第4話 カフェ講座とソファに犬と猫

 ずっと憧れていた。

 鎌倉で自分のカフェを持つ。


 夢物語のように思っていたのに奥さんの弥生さんに発破をかけられ尻を叩かれ……いや、背中を押してもらった。

 弥生さんにけしかけられるように何度も「やる気が萎む前に準備を始めなよ」と言われ手始めにカフェ講座に通う事に。

 トベケンに相談してみたら、知り合いがカフェ講座を開いていてノウハウを教えてくれるというではないか。

 なんてラッキー!

 トベケンは自身のサーフショップを開く時にも世話になったんだって。

 僕は真面目に勉強した上でサーフショップをオープンさせたんだなと感心した。

 昔はどこかチャラチャラしていたのに今ではサーフショップの仕事を成功させて奥さんと仲良く暮らしている。

 尊敬するよ。


 カフェ講座は本格的で経営や立地条件や損益に税金対策など堅実な経営の仕方を教えてくれた。

 こんなに真摯に『勉強』をしたのはいつぶりだろうか。


 僕は錆びついた頭を回転させた。

 ギシギシ無理やり回る機械音が聴こえてきそう。



 カフェ講座一日目を終えほどよい疲弊感と充実した気持ちで家に帰った。


「ただいま」


 マイスイートホームに着いてドアを開けリビングに入ると僕のお気に入りのソファには先客がいた。


「ニャァッン」

「ク〜ン、ク〜ン」

「な、なんだ!?」


 僕の居場所に白とグレーの毛がモサモサでふてぶてしい猫と茶色い小さな子犬が乗っかっておる。

 シャム猫とゴールデンレトリバーの子犬っぽい。


 この二匹はすごく偉そう、まるで我が物顔だぞ。

 でかい態度の猫の方はここが自分の縄張りかと言わんばかりの睨みをきかせてくる。

 むむっ。僕がこの家の主の一人だぞ。弥生さんの方が大黒柱っぽいのは認めるが。


 まったく何だって僕の家の僕の好きなソファに見知らぬ猫と子犬がいるんだ?

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