コンテンツ2―2人のAnn探し

 「おはようガルシア。おきてる?」


朝早くからルイスの通信だ。

モニターテーブルに向かうガルシア。半分寝ぼけまなこだ。


「あーい。おはよルイス。まだ朝早くない?」


「これから私のフローターでそっちに行くわ。支度して待ってて。」


「ふぁ〜〜い。」


ガルシアは半分寝ている。


洗浄室の前でスーツを脱ぐと、中へ入るガルシア。

洗浄後は新しいスーツを来て、出掛ける支度。


ルイスはビブレスに向かうべく早起きしていた。


 Ann探し、宇宙船建造のメカニック探しでビブレスに向かう予定の2人。


 ガルシアはビブレスには知り合いが多く、情報量もそれなりだった。連絡だけでも取引が済む人物もいるが、Annは自分達で見て決める方がいいと言われた。今日はそれで足を向けるのだった。


 ビブレス=ガルの中心地。駐機場にルイスのフローターが着陸。


 ガルシアはスーツに記憶してあるIDリストを入力して、フローターの通信で何処かへ連絡を取っている。

 

 「スタック?私、ガルシア。お久しぶり。今ビブレスに来て、Annを探してるの。何処か紹介してくれないかしら?」


 「うん……。AI Corp《エーアイコープ》って企業ね。ジャック=ドレイン社長……OK、分かった。見に行くわ。ありがとう。」


 通信を終えると、

 「よく展示会にブースを持つAnn専門の企業を紹介してもらったわ。ビブレスで1番Annが揃うって。カスタマイズ無しでも十分なAnnが揃ってるってよ。」


 「でも、やっぱりカスタマイズは必要よ。ついでに腕利きのメカニックの情報、聞いてみましょうよ。」


 「確かに、情報も得られそう。ルイスはその場でAnnを決めてしまうつもり?」


 「そうね、それはメカニックの話を聞いてからにする。Annの購入は、情報を得る為のカードに取っておくわ。それから宇宙船の建造についてもメカニックの話は重要だから。」


 ビブレスの中心街、展示会場の建物の周りは、メカニックからブローカーまで色々な人物達が軒を連ねている。


 ガルシアが紹介されたのは、この中でもビブレス1と噂のAnn専門企業だった。


 建物の中へ入る2人。多くのAnnが有り、形も大きさも様々。


 『スタックから紹介を受けたと、ここの責任者のジャック=ドレイン社長に面会を頼む』、と従業員に伝えたガルシア。


スタックの紹介と聞き、従業員は慌てて奥へ入っていった。


ロード=スタック。軍にも顔キキの名の通ったブローカー。


 待ってる間、2人はAnnを見て回る。

 「何かあった時に抱えられる大きさが良いわ。」


 「私もルイスに同じー。ミクラットの操縦席に座れなきゃ困るし、連れて歩くにも楽でしょ。軍向けの最新のユニットが完成したらしいの。聞き出して、それも分けてもらいましょ。」


 しばらく見て回って、どうやら2人のAnnは決まった様だ。

そこへドレイン社長がやって来た。


 「スタックの紹介でいらしたのは貴方達でよろしいかな?」


 「ええ、ドレイン社長。お忙しい中ありがとうございます。私はガルシア=オフェイル。こちらはルイス=タイラー。」


 「エンジャーからはるばるよくいらっしゃいました。スタックからは聞いています。Annをご希望とか。」


 「私もルイスもまだ決めた訳ではないんです。ただ、Annはこちらが1番良いと伺ったので。」


 「それは光栄ですお嬢様方。どうですか?お好みに合ったAnnは見つかりましたかな?」


 「ええ、そうね。最近、軍に納め始めたという最新のAIユニットとセットでAnnを頂こうかしら。ねぇ、ルイス?」


 都合が悪くなって、うっとなり、目線を逸らすドレイン社長。


 「私は少しだけ軍の情報に詳しいもので、ちょっと耳にした情報ですわ社長。もちろんこのAI Corpが関わってる事は口外しません。ガルシアと私、どちらもAnnとセットで頂きたいの。」


 「スタックの紹介で有れば結構です。但し、お二方に特別にですよ。誰にも口外せずにお願いします。」


 2人は希望のAnnと最新のAIユニットをセットで手に入れる事に成功。AIユニットに至っては、軍に納め始めた開発したて出来立てホヤホヤだ。


 「カートに乗せておきました。空のカートはその場に放置で構いません。後程自動回収します。」

従業員はそう説明すると奥へ戻った。


 入れ替わりドレイン社長が近付く。

 

 「オフェイル様、タイラー様、代金は間違いなく全額頂きました。またいつでもお越しくださいね。」


 「そうそう、ドレイン社長。このビブレスで今1番のメカニックはどなたかしら?ご存知なら教えて頂けませんか?」


 「カスタマイズですか?それでしたら当社でも受け付けますが?」


 「色々注文があるものだから、個人の方に直接依頼したいんです。」


 「依頼を受けるかどうかは別ですが、噂ではグロビアというメカニックは腕利きだとか。弟子も1人いて、Annのカスタマイズを引き受けてくれるかも知れません。IDは知らないので、工房の場所をメモしましょう。少しお待ちを。」


 「ガルシア。この情報当てになりそう?」

 「多分ね。でも個人で工房だけで作業してるのであれば、もしかしたら暇で引き受けてくれるかも。」


 「オフェイル様。こちらがその場所の地図です。……それでは私はこれで失礼します。またお越しください、では。」


 2人はカートに駐機場のIDを入力して、フローターまで歩いていった。先を行くカートが見える。


 ルイスのフローターは4人乗りで貨物室があるタイプ。


 先に側に着いていたカートから、ケースに収まったAnn達と最新ユニットを運び入れる2人。


 「以外に重いわ。しかしルイス……あなたに話を振った時、よく話を合わせて答えてくれたわ。おかげで上手く最新の、しかも軍と同じユニットが手に入ったわ。」


 「ガルシアの事だから、きっと噂を手に入れたんだと思ったの。だったら私も大きく出なきゃ、あの社長さんに疑われるしね。」


 「さすがルイス、私の親友ね。よく分かってらっしゃる。……で、これからメカニックさんの工房へはどうする?」


 「このままフローターで向かいましょ。」


 2人は地図にある場所までフローターを飛ばした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る