、レイ達がもらった報酬も莫大で、合計白金貨100枚となった。(日本円で約10億円)それぞれに白金貨25枚だ。あまりに大きな金額で、エリーもミクもリリーも手元に置くのが心配ということだったので、僕が空間収納に預かっている。各個人の残金がわかるように分けてある。それぞれが必要な時に、僕が出してあげている。

 

 僕は皆の貯金箱のようになっていた。


 そして、いろいろ楽しかった初等部も終わり、いよいよ中等部となる。年齢も11歳となり、冒険者ギルドへの登録もできる年齢となった。


 この世界では、10歳以下は、いくら能力があっても子ども扱いだ。自分の考えよりも保護者の考え、国の考えが優先されてしまう。一人で旅に出たくても、身分証明書がないので、それもできない。だから今まで、自分の能力に封印をかけ、かなり自重してきた。

 

 それもここまでだ。これからは、『神力』以外の封印を解き、ソフィア母上に言われた通り、この世界を自分の思った通り、楽しく生きていこうと決意するのであった。

 

 (大人になった証拠に、『僕』をやめて、『オレ』に変えることも決意した。)

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