第5話 レイの変化と今後(2)
お兄様もお姉さまも教会での出来事を真剣な表情で聞いていた。
「レイは神様の使徒か何かなんじゃないの?」
「僕はそんなんじゃないよ。」
お姉様はブラコンを爆発させ、僕に頬づりしながら、
「レイは、生まれたときから可愛いし、頭いいもん。神様に愛されているんだよね。でも私の方が、神様よりずっとずっとレイのことを愛しているわ。」
うつむいて真剣に考えていたお父様が、何か思いついた様に話し始める。
「レイ。とりあえずセバスに言って、明日から家庭教師を雇う。冒険者だけどいいな。だが、予定通り来年からは、マーシャル学院の初等部に通いなさい。中等部を卒業する際に、その後どうするか決めればいい。」
「お母さんもお父様の意見に賛成だわ。将来どうするにしても、しっかりと知識を身につけ、体を鍛えておく必要はあるもの。」
「わかりました。お父様、お母様。」
「レイは偉いな。俺なんか、将来はお父様の跡を継いで、領民の生活を守るぐらいしか考えていなかったよ。」
「お兄様は、お父様のように、大勢の領民の生活を考えなければいけないのですから、僕より大変だと思います。」
「レイはしっかりしすぎ。もっとお姉ちゃんに甘えなさい。」
ローザお姉様は、膝の上の僕の頭を撫でまわしている。するとセバスがやってきて家族に告げた。
「公爵様、お食事の用意が整いました。」
家族で食堂に向かった。メイドに椅子を引いてもらい、席に着くと、セバスが言った。
「本日は、レイ様の5歳の誕生日ですので、お祝いの食事を用意させていただきました。」
「ありがとう。セバス。」と僕は笑顔でお礼を言った。
「レイ様は、お肉料理がお好きですので、大猪のステーキにございます。食後はレッドベリルのケーキをご用意しています。」
家族のみんなが一斉に
「レイ、誕生日おめでとう。」
「お父様、お母様、お兄様、お姉様ありがとうございます。」
家族で楽しく食事をした。お兄様とお姉様は、学校での出来事をそれぞれ披露していた。お兄様は、座学も実習も学校で1番のようだ。それに、金髪で翠の瞳をしていて超イケメン。女生徒たちから大人気だ。ただ、本人は、あまり気にしていない。すでに婚約している伯爵家の次女に一筋だからだ。
お姉様も金髪で翠の瞳の超美少女。残念ながら胸は絶壁。まだまだ育ち盛りの子どもらしい。学校でも、友人達にレイのことを自慢げに話しているようだ。
僕も元々金髪だったけど、今は銀髪になってしまった。お兄様やお姉様と同じく、翠の瞳だ。なかなかのイケメンらしい。これはどうやら王家の血筋らしい。
お母様だけは、金色の混じった茶髪に茶色の瞳だ。でも、神界の母上に負けず劣らずの美女だ。それにお姉様と違い、豊満なお胸様がある。
お父様も隅に置けないな。
自分の部屋に戻ったレイは、自らの力の封印を確認した。まず、神力は1割に封印。魔力は無制限状態をそのまま。火・水・雷・風・土・闇・光の七属性の魔法は、初級・中級・上級・帝級・神級の内、上級まで。但し、無属性魔法は、例外である。例えば、時空魔法は帝級まで使えるようにしている。時々神界にいって神々と相談をしたり、修行したりしなければならないからだ。また、ケガ人や病人を治したいので、聖魔法も帝級にしてある。
翌日、目が覚めると、僕の専属のメイドであるイリナが迎えに来た。イリナは獣人族で狐獣人だ。年齢は今年で20歳。肌が透き通るように白く、超絶美少女だ。僕が生まれたときから面倒を任されている。着替えだけでなく、お風呂も一緒に入って洗ってくれている。なんか、ちっちゃなお母様みたいな存在だ。でも、尻尾が気になる。
「レイ様、着替えて、身支度を済ませて、食堂に行きましょう。」
いつものようにイリナがレイの服を脱がそうとしたが、僕は拒絶した。
「イリナ、僕は昨日で5歳になったんだ。もう自分で着替えるし、お風呂も一人で入るからね。そのつもりで。」
「えっ、レイ様はイリナがお嫌いになったのですか?」
イリナは、レイから手を放し、目に涙を浮かべている。
「違うよ。僕も、もう大人ってことだよ。」
下をむいているイリナを、覗き込むように言った。
「レイ様が生まれてから、ずっとお世話をさせていただいてきたのに、イリナはさみしいです。もう添い寝もさせていただけないのでしょうか?」
そう。レイは昔から寝つきが悪いため、たまにイリナがベッドに入ってきて、本を読みながら添い寝してくれていたのだ。
「添い寝は、たまにならいいよ。たまにだよ。」
“イリナの尻尾はモフモフして気持ちいいんだよな~。”
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