第685話 まだまだ出るか?新事実
さぁさぁ、お楽しみの読書&翻訳タイムでーす!
まず、ビィクティアムさんから預かった『早めに頼みたい』って言われた『毒』の文字に怯んだあの本。
カシェナで手に入れたのに、マイウリアの王宮地下の石板と同じ文字と思われる不思議な文字の本。
毒の本なのは間違いないのだが、主に植物の毒についてのようだ。
今まで、マイウリアでもタルフでも魔毒以外だと動物や鉱物の毒が注目されていた。
植物の毒は、それらと比べて何が違ったのだろう?
うーん……なんかちょっと、読みづらい文字だなぁ……もしかして、正しい文字じゃなくって誤字が多いのかな?
いや……まさかあのヒメリアさんの乳母さんみたいな、悪筆型天然暗号文字?
こいつはちょっと時間が掛かりそうだぞ。
ごめんなさい、ビィクティアムさん、少し後回しにするね。
どーしても読みたいものがあるんだよ!
それはガイエスが見つけてきてくれた、旧教会の水栓隠し部屋にあった三冊。
これ終わったら、すぐに読みますから!
三冊の内、二冊は『生命の書・技能編』で、もう一冊は……『魔法発動の研究書』……?
魔法の使い方ってことかな?
研究書ではあるようだけど、もの凄く日記っぽいな。
実験結果の記録書かな?
……叫んでるよ、この人。
え、え、え、これってさ、魔法使うのに『詠唱』ってやつをやっちゃう感じなの?
声の大きさで魔法の威力が変わるか、なんて調べている。
だけど……昔、俺も何度か『雷光系』は、落雷とかそういう言葉で魔法が使えていたんだよな……ん?
俺は、言葉とイメージの両方だったかな?
この人は、皇家の傍流の方みたいだな。
なかなか中二病が深刻そうな方だ……好感が持てる。
ふむふむ、結構色々な魔法が使える方だったみたいだな。
皇家もオールラウンダーが多いのかもしれない……いや、この方の母方がそうなのかもな。
そしてこの方……名前がどこにも書いてないんで『詠唱さん』とでも……いや、ここはもっと中二病的な呼び名にして差し上げるべきか?
えーと、詠唱発動で成功しているのは風系の【突風魔法】だから『
『
あ、『
……いや、この人、女性だな……うん、ラファールさんで!
どうやら詠唱で成功する魔法と、全く発動しないものがあるようだ。
この本には書かれていないし検証されていないけど、これはおそらく『系統』が関わっているだろう。
この方の時代には、系統ということがもう伝わっていなかったのか、この人が知らなかっただけかは解らないけど。
方陣が『地系』であるように、詠唱は『空系』と思われる。
同じ赤属性でも火炎などは使えるのに【土動魔法】や【加工魔法】などの『大地の物質』に作用する魔法は使えていないし、青属性でも風は出せるが水には作用していない。
浄化や洗浄は使える場所が限られており、植物には干渉できないみたいだ。
それは、多分『音』が空気の振動を主として伝わるからだろう。
慣性と弾性があれば振動は物質を伝わるけれど、
空気の震えを音として人が認識できるから、その人の魔法が発動するってことだと思う。
そしてどうやら、加護神によっても詠唱で発動できる人とできない人がいるみたいだ。
俺が雷を『落雷』という『音』で発動できたってのも、賢神一位が『空系』『海系』の性質を持っているからだろう。
ラファールさんってば、弟さんに言わせて実験しているけど、絶対弟さんは恥ずかしがっただろうなぁ。
そーか、加護神かぁ……『地系』特化のガイエスは、詠唱での発動ができないってことだな。
ちょっと聞きたかったけどねー、冒険者さんが高らかに呪文を唱えて魔法を発動するってやつ!
……やってって言ったら睨まれそうー。
いやぁ、楽しい研究本だったなぁ。
こんな本なら、いっぱい読みたい。
では、お次は『生命の書・技能編』。
お、上下巻の構成だから、この二冊で技能編は完成なのか?
魔法編の方の続きは……?
あっ、上巻の方の最初が真珠石板の途中からと被っているぞ!
よしよしっ!
魔法のことは載っているけど……うーん、あまり多くはないなぁ。
もしかしてこれも抜粋だけでまだあるのかな、魔法編の補足本。
でも、この二冊はじっくり読んで、しっかりと神約文字と古代文字、現代文字の訳文を書いておかないとね!
まずは、身体を動かす系の技能が書かれているな。
うわー……俺、全然持ってないものばっかだなー。
こんなところでも『引きこもり属性』って解っちゃうものなんだなー。
加工系、鑑定系はセットで出ることが多いのか。
そういえば『大気鑑定』と『大気操作』は一緒だった。
動植物の鑑定だと、魔法が後から出て来るのは緑属性だからだろう。
でも、黄属性、白属性の鑑定系だと、魔法が出るとは限らないようだ。
むしろ、魔法が使えるから技能も出て来るって方が多いみたい。
特に、黄属性についてはデータが少ないみたいだから、そういう傾向かも、って程度らしい。
聖属性については……残念ながら、法則性が見い出せていないみたいだな。
一番持っているのが多い聖魔法が【制御魔法】ってくらいで、家門や守護神なんかに影響なくバラバラに出現するみたいだし、それに付随する技能ってのも特定はできないようだ。
聖属性とか神聖属性って、他の魔法や技能より『神々の気まぐれ』指数が高そうな気がする……
さて……では、カシェナの本の続きに取りかかろうか!
気が重いってことは、多分、楽しくない内容なんだよねー。
しかし、文字としても暗号としても面白そうではあるので手は抜きませんよっ!
その後も真摯に翻訳作業を行いました結果、眼精疲労半端ないという状態です。
ついつい、読むスピードアップしちゃったり、自動翻訳さんフル稼働でマルチ翻訳しながら書いちゃったりしたからね!
いやぁ……カシェナとタルフ、そして東の小大陸にあるもうひとつの国ハーミクト聖国の関係性というか、時期としては中世から近代くらいのことが書かれているもののようだったけど……毒まみれだねぇ、こっちも。
だけど、毒で何かをしようというより、毒をどうにかして無害にして利用できないかという研究書みたいだ。
おそらく、東の小大陸は昔から毒草がとても多かったのだろう。
きっと今でも。
だから、染料も花から作る香水も香木も、その毒がどう利用できるかってのを模索した副産物としてできたのかもしれない。
その副産物のせいでどうやらタルフはハーミクトと決裂し、ハーミクトは元々あまり仲のよくなかったカシェナとも徐々に付き合わなくなっていったようだ。
そのハーミクトは、現在は存続しているかどうかも判らない国となっている。
それはリンディエンの蔵書に含まれていた、貿易記録に簡単に触れられていた。
カシェナの方は、その後皇国と国交を密にし、解毒方法や魔法による援助を受けているらしい。
それで毒物研究の一環として、セラフィエムスでこの本を手に入れたのかも。
でもこれきっと、訳せなかったんだろうなぁ……悪筆&多言語&書き間違いのオンパレードで、筆記者が複数いるみたいだから、書き癖が違ってて読みづらいったらないよ。
逆にタルフは皇国を拒み、一時期、アイソルと交流があったようだ。
だが、独自に毒を克服して、香水と染料を数多く作りだしているみたいだ。
……そのタルフに対して悪口が多いのは、この本が書かれたのがハーミクトだからではないか?
この文字は、ハーミクトのものと思っていいんじゃないかな。
だとすると……マイウリアとの関係は……ガイエスがごっそり送ってくれたあの本の中にありそうだよねー、ヒント。
あー……このクールアイマスク、サイコーだ。
目を休めたら、今度はマイウリアの本の山だなー!
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