第11話 合格発表と入学式
いよいよ今日は、合格発表とクラス分けだ。不合格になることはない。わかっていても落ち着かない。それに、自分のクラスも気になる。別にSクラスに拘っているのではない。クラスメイトにどんな人たちがいるのか楽しみなのだ。
“あの魔族の子と同じクラスになりたいなぁ。”
学校に到着すると、掲示板の前に大勢の人がいる。僕も右端の方から掲示板を眺めていた。すると、僕の名前が1番上にあり、2番目にエリーヌ王女の名前があった。そして、3番目は『リリーゼ=マジョリーヌ』と知らない名前があった。ミクの名前は10番目だ。
“確か、クラスは成績順で、1~10番まではSクラスだから、エリーもミクも一緒だな。良かった~!”
安心していると左の方から強い視線を感じた。そちらに目を向けると、あの魔女っ娘がいたのだ。
“彼女はどのクラスなのかな~?”
合格発表から1週間して、いよいよ入学式だ。僕は主席入学だったので、新入生代表の挨拶をすることになっている。昨日の夜から緊張して眠れなかった。あまりに眠れなかったので、イリナにお願いして、久しぶりに添い寝してもらった。ローザお姉様の絶壁と違って、イリナはふくよかで気持ちいいんだよね。お母様ほどじゃないけど。
入学式にはお父様、お母様、お兄様、お姉様と家族全員で参加だ。ライル国王陛下と王族の皆さんまで来ている。緊張がマックスだ。胃が痛い。
最初に学園長の挨拶だ。
「新入生の皆さん、保護者の皆さん、本日はおめでとうございます。これから皆さんは10年間を本学園で過ごします。ここではたくさんのことを学・・・」
“いよいよかぁ。もっと長くてもいいのにな~。ずっとしゃべってくれないかな~。”
「新入生代表、レイチェル=リストン君。」
「はい。」
ゆっくりと席を立ち、壇上まで歩く、壇上で深呼吸をして
「ご来場の保護者の皆様、今日まで僕達を育てていただいてありがとうございます。僕たちは学園に入学します。今までの、家族に甘えるだけの生活から、自分たちの未来を、自分たちの手で切り開いていく、そのための準備を始めます。それに、これからは甘えるだけでなく、少しでも家族の役に立てるようにお手伝いもします。そして、勉強もします。体も鍛えます。ですが、僕らはまだまだ子どもです。どうか、見守っていてください。よろしくお願いします。」
「パチパチパチパチ・・・・」
“イヤー良かった。終わったよ。緊張しすぎて家族の顔も見られなかったよ。なんか自分で目立ちたくないと、考えていても目立つんだよな。中等部になるまでは、なるべくめだちたくないなぁ。”
そして初登校日、今日初めてクラスのみんなに会う。楽しみだ。Sクラスの教室入るといきなり声をかけられた。
「おはようにゃ。レイ。」
「おはよう。ミク。」
「席順は、成績順みたいだから、レイは一番前の1番左にゃ。私はぎりぎりだったから、1番後ろの1番右にゃ。」
「ミクだってすごいよ。Sクラスに入ったんだもの。」
「やっぱりレイは優しいにゃ。」
すると、前から見知った女の子が声をかけてきた。
「レイ様、おはようございます。」
「おはよう。エリー」
「レイ様は、そちらの女性とお知り合いですか?なんか、すごく仲良さそうですが。」
エリーは不安そうだ。
「私、レイの彼女にゃ。将来結婚するにゃ。ねっ!レイ!」
突然の爆弾発言。
「いやいや、ミクは友だちだろ。そう言ったじゃん。それにまだ6歳で結婚とかありえないし。」と全力で否定した。
すると、エリーは(目は笑っていないけど)にこやかに笑いながら
「では、ミクさんもレイ様も、これからよろしくお願いしますね。」
「こちらこそ。」
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