防災無線

 私の地元の防災無線は、朝、昼、夕方にエーデルワイスなどの音楽が流れる。

 その音楽を聞いて、農作業をしている人は作業を切り上げたり、小学生は帰り道を走り始める。住民に親しまれる防災無線だが、私の通っていた中学校にはある都市伝説が流行っていた。


「深夜1時にK神社の防災無線の下に立つと、聞いたことのない音楽が鳴り、何処かに連れていかれる」


 当時私は、サイレンが鳴ると同時に別世界に連れていかれる設定のゲームを思い出し、内心、誰かの作り話だと馬鹿にしていた。

 しかし、実際にその都市伝説を確かめようと実証実験を敢行した同級生は、果して行方不明になってしまった。

 それ以来、警察や防犯指導隊のパトロールが厳しくなったが、パトロールをしていた何名かがまたしても忽然と消えてしまったのだという。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る