第6話 再会①
エルside
チハルはすりおろしのリンゴを食べた後、ドライアドのモドゥの膝で眠っていた。
体力の回復が遅い為直ぐに体力も尽きてしまう。
先程すりおろしのリンゴにモデゥが回復魔法を込めていたので明後日くらいには普通に生活が出来るだろう。
「本来なら直ぐにでも出たいのですが、チハルの体力を考えると厳しいですねぇ」
『神様でしたら転移で出られるのでは?』
「チハルの体力では少し体調を崩すかもしれない」
『神の領域を通ると人はやはり体に負担がかかるのですね』
とはいえ、一日でも早く合わせてあげたい。
『では、私が先行して情報を仕入れてきましょうか』
「すまないがそうしてくれると助かる。ただ、大丈夫なのか?」
『獣人の里長と交流はありますので』
「情報量として森の恵みを少し分けてあげてくれるかい」
『畏まりました、では行ってまいります』
そういうとモドゥはチハルをベッドに運びそのまま出かけて行った。
「今のチハルを見たら、みけ太は心配するだろうな......」
チハルが起き上がり目を擦ってこちらに来ると甘えたくなったのか私に抱き着く。
そのまま抱きかかえ、柔らかそうなバナナを与えるともくもくと食べている。
「チハル、体の調子はどうだ?」
「......ん、最初よりいい、かな」
最初。ハルの体がチハルと融合した時だろう、あの時は本当にやせ細っていた。
ドライアドのモドゥが戻る間に神気で体の再生状態をほんの少し早めよう。
「チハル、明日は私の力を使ってチハルの体を少しずつ回復してあげよう」
「元気に走れるようになる?」
「ああ、なれる。だが、少し体に負担......元気になる為に体が熱くなるかもしれないが我慢できる?」
「わかんない。けど、みけ太に会う為ならがんばれるよ」
見上げてくるチハルの体は小さい。
同じ10歳とは思えないくらいにハルの体は一回り小さかった。
村自体が貧困に喘いでいたのかもしれない。
―――
チハルside
数日後、うー姉が小屋に戻ってきた。
私はその間にエルか神気を与えられる度発熱を繰り返したが、エルのお陰で人並程度の肌つやが戻ってきていた。
そんな私の姿を見てうー姉は喜んでくれる。
『まぁ、チハル見違えたわね』
うー姉は帰宅早々に私を抱きしめ頭を撫でてくれた。
私も遠慮がちに抱き着くとうー姉はお日様の香りがしたのだった。
「うー姉おかえりなさい」
「モドゥおかえり。進捗はどうだったかい?」
『神様ただいま戻りました。ええ、村長に聞いたらみけ太と名乗る獣人が居ました。』
「おお、まさかこんな近くにいたとは」
『彼は冒険者を生業にしているそうです』
冒険者かぁとぼんやりと話を聞く。
「......! みけ太に会えるの?!」
冷静に言葉を飲み込んでようやくみけ太に会えるという事実を実感した。
『チハル、明日ここを出て獣人の里へ向かいますよ』
「今のチハルは神気を体内に宿らせていますから私の神道を通っても問題はさほどないでしょう」
「わーい、みけ太に会える!」
私はその夜、眠りにつくまでみけ太との沢山の思い出をエルとうー姉に話して聞かせたのだった。
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