第890話 ウキウキの日
さて、古のロマンにトリップした後は実に現実的な問題の解決です。
次代様にお強請りしたものが続々と届いてくるだろう時期なので、収納場所の確保をせねばならないのですよ。
食材はうちの地下倉庫と遊文館の地下に収められるから、すぐに溢れはしないのだが問題は来年だ。
製作を依頼したものが届くのは、全部来年の春だろう。
それらのストックルームが、足りなくなってしまっているのである。
だが、案ずることはない。
俺にはまだ、整備できる地下空間があるのだ。
亜麻を試験栽培している遊文館隣の土地の地下である。
ということでー、地下整備は遊文館側からの通路を通すところから。
遊文館での『景品』の収納として使う場所になるだろうからね。
ほいほいっと、できあがり。
思っていたより広く確保できたな。
来年入ってくるのは、コレイルの色墨、堅布製のランドセル型バッグ。
ランドセルみたいにマチが分厚くないのは、形があそこまでカッチリしている訳じゃないからだ。
書き方教室のノートとか見本帳を、持ち帰りたいっていう子達向けの鞄が欲しかったんだよね。
最近はノートだけじゃなくって、スタンプ帳とか暦帳も持ち歩く子が増えているんだけどいい鞄がなくってさ。
うちのトートバッグを使っていたんだけど、やっぱりお子様は両手が使える方がいいかと思ったんだよねー。
帆布みたいな『堅布』にしたのは、刺繍が刺せるようにってのもある。
お母さん達が子供達に『自分のもの』ってすぐに解るようにしたいって言ってたんだ。
トートバッグにもマチのところに刺繍をしたりして、誰のものか解るようにしている兄弟とかもいるんだよね。
この鞄は来年の書き方教室に来てくれる子達全員に差し上げようと思っている。
それとはちょっと別の、革製の丸いポシェットをエルディエラにお願いしている。
斜めがけにできて本体部分の片側が布製で、勿論、刺繍をしてもいいんだけど『徽章付け用』なんだ。
景品の徽章がピンバッヂタイプだから、服の襟とかに着けている子が多いんだけど、服って小さい子ほど沢山着替えるからね。
お子様達は持ち歩きたいって言うけど、毎回着け外しが大変……っていう、小さい子達のご両親からの声がございましてね……
だったら、徽章とかチェーン付きのチャームとか取り付けられる『コレクション・バッグ』は、どうかなーって思っていたんだよね。
マチ付きの潰れない革製バッグの中には、ちっちゃいフィギュアとかも入れておけるし。
表側の蓋を開けても中蓋もついているから、落とさないしね。
カタエレリエラから届く白刺草布は、型紙通りにカットして『
ロンデェエストから綿も入れてもらうし、簡単染料セットも一緒だから好きな色のお馬さんとか野菜とかの縫い榥が作れる。
俺が縫製とか刺繍とか、ビーズ飾りの付け方を教えてもらった時に『細かい手仕事は魔力調整に有効』ということを実感したのだ。
特に、針というちょっと危険なものを扱う時には、集中力も必要とされるので文字を書く時と同じように魔力の微調節が必要になる。
そして、運針と筆記では使う魔力と、集中の持続力、動きが違うからどちらもやってみるのはとても良いことだ。
針から彫刻刀、
魔力は多いだけでは役に立たない。
微調整ができるほど、精度の高い魔法が無駄なく発動できるのだから鍛えておかねばならないのだ。
マントリエルからの『
器は来年だろうけど、漆は早めに入ってくるかな。
ルシェルスの紫檀……ローズウッドは、どうしても作りたいものがありましてね。
そのために、取り寄せたのですよ。
聖教会の端材とか俺が魔法で複製したものなんていうのではなく、一度ちゃんとした木材として手に入れたかったんだよね。
今回は、柾目の板が何枚かは欲しかったしねー。
食べもの系で何が楽しみって、ウァラクのシェーブルチーズですよ!
そろそろシーズンが終わってしまう頃だから、できるだけ沢山いただければしっかりと熟成させて、冬場に美味しいチーズを蜂蜜で楽しむことができる。
実は、熟成させた山羊のチーズは、カリカリベーコンと一緒に食べても美味しいんだよねぇぇ。
ベーコン、ハム、ソーセージもたーんとお願いしているから、すっげ楽しみっ!
今年はキャベツでシュークルートも作ってあるし、シュークルート・ガルニも作りたーーい!
ウァラクの芋、ロンデェエストのソーセージ、シュリィイーレとエルディエラのキャベツ……絶対、美味しい!
胡椒を利かせると、これまた絶品!
カタエレリエラから赤胡椒も来るから、違いを試したいよねー。
黒胡椒とは香りも違うだろうし、加護色も違いがあるかもしれないから、どんな感じになるか今からめちゃくちゃ楽しみだよ!
生バジルもたっぷり頼んだから、リエッツァだけでなくジェノベーゼソースもできるかなー。
荏胡麻の葉のジェノベーゼも、美味しいんだよなぁ。
……あ、そーだっ!
ハウルエクセム卿の『欲しいものノート』に松の実を追加しておこう!
ウァラクになら、あるはずっ!
荏胡麻油と紅花油も作って、調理に使ったらオリーブオイルみたいに色相が違う料理になるかもしれないからそれも試そう。
大麦は……エクウス達の餌にする予定だったんだけど、エクウスとベリアードがイマイチっぽいし、なんか他にも使い道を考えようかなー。
そろそろ、秋祭りのメニューも考えなくっちゃ。
何がいいかなーー。
子供達が喜んで、俺が作ってて楽しいもの……
はーー、やっぱりこーいうこと考えていると、幸せでいいなぁっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます