不審な訪問者
二階建てのアパートの二階、部屋が五つ並ぶうちの真ん中に住んでいた。
そのアパートは防音性が最悪で、何の番組を見ているのか分かるほど、隣の部屋のテレビの音が筒抜けだったり、チャイムが鳴ったと思ったら隣の部屋に対してのものだったということがざらであった。
ある日、自室のベッドで横になりながら本を読んでいると、アパートの二階に通じる外階段を誰かが登ってくる音がした。
「ピンポーン」
チャイムが鳴った。
おそらく自室ではなく、階段を登ってすぐの一番端の部屋だ。
宅配便か何かだろう。
「ガチャガチャガチャ」
ドアノブを何度か捻る音が聞こえた。
住人であればチャイムを鳴らすのはおかしいし、訪問者であればドアノブをそんなに捻るのは怪しい。
部屋に誰かがいるか確認し、いない場合は侵入を試みようとドアを開けようとする姿を想像し、鳥肌が立つのを感じた。
「ピンポーン」
またチャイムが鳴った。
次は私の部屋の隣のチャイムが鳴った。
「ガチャガチャガチャ」
隣の部屋のドアノブが鳴る。
端の部屋から鍵が開いていないか確認しているのだ。
次は私の部屋だ。
しまった。
心臓をドクンと強く打つ感覚に襲われる。
玄関の鍵を閉めていない。
急いで閉めないと。
私は相手に感づかれないように玄関のドアを閉めに抜き足で向かった。
その時だった。
玄関の郵便受けから、男がこちらを覗いていた。
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