第7話 再会②

翌日、私はドライアドのモドゥ事うー姉が作ってくれた植物で編まれた小さな鞄を下げていた。

そして、エルと手を繋いでいる。


『それでは神様、私は先に獣人の里へ行っております』

「ああ、あちらで落ち合おう」

「うー姉、また後で」

「ああ、チハルまた後で会いましょうね」


小さく手を振るとうー姉は私を撫でてくれた。

そしてエルが私を抱きかかえると急に体が重くなった気がした。


「あれ......ここ」

「ああ、初めてチハルの魂とあった所だよ。私の暮らしている空間ともいえる」

「何もないのね」

「手厳しいな、だが、そうなんだ。だからたまにこうして下界を歩いて見て回るんだ」


そして、直ぐに体の重さを感じなくなった。

瞬きをすれば目の前には森が広がっている、自分達がいた森よりも手が入ったような見通しが利く森だった。


『神様、チハルお待ちしておりました』

「貴方様が創造主様ですか?」


うー姉と共に立っていたのはふわふわの長い毛並みで後頭部に向かって後ろに毛を束ね、鼻の上に丸眼鏡を乗せた猫族がいた。

更にその後ろにはこちらをそわそわと見ている鎧に身を包むみけ猫が居た。


「モドゥ私の正体を語ったのか」

『申し訳ありません、ですが長とここのみけ猫だけです』

「獣人里の長、私はエルという。この腕の中にいる子はチハルだ」

「......みけ、太?」


私はたまらずみけ太の名前を口にすると、二人の後ろに居たみけ猫の青年は耳をこちらに向けた。


「おや、みけ太こんな所にいたのか」

「みけ太なの?」

「~~っ!!」


エルと私がみけ太の名前を呼ぶと我慢できなくなったのか前に出たと思うと私達に飛びついてきた。

流石に人型の獣人にとびかかられると潰れるとおもい私が目を瞑るが痛みは来ない。


「こら、みけ太。猫の頃は良くても今のお前がとびかかればチハルがつぶれてしまうだろう」

「う、うるせぇっ!チハルだ、チハルの匂いだ!!」


スンスンと鼻を動かし大きな金色の瞳を潤ませるとその気が涙で濡れる。


「みけ太、大きくなったねぇ」

「チハル! 俺は大きくなっただけじゃなく、強くなったんだぜ!! 前の弱っちい体じゃないんだ!」


エルに下ろしてもらい、みけ太の傍に行くとしゃがんで大きな肉球で私の顔を挟む。

そして、ふーっと威嚇しながらエルを睨む。


「チハル、細っ子いな。こいつにいじめられたのか?」

「失敬な。私はチハルを守ったのですよ?」

『神様、長が里で細やかな歓迎会を準備してくださっているのでそちらに移動しませんか』

「おやそうなのか、では邪魔するとしよう」


言い合いを続けそうな雰囲気を察したのかうー姉が割って入る。

私はみけ太に肩車してもらい里へと向かったのだった。



「ここが、獣人の里です。大したおもてなしも出来ませんが、ゆっくりされてください」

「うむ感謝するぞ」


里に入れば猫さん達がいっぱいいた。

猫だけでなくネコ科が集まっている感じだった。


「みけ太は冒険してるの?」

「うん!冒険者ってやつだ。これでもSSランクなんだぞ」

「それって凄いの?」

「凄いんだぞー、なんてたってドラゴンを狩ったりするんだから」

「ふーん?」


強いといわれても言葉では出来なかった。

魔物といわれるものと戦った事もであったこともないからだった。


「私も強くなれるかなぁ?」

「うーん、チハルはまずはいっぱい食べていっぱい寝る事がチハルのやらなきゃいけない事だな!」


肩車から降ろしてもらうと、エルの隣に座る。

みけ太はそのまま食事の準備を手伝いに行ってしまった。


「みけ太変わっていたでしょう」

「うん! でも、とっても元気そうでよかった」

「これからはみけ太とも一緒に居れますからね」

「エルもうー姉も一緒?」


エルとうー姉を見ると頷いてくれたので私は嬉しくなった。

里の歓迎会で私はお肉を食べたり魚を食べたり、とにかくいろいろな物を食べることが出来きたのだった。

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