第905話 誕プレ詳細
ちょっとはしゃぎ過ぎてしまったけど、ドローンは俺自身がセラフィラントに居ないと大変なので別の方法を考えることに致しました。
だって、ドローンを監視するドローンを作る……なんて事態になっちゃいそうだったし。
ま、そこ迄じゃないだろうけど、西の端っこのシュリィイーレで東の端のセラフィラントのものを動かすってのは、大変そーだなーと思いますしね。
ランチタイム前におうちに戻って来られましたので、忙しくなる前にガイエスに渡す『魔導船徽章作成依頼書』を作ってしまおう。
この徽章は『特別バージョン』ってことで、ビンゴ完成じゃなくて指定図書読破……とかにしようかな。
年齢ごとに本を変えるというより、百冊くらいを指定してその中の二冊を全部読んだらご褒美にあげるってことにしようか。
なんか、夏休みの読書フェアみたいだな。
一日か二日で読み切れる本がいいよねぇ。
年代別に難易度を変えて……大人は……スゲー難しい本にしちゃおーかなー。
ちゃんと、誰でも読める本にはするつもりだけどねー。
あ、徽章の数……どうしようかなー?
さてさてさてーー!
今日も一日お疲れ様の夕食後、お待ちかねの誕プレ確認タイムですよっ!
ガイエスからのヘストレスティア冒険者組合のデッドストック!
古い本が二冊、石板……といっても、皇国のものや今まで見つかったものとは随分違って薄い石だ。
スレートより厚いという程度で、結構脆いから『残すための石板』ではくて『偶然残ってしまった普段使いの記録板』かもしれない。
石板から見てみようか。
一枚ずつ保存袋に入れられていた石板は、全部で七枚。
文字が確認できるものの、これを文字だと判断できた方々も凄いというレベルだ。
……おや、粘菌くんはいないぞ。
迷宮品ではなくて、どこかのお宅にあったものなのだろうか。
だとしたら、破損状態がこの程度なのも解る気がする。
迷宮品が割と良い状態で残るのは、粘菌くん達が魔力キープに一役買っているからだもんな。
では、このまま復元しちゃいましょうか。
書かれているのは全部、皇国現代文字のようだ。
どうもヘストレスティア統合直後くらいのものみたいで、この板は『蝋石盤』として使われていたのか、文字を書いては消した跡が見られるものだった。
ヘストール語から皇国語がメインになった時期だから、子供も大人も使っていた学習用品だったのかもしれない。
ふむふむ、こういう道具類も面白いけど、ビーカーみたいなメスシリンダーっぽい容器に付着しているのは『塩』ですな。
硝子でできているから、科学的な実験でもしていたのか?
あ、違うな。
目盛に見えたものは、水分が蒸発した時に残った金属成分……?
おおっと、毒物っぽいぞー。
こいつはこのまま、保存袋から出さない方がいいなー。
粘菌くん達が全くいないから、分解もされなかったんだろうな。
危険なので、ちょいと後回し。
こっちは日数計かな。
あ、粘菌くんがいるから迷宮品だね。
比較的新しそうだけど……この粘菌くん……火薬を分解していたのに似ているなぁ……
あ、硝石がこびり付いているからか。
硝石……硝酸カリウムが自然にあるということは、ヘストレスティアは昔から乾燥地帯だったんだな。
こういう僅かなものから色々なことが解るから、面白いよねぇ。
さて、本の方は……おっと、直してしまわないと出せないみたいだな。
これも迷宮品って訳じゃなさそうだね。
一冊目の本はヘストール語……と、皇国語の両方で書かれている?
いや、途中から皇国語に書き方が変わっているから、最初の方を書いていた時期と残りを書いていた時期が違うってことか?
……あ、途中で本がくっつけられているのか!
元々は別の本だったのに、一冊に纏めていることみたいだけど……なんで?
えーと……ああ!
この本って『続きもの』か!
第一巻がヘストール語で書かれていて、第二巻が皇国語で書かれているのか。
めちゃ
ヘストール時代はアーメルサスとかマイウリア、ガウリエスタみたいに『剣で戦う』ヒーローに人気があったけど、二巻の頃には皇国との交易などが増えて魔法師の方が強いって風潮になったのかな?
一作目でヒットしたものがその人気で二作目作ったのに、方向性変わってファンががっかりする映画みたいな気分だ。
これは、伝承ではなくて間違いなく『創作の物語』だなぁ。
続編と思える二冊目が、露骨に皇国へ媚びている感じだもん。
さて、もう一冊の方は……こっちは迷宮品っぽいな。
粘菌くん達が、綴じ金具にいるみたいだ。
それにしても……この粘菌くんって本当に羊皮紙とか動物性、植物性のものには興味を示さないみたいだね。
無機物の中でだけ、魔瘴素とか魔効素に関われるということだろうか。
これは随分古そう……文字が古代マウヤーエート語プラス、ハーミクト語っぽいので『ディエルティ時代のもの』というのが濃厚。
書かれていた内容は『アーメルサスとの奴隷貿易』……イラッとするが、アフリカから『人間』を買い付けていた頃の『奴隷船貿易』にそっくりだ。
北側の破氷船という船を使って、海路でのやりとりしていた記録。
随分と危険な航路だったようだが、その危険は魔魚ではなく地形そのものによるみたいだ。
この本の書かれた時代は、迷宮を育てるなんてこともしていなかったみたいだし、冒険者という人々も入ってきていなかったように読める。
まだアーメルサスでその名称が使われていなくて、呼び名が違っていただけかもしれないけど。
ディエルティと違ってこの本では『地下は隷位の住処』『地下仕事は穢れた者達の役割』という感じだ。
ということは……ディエルティ時代に入ってきた『他国の本』……?
ディエルティの文字は『他国からの輸入』だとは思うけど、ディエルティとして独立しても文字まで変わるほどの長期間、国として成り立ってはいなかったってことかも。
これらのマウヤーエートの一部でずっと続いている『地下の不浄』という考え方……もしかして、あの地下帝国と何か関わりがあるのだろうか?
時代的に接点があったとは、思いにくいんだけどな……
まさか……まだどこかに『地底人』が……いる?
いや、今は居ないとしても、その歴史がしっかりと残っている国がある……ってことかな?
マウヤーエートは、そこの国を古代からずっと敵対しているのかも。
だとすると、その疑いが濃厚なのはハーミクトかドムエスタだよなぁ。
ハーミクトとドムエスタは、本気で何処とも国交がないから大昔のイメージのままなのかもしれないけど……地底人と繋がりがあったのかもしれない。
これから東の小大陸で見つかる資料があったら、また考察が進むかもなー。
最後はこの『文字入り硝子ピース』だ。
おおおー、粘菌くんが一番多いぞー。
もしかして迷宮核だったのかもしれないってくらい、魔力たぷたぷだね。
この硝子の中の文字、全部金属だからかもなー。
中に入っている文字に使われているものを、自動翻訳さんは『似ガリウム』と表示している。
液柱体温計などに使われる、融点が三十度弱という低さの金属だ。
液体の状態だと、アルミを脆くしちゃうやつだね。
これが取り出せるほどの魔法があった時代のもの……ということは、ディエルティの前の時代、シュディーヤの可能性がありますよっ!
あ、だけどその中に粘菌くんが一番多いから、彼らの分泌物が反応して似たものになっているってことも……?
取り敢えずは、この道具自体が何に使われたものかを調べないとねっ!
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