第13話 五目並べとはさみ将棋(1)
僕は学園の初等部に入学したら、やりたいことがあった。冒険者ギルドへの登録はまだできないから、この世界の文明の発展に繋がるようなことをしたいと思っていた。転生前に母上が、この世界ユーピアは魔法に頼っていて、文明が未発達だと言っていた。だから、前世までの知識を生かして、緩やかに貢献できればいいと思う。
まずは、エリーたちに相談してみよう。
翌日、午前の授業が終わって、食堂にお昼ご飯を食べに行こうと、エリーとミクとリリーに声をかけた。
「皆に相談したいことがあるんだけどいいかな?」
「レイ様が珍しいわね。」
「レイ様はやめようよ。僕もエリーって呼ぶから、レイって呼んで。」
「ん――――。レイ君でいいかな。」
「それでいいよ。」
「相談って何にゃ?恋の相談にゃ?」
なんかミクがふざけたように言った。
「ちがうよ。もっと大事なこと。」
「私なんかに、相談なんていいのかなぁ。」とリリーは不安そうに答える。
食堂に着いて、皆で昼の定食を食べ始めた。ミクは当たり前のように2人前を食べた。
「実は、この国にないような玩具や料理、簡単な機械なんかを考えて、それを販売したいんだ。協力してくれるかなぁ?」
エリーが少し不安そうだ。
「楽しそうだけど、私は、アイデアは浮かばないわよ。」
ミクは、現実的な意見を言ってきた。
「アイデアが浮かんでも、材料とかどうするにゃ?それに、機械なんて無理にゃ。」
何事にも引っ込み思案なリリー。
「作れても誰が販売するの?私は魔族だし、知らない人と接するのは苦手。」
みんなが不安に思っていることを一つ一つ解決していくしかないかな。
「アイデアは僕が出すよ。材料とかは4人で見つけに行こう。難しそうな機械は、案だけを考えて、制作はクラスメイトのカイトのお父さんにでも頼もう。カイトはドワーフだし、大丈夫じゃないかなぁ。あと、僕らは、販売はしないよ。お父様にお願いして、商人を紹介してもらうつもりだから。」
「なんか楽しそうね。やってみましょう。ねっ、ミク、リリーいいでしょ。」
ミクが何を誤解したのか赤い顔をして
「いいにゃ。レイと2人で作るにゃ。なんかどきどきするにゃ。」
「ミク、なんか違う方向にいっているよ。2人じゃなくて、4人で作るの。そこ大事だからね。」
僕が反論すると、隣にいたエリーもリリーも苦笑いしていた。
次は、お父様に相談して、信頼できる商人を紹介してもらうつもりだ。家に帰った僕は、お父様が帰宅するのを待って、お父様に相談することにした。
「お父様、相談があるのですが、いいですか?」
「どうした。レイが相談なんて珍しいな。」
「はい。僕は、学校で友達ができました。皆で協力して、いろんなものを作って、販売したいと思います。どなたか信頼できる商人を、紹介してもらえませんか?」
「別に紹介するのはいいが、どんなものを作る予定なんだ?」
「はい。例えば、玩具や料理、簡単な機械なんかも考えています。」
「簡単に言うが、大丈夫なのか?」
「一つ案がありますので、作ったらお持ちします。それを見てから判断してください。」
そう言って僕は部屋から出て自分の部屋に戻った。
翌日の放課後、4人は教室に残って相談を始めた。
「最初に玩具がいいかなって思うんだけど、どうかな?」
「なにかアイデアがあるの?」
「私、獣人族で頭固いにゃ。ルールが簡単で、誰でも気軽に遊べるものがいいにゃ。」
「そうね。材料も手ごろなものがいいわよね。」
そこで、僕は、紙にマス目を書いて、ペンで白丸、黒丸を書いた紙をたくさん作り、五目並べを説明した。ただ、紙は破れやすいので、何度か使った紙はもう使えない。それに、黒丸と白丸の紙はすぐに折れ曲がってしまう。
エリーが玩具が紙であることを心配して
「これ楽しいけど、紙に毎回マス目を書くのが面倒にゃ。」
僕は前世の知識を活かして提案した。
「なら、板か何かにマス目を書いて、白と黒の石を用意したらどうかな?」
それに反応したのが、いつもおとなしいリリーだ。
「それいいかも。板はどうにかなるとして、石はどうしよう?」
皆に感化されたのか、珍しくミクがまともな意見を言う。
「石は、同じ大きさに魔法で加工して、色を塗ればいいにゃ。」
「じゃ、試しに作ってみようか?ミク、板を用意できる?石は僕が用意するよ。」
「大丈夫にゃ。私の家は森の近くにゃ。」
みんなで、協力して作り始めた。
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