第2話 まずは現状を確認しよう
「とにかく……ここがどこかは、周りを見ただけじゃ解らないな」
森である。部屋から、いきなり森の中である。
俺の今の格好は、部屋に入って着替えたスウェットの上下。
ポケットは空っぽ、手にも何も持っていない。
足は……靴下だけは、脱ぎ損ねていたから履いてる。
「……なんだか絶望的じゃねーか?」
こんななりで、アウトドアなんて全く未経験の俺が、なんの道具もナシに!
靴さえもないんだぞ?
どうやっても、行き倒れる未来しか見えねぇ!
ははは……なんだってこんなことになってんだろう。
俺、なんか悪いことしたかなぁ……
くそぅ、あの弁当食いたかったなぁ……腹減った……
こんな状況なのに頭の中には、部屋に飾ってあるインク瓶や万年筆のことばかり浮かぶ。
もう、手に取ることはおろか、見ることさえできないのか。
二度と……文字を書くこともできずに死ぬのか……
「さよなら……俺の、コレクション達……」
呟きと共に涙が溢れた。
……その時。
ふぉん
へんな音が聞こえて目の前にまるで、TVのような……デジタルっぽい画面が現れた。
こういう画面、高校の時にクラスの奴らがやっていたゲームで見たことがある。
その画面はマス目状になっていて、中になにか画像が並んでいる……?
「……! インク瓶……? 俺の、俺のコレクションのインク瓶だ……!」
全部、ある。
俺の部屋に飾ってあった全部が、ずらっと!
もしかして、これが噂の走馬燈ってやつか?
好きだった物とか、人とかが死ぬ間際に見えるっていう……
だが、いつまでも消えないし、画像も変わらない。
でもいいや。
ずっとずっと眺めていられる。
大好きなモノ達。
ふと、端の方に数字が見えた。
「1/20……?」
数字に手を伸ばすと画面が切り替わった!
「インク……インク……あ、万年筆だ!」
数字を確認すると『3/20』になっている。
ページが変わったってことか?
え?
走馬燈ってページを自分で変えるの?
そんなわけあるかい!
次々にページをめくっていく。
ペンやマーカー、ノート、紙、習字の筆や墨、硯もある……
そしてなんと、靴や服まであるではないか!
「俺の家の中のモノが、全部あるのか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます