ずっとそこにいた
小学生のとき、よく友達のTちゃんの家まで遊びにいった。
テレビゲームをしたり、漫画を読んだり、クラスのかっこいい男子に付いて話したりしていた。
Tちゃんのお母さんはいつもお菓子を出してくれたので、なんだか申し訳なくなったが、とても居心地のいい空間だった。
しかし、気にかかる点が一つあった。
ある日、いつものようにTちゃんの家に遊びに行き、お母さんがTちゃんの部屋までお菓子を届けてくれた。
私はいつものようにそれを食べ、漫画を読んだ。単行本1巻分を読み終えた時、尿意を感じたので、トイレを借りようとして部屋の扉を開けた。
目の前にTちゃんのお母さんが立っていた。
何かを部屋に届けに来て、ちょうど鉢合わせしたのかと思ったが、手にはお菓子が載っていたお盆を持っており、お菓子を届けてからずっとここにいたのかと思われた。
私が何も言えずにいると、お母さんは急に動き出し、廊下を歩いていってしまった。
Tちゃんのお母さんは私たちの部屋の前でずっと立ち尽くし、何をしていたのか、その状況が全く理解出来ず、すっかり尿意が引っ込んだ私は、いつもより早めに家に帰った。
それ以来はTちゃんの家に行ってもおかしなことはなく、今でも仲良く遊んでいるが、その時の光景がどうしても忘れられない。
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