雨音

 大学生だった私は、大学から徒歩1分というもはや大学構内と呼んで差し支えない場所のアパートに住んでいた。

 なので、授業がないときは自室で寝ているかスマホをいじっていることが多かった。


 あれは9月初旬、暴風雨の時のことだ。

 台風が近づいているということで、休講になっており、私は自室でベッドに寝そべりながらダラダラしていた。

 雨の日に外に出るのは嫌だが、部屋の中で雨の音を聞くのは楽しい。

 しかし、雨の音の中に変な音が混じっていることに気づいた。


「ポツポツ・・・ポツポツ・・・ドンッ・・・ポツポツ・・・ドドンッ・・・」


 ただ事ではないと思い、ベッドから飛び起きて音のする窓の方を見た。


「・・・ドドンッ・・・ポツポツ・・・」


 等間隔ではないが、定期的に窓を叩かれているようだ。

 ここは2階だが、誰かベランダに入ってきたのか。

 幸か不幸か、カーテンを閉めていたので、外の様子は見えないし、仮に誰か立っていたとしても中が見えることはないだろう。


 部屋に侵入された女子大生が殺害されたニュースを思い出し、私は中に誰かいるか勘付かれないようにゆっくりと玄関に向かい、靴を履くと鍵をかけず一目散にコンビニに走った。

 その後、警察を呼び、ベランダを見てもらったが、侵入した形跡は見つからなかった。


手形がついていたので、指紋採取してもらおうと思ったが、不思議がった警察官が「この指紋、内側からついてますね」と言った。

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